今回はリムウォークの概論について。
ただ、このリムウォークなんですが、それこそ枝の張り具合やアンカーの場所によって千差万別です。ですから実際の方法論として「なんとしても枝先まで行くぞ」という強い気持ちを持って現場であれこれ策を練る事になります。もはやリムウォークの体をなしていないような方法を考える時もあります。要は枝先にたどり着けばいいんです。
それにリムウォークできるような楽しい樹に仕事で登った経験があまりありません(汗)たぶんレクリエーションで木登りされている方のほうがリムウォーク経験が多いと思います。私はオフの日に木登りする勇気が…ヘタレなので仕事じゃないと樹に登るの怖いんです。
と言う訳でそれほど大した事は書けませんが、私が思うリムウォーク論を書いていきます。
[システム]
リムウォークを行うなら、システムはDdRTで決まりです。バランスがとりやすいです。と言うか、フリクションノットが最高に便利。理由は記事を読んでいくにつれお分かりいただけるかと。
で、DdRTシステムはハーネスのブリッジに接続するのが一番いいです。アンカーに対して横向きになって移動する事になりますが、この時、接続ポイントがブリッジ上を動いてくれるので姿勢が楽なんですよね。
↓こういう感じです。ちょっとわかりにくいですが、アンカーに対して体を回転できる訳です。
これがセンターD環ですと、ハーネスが横に引っ張られる感覚を延々感じなくてはいけないと思います。まあブリッジ自体がリムウォークの為にあるようなもんですからね。そう考えるとNewTribeはあまりリムウォークに向いていない?かもしれません。宙づり姿勢には最高なんでしょうけど。でもできないって事はないでしょう!
[フリクションヒッチ]
フリクションヒッチは好きなのでいいと思います。但し、アッパーコイル(クライミングラインに巻きつけるコブ?の部分)ができるだけ体に近い位置にあった方がいいです。例えばブレイクスヒッチの場合、登攀時には少し遠い所にコイルがあった方が姿勢的に楽なんですが、リムウォーク時はもう一度作り直してできるだけそれをスラックテンダー・プーリーに近づけます。つまりスラックの発生をできるだけ避けたいんです。どれだけ近付けられるかで、枝先からの帰り道が地獄になるか天国になるかが決まります。
そうそう、スラックテンダー・プーリーは必須だと思います。
[アンカー]
アンカーはできるだけ上方にあった方がいいです。少なくとも目的地の枝先より高くないとダメです。リムウォーク中に滑落した場合、フォールじゃなくてスイングします。ブランコみたいな軌道ですね。詳しくはわからないのですが、水平から振られるよりは45度くらいから振られる方がもちろん衝撃はすくないでしょうし、ましてや水平より上位から振られたらかなり危険でしょう。たぶん水平より上位まできたら、墜落衝撃も加算されてくると思います。
あ、短い距離でアンカーがしっかりしてるなら、一度わざと滑落してみてください。ターザン気分で楽しいですよ(笑)幹まで楽に帰ってこれる一番のワザです。
[行き道]
行き道は楽しいです。思っている以上に簡単ですし、心がうきうきします。だれか俺の雄姿を写真に収めてくれ!と私はいつも思っています。
システムとしては、ロープ下降と同じです。まず、体重はクライミングラインに預けます。足は枝から滑らないようにグリップを効かせるくらいの感じ。決して足で立つという感覚ではありません。そして、ゆっくりフリクションヒッチをずらしながら、枝先に向かいます。もう片手はバランスを取るためにロープを掴んだり、枝を掴んだりしているはずです。その様はリムウォークというより「リムすり足」。
通りすがりに適当な枝があったら、そこでリダイレクトをかますと安心です。滑落時の支点を変更できます。リダイレクトとは、別枝にスリングをガースヒッチ、そこにかけたカラビナやプーリーにクライミングラインを通すことです。ラインの流れを変更する事ができますし、リダイレクトポイントが新しい支点になります。
また作業現場に着いたら、ガースヒッチしたスリングのループを足掛かりにすると、ポジショニングが楽になります。これ、見栄えが非常に良くてかっちょいいです!
[帰り道]
私が思うに、リムウォークは「行きは良い良い、帰りは怖い」です。枝先まで行くのはいいんですが、初めてリムウォークした時は帰りに愕然としました。俺はどうやってここまで来たんだい?みたいな。
帰りですが、システムとしてはロープ登攀時と同じようになります。ここでフリクションヒッチの特徴が効いてきます。スラックテンダーがあれば片手で操作できますし、下降システム(行き道の時のシステム)から換装する必要がないんです。例えば枝先でのSRTのシステム換装なんてほとんど無理ですからね。ただでさえ不安定ですし。
実際の手順ですが、スラックテンダーを使ってフリクションヒッチを戻していくだけです。ですが、この時体をすこし持ち上げる必要があります。フリクションヒッチから荷重を抜かないといけないですし、ロープを前方に送らないといけないからです。これが怖い。ほんとに怖い。しかもこの時前述のスラックが発生します。だからスラックテンダーで動かした後にスラックの長さだけ体が後方に倒れます。ほんとに怖い。
[いろいろ]
そんなこんなのリムウォークですが、バランス感覚勝負なところがあります。あと基本的に片手でフリクションヒッチを操作する事になります。空いている手はワークエンド側のロープを握ったりしてバランスをとります。
で、このバランス問題に関して。クライミングラインとは別にもう一本ロープを垂らして、このロープでバランスをとるのをおススメします。最高にラクになります。これは単純にバランスとるのに使うだけなのでクレモナロープでもいいです。
帰りのシステムですが、今回紹介したのは基本です。もっと安心な方法があります。上記の方法が怖いのは、要はロープを前方に送り出す部分です。この時ロープに体重を預けられないうえに、前傾姿勢になって重心がふらつくから怖いんです。あとスラック。だからロープを引っ張る動作にしておげたら楽になります。さっき思いついたんですが、ロープエンド側にロープクランプを設置して、そこでヨーヨーシステムみたいにロープを折り曲げたらいいんじゃないでしょうか。
あと、リムウォークですが、どこでも練習できます。2mくらいの高さにアンカーとって、地面を歩いてみたらいいんです。もしくは丸太の上とか。スラックラインもいいかもしれません。今回、文章ばかりでわかりにくいと思うのですが、実際やってみると雰囲気が掴めるとおもいます。是非やってみてください。
ちなみに今回の方法ですが、セルフビレイ2個取りの原則が守れていません。なんとかならんかと考えているのですが、たぶん実現は無理でしょう。複雑なシステムにすると余計に危険な気もしますし。
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