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2010年1月28日 (木)

EN358とEN813について(0811追記あり)

(02/17追記)以前の追記で「シットハーネスは0.5mまでの墜落を許容する」と書いていましたが、誤解を生む表記だったので補足説明をしています。「フォールアレストシステムとして使用する場合、0.5m以上の墜落の危険がある場合はEN363に適合したフルボディハーネスを使用する事」←これが正確な文章です。詳しくはこちらの記事を読んでください。

(03/05追記)EN813について、「誤解を恐れずに言えば、一本吊り用」と書いていましたが、本当に誤解されそうなので記述を変更しました。追記だらけで読みにくいので近々この記事は完全に書き換えようと思います…。重要な事を詰め込みすぎてしまいました。反省。

(08/11追記)更に追記です。コメントにて「トップorトップクロールとセコイアSRTを併用することにより、EN361適合フルボディー化が可能」との情報をいただきました。ペツル本国サイトを見ると確かに記載があります。やったー!詳しくはコメント欄をご覧ください。
あと、実はセコイアSRTのブリッジはEN358にも適合しております。本文の記述を変更しました。



(元記事ここから)
産業ロープアクセス用のハーネスは大概「EN358」と「EN813]に適合しています。

このEN規格とは欧州圏(EU)の統一規格でして、日本で言うとJIS規格みたいなもんです。

CE”マークを皆さんも一度は見たことがあると思いますが、これは「この製品はEN規格に適合していますよ」っていう事を表しています。なんでもEN規格に適合した製品は欧州圏を自由に流通できるらしく、メーカーにとって非常に重要な意味を持っています。詳しくはこちらをどうぞ。

で、このEN規格ですが、私たちが出くわす項目だけでも非常に種類が多いです。しかもEN+数字でしか書かれていない上に、どんな規格なのかあまり説明もないもんですから覚える気がおきません。私はおきませんでした!

でもこのままじゃいかんよなーと思いなおしまして、EN規格について調べていきます。


それでは今回の本題。「EN358」と「EN813]についてです。規格を厳格に捉えた記述をしていきます。

例としてセコイアSRTを見ながら説明します。まずは下画像を見て、各部の名称を知ってください。アルテリアのセコイアSRTの取扱説明書pdfを見ていただいても結構です。この中で、サイドD環とリングアタッチメントブリッジ(以下:ブリッジ)がEN358に適合し、センターアタッチメントポイントとブリッジがEN813に適合しています。

Sequoiasrt1

[EN358]
EN358ってのは「墜落予防及びワークポジショニング用の個人保護器具。ワークポジショニング用のベルト、レストレイン、ワークポジショニングランヤード」の規格です(こちらを参照してください)。誤解を恐れずに言うと、安全帯とU字吊り胴綱の規格です。EN358はU字吊りが可能なワークポジショニング・ベルトを規定しています。

セコイアSRTではサイドD環とリングとブリッジが適合しています。ここにペツル「グリヨン」やART「ポジショナー」を装着して使用していい訳です。ただし、セコイアSRTの取扱説明書pdfをみてもらってもわかる通り、必ずペアで使えよ!!といっています。ペアとはリングを使うならリング2個を同時に使えよ、一個だけでの一本吊りは禁止だぞ!という事ですね。「リング1個とD環1個」みたいな組み合わせも禁止です。

また先ほど記述したように、このEN358にはポジショニングランヤード(フリップライン)自体も含まれています。なのでペツル「グリヨン」の説明書を見たらやっぱりEN358に適合しています。つまりこの規格はポジショニングランヤードと、それを装着するハーネスのアタッチメントポイントの両方を含む訳です。

あと、レストレインってなんじゃ?と思われた方がいらっしゃると思います。レストレインは「拘束」っていう意味です。ビルの建築現場などで、作業者が墜落危険箇所までいかないように、一定の長さのランヤードで彼の行動範囲を狭めます。犬を鎖につなぐようなもんです。レストレイン等についてはペツルの技術情報「ワークポジショニング」に詳しいです。この記事を書くにあたって私も不安になり、ちょいと調べていたら車のヘッド・レストってヘッド・レストレインの略なんですって!てっきり休憩(レスト)の方だとおもってました(詳しくはこちらのブログを参照ください)。また一つ賢くなってしまった!

ちなみにレストレインは実際の墜落には何の役にも立ちません。あくまで「墜落を未然に予防する」事が目的です。レストレインの意味を理解したらわかる事です。墜落してその衝撃荷重があなたの脊椎を破壊しても文句言えません。

またEN358はフォールアレスト機器(例:ペツル「アサップ」)を装着する事も想定されていません。U字吊りができる→U字吊りしかするなよっ!!ということです。もし一本吊りで使用したりフォールアレスト機器を装着していいなら、それぞれの規格にも適合しているはずですから。


[EN813]
こちらは「墜落予防用のPPE。シットハーネス」の規格です。詳しくはこちら。基本的には“EN358”と同じようなもんですが、こっちはアタッチメントを単体で使用します。

このEN813に適合するアタッチメント(D環)こそが、ロープアクセスの根幹を担う役割をします。メインロープにぶら下がる時はここを使う事になります。逆に言うと、エイト環やストップなどの下降器を使う時や、ペツル「ジェーン」で自己確保を行う時はEN813に適合したアタッチメントポイントしか使えません。

そしてこちらもフォールアレスト機器は装着できませんし墜落を想定していません。そしてセコイアSRTが適合しているEN規格はEN358とEN813の二種だけです。これがどういう結果を生むのかわかりますでしょうか?

つまりセコイアSRTを使用している以上、墜落時の衝撃を緩和する対策も講じられないし、バックアップラインも作成しようがないということです。絶対墜落すんなよってEN規格さんは言っておられるのです。

とか言いながらセコイアSRTの説明書によると、EN358は0.5mまでの墜落は一応許容しているみたいですが…それを裏付ける資料が見つからない(泣)と思いきやTreeMotionの説明書にも記載がありました。こちらでは「シットハーネスは0.5m以上の墜落は許容しない」とあります。ちょっと意味合いが違いますね

(01/31追記) シットハーネス自体が0.5mまで墜落を許容しています。正確に言うと、0.5m以上の墜落の危険がある場合はフォールアレストシステムを採用する必要があります。詳しくはペツルの技術情報「墜落とフォールアレスト」をご覧ください。
(2/14追記) 
↑の文章ですが、じゃあ0.5mならいつでも墜落していいのかというと、さにあらず。フォールアレストシステムとして使用する場合、0.5mまでならシットハーネスでいいよって事です。
ロープにぶらさがった状態(ワークポジショニング)で0.5m墜落していいよって話じゃありません。0.5mの墜落でも充分死ねます。落下係数がわかっていれば何故かわかるはずです。

(08/11追記) 上記の0.5m墜落問題ですが未だに納得いく説明ができません。とりあえず「シットハーネスはわずかな墜落も禁止」と考える方が絶対ベストです。


[今回のまとめ]

長々と書きましたが、実はセコイアSRTの取扱説明書pdfを読んだ方がわかりやすいです。是非一度熟読してみてください。他メーカーのハーネスを使っておられる方も是非。

あと誤解のないように言っておきますが、セコイアSRTだけでなく、すべてのシットハーネスが墜落を許容しません。シットハーネスはロープ等にぶらさがった状態をキープする必要があります。ワークポジショニング・ハーネスと言われる所以です。自分を確保してくれているロープがたるんでいたらダメですよ。

墜落時を想定したハーネスが欲しいなら初めからフルボディーハーネスを買うか、フォールアレストに対応したチェストーハーネスを買って、シットハーネスをフルボディー化する必要があります。ちなみにセコイアSRTはフルボディー化できません。(追記:フルボディー化が可能になりましたー!)。ツリークライミング用ハーネスで言うと、バッキンガムのハーネスがフルボディー化できるくらいです。

セコイアSRTはこういう資料が簡単にみつかるだけ非常に良心的です。説明書にも詳しく記載がありますし何よりわかりやすい。だから私はペツルが好きなんですし、信用して命を預けられるんです。

ニュートライブとかバッキンガムもホームページに規格適合の記載はあります。ANSI規格に適合しています(ANSIはアメリカの国内規格。ウィキぺディアの記載を参考にしてください。)果たしてどのような規格項目に適合しているのか。EN規格を先に知りたいので調べませんが、墜落は絶対許容していないはずです。

最後にペツル以外のギアメーカーに言いたいのですが…「D環の破断荷重くらいサイトのどっかに書いおいてくれよ!!」

次回EN361について書こうと思います。フォールアレスト/フルボディーハーネス用の規格です。

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コメント

 御世話になります。
 ここで色々勉強させて頂き、セコイアSRTを選択し使用しております。
 3月の時点で購入前にアルテリアさんに色々質問してみたのですが、欧州規格での認証を受け、(セコイアSRTとトップまたはトップクロールの組合せにおいて)フルボディハーネスとしても使用可能との回答を頂いています。
 私はまだトップクロールは購入していませんけれども、、、

投稿: イーサ | 2010年8月10日 (火) 17時58分

イーサさんこんばんわー。

おっそうなんですか!私が以前(2年ほど前)に聞いた時は「欧州規格の適応外ですが取り付け可能です。」とおっしゃっておられてました。どうも欧州規格が想定していないケースっぽくて、認証に向けて働きかけているってな事でした。

アルテリアさんでセコイアSRTの説明書見ても確かに「EN813」って書いてありますね。おおーすごい!情報ありがとうございます!

とは言え私も今のところトップクロールを購入する気はないですね(汗)。アサップ、アサップソーバー、セーフティライン用のロープを買う予算さえあればいっちゃうかもしれませんが。トップカット時はセーフティラインがあってもいいよなぁと考えている次第です。

投稿: フリップ | 2010年8月10日 (火) 19時31分

すみません、自分のコメントを訂正します。

私がアルテリアさんに問い合わせたのは2年前ではなく、確か去年末くらいでした。雪で仕事に行けなかった日の昼間に電話したのを思い出しました。

あと「おおーEN813って書いてある!」と記述していますが、すみません、完全なうっかりミスです(汗)。EN361と勘違いしておりました。そりゃEN813は記載がありますよね…。

トップまたはトップクロールとの併用によるフルボディー化について、アルテリアの説明文にはどこにも「EN361適合」の記載は見当たりませんでした。

おやー?と思ってペツルの本国サイトを見ると…しっかり記載がありましたー!やったー!
http://www.petzl.com/us/pro/verticality/harnesses/work-positioning-and-fall-arrest-harnesses-0/top

イーサさん、貴重な情報を教えていただき本当にありがとうございます!

投稿: フリップ | 2010年8月11日 (水) 19時14分

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