« 2010年1月 | トップページ | 2010年3月 »

2010年2月の12件の記事

2010年2月26日 (金)

アメリカンスタイルとヨーロピアンスタイル

ロープを使用した登攀下降技術には大きく分けて2種類の流れがあります。アメリカンスタイルとヨーロピアンスタイルです。

という訳で大雑把にこの2種を比較します。特にレスキューの世界で違いが顕著なので、それを念頭において記載します。

アメリカンスタイル
・使用ロープ径は1/2インチロープ。スタティックロープ。
・プルージック大好き。ほんとに大好き。様々なフリクションヒッチを駆使します。
・メカニカル器材(アッセンダーとか)はあまり使わない。
・器材の安全係数を大きく見ている。(例えばスチール製のカラビナ使ったり)
・チームレスキューである。役割分担がはっきりしている。
・日本では「レスキュー3」が普及を担っている。

ヨーロピアンスタイル
・使用ロープ径は11㎜ロープ。スタティックロープ。
・メカニカル器材が非常に発達している。道具フェチにはたまらない。
・多少の役割分担はあっても、基本的にはワンマンレスキュー。
・ロープアクセスは基本的にこっちの技術。
・日本では「アルテリア」が普及を担っている。


[まとめ]
だいたいこんな感じです。私もそれほど詳しい訳じゃないので誤りがあると思います。じゃあ何故こんな記事を書いたかというと、これをちょっとでも知っておくと頭の整理がしやすいからです。

ツリークライミングを考えてください。

あれ、元々はアメリカンスタイルの影響を非常に受けているんだと思うんです。クライミングラインもロープ径が1/2インチのものが多いですし、ブレイクスヒッチ等のフリクションヒッチが発達しています。

そこにロープアクセス技術の流入という形で、ヨーロピアンスタイルが入ってきます。言いかえるとツリークライマーがSRTを積極的に導入しだしたということです。そんな訳で11㎜ロープが登場。ドイツのA.R.T.などのヨーロッパメーカーが、メカニカル器材を生み出していきます。

というように、この概念を知るとツリークライミングの発展史が流れが少し見えてきません?果たしてこの流れが本当にあっているはどうかは知りませんがsweat01

まあそんな経緯からか、ツリークライミングって他のロープアクセス技術とはちょっと違った立ち位置にいる気がします。どちらとも言えない、特殊な発展をしている気がします。例えばDdRTってほんと革新的だなと思います。他のジャンルでDdRTを使っている・流用している事例を私は知らないです。

また私はヨーロピアンスタイル出身なので、アメリカンスタイルの技術はあまり詳しくありません。そんな訳でアメリカンスタイルの技術を知るとワクワクします。発想の根源が違うからおもしろいんですよね。CMCのレスキュー本買おっかなー。

あと、どちらが優れているとか、そういう話では全くないです。どちらの技術も積極的に吸収した方が絶対お得です。体系理念が違うので安易な導入は危険ですが、それを乗り越えた上で、自分のシステムに流用する利点・欠点を考えてるのってほんと楽しいもんです!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月25日 (木)

A.R.T.「ロープガイド」の動画ですよ

以前から欲しい欲しいと書き重ねている、A.R.T.の「Rope Guide」。ウェススパーかシェリルの今年版のカタログができたら買っちゃおうかなーと考えております。

で、本日ふらふらとネットで遊んでいたところ、ロープガイドの説明動画を見つけました。投稿者はオーストラリアはブリスベン在住のEkkaさんです。こちらのリンク先に動画があります。

海外のアーボリスト用BBSのひとつ、「TreeWorld」の記事ですねー。こういうBBSってすごく参考になる事が書いてあって魅力的なんですが、スラングっぽい英文が多いので意味が掴みきれない時が多くて困ります。英語の壁は果てしなく高い…

ではでは皆さんもぜひこの動画をダウンロードして鑑賞してみてください。以下は私がなんとなくわかる範囲での説明です。

[ざっくばらんに解説します]
0:00~ おおーいきなり広告!なんだこの音楽?え、サーフィン?

0:16~ お、説明が始まった。これのラインはサムソンの「Zing-It」ですかね。

0:39~ 木の表皮(カンビウム)を傷つけちゃうんだよって話でしょうね。

0:58~ 出ましたロープガイド!アジャスターが思ったよりスムーズに動いててビックリ。

1:45~ ロープを通し出しました。

1:57~ 意訳「スムースだぜー」。いい笑顔です(笑)

2:10~ ロープガイドの解除方法です。意訳「ノットじゃなくてボールを使うんだぜ。」そうか、長い紐につけ替えたらプルージックでいけるのか!疑問がひとつとけました。

3:10~ そこ、手をつかったらダメだろう(笑)

3:27~ 幹に巻いた場合の紹介です。うーん便利そう。

5:10~ おおー!きれいに外れるなあ!

5:14~ 実際の解除例ですね。こんなきれいに外れるとは思いませんでした。

5:43~ これがちょっとわからない。スリング付きスナップをスラックテンダーみたいに使用しているって事だと思うんですが…英語がわからないです。

7:27~ フリクションセーバーとロープガイドとの登り比べ。先にフリクションセーバー。

8:26~ そしてロープガイドでの登攀開始。

9:02~ 作業者の感想。意訳「ロープガイドめっちゃ楽チンやん!」


[感想]
うむむ、やっぱり欲しいなー!カタログ待たずにさっさと買っちゃおうかなー!

でもこれを見て新しい疑問が。ロープガイドってフリクションセーバーみたいに地上から導入できるんですかね?これって大リングにプーリーを通したガースヒッチで固定しているでしょ。どこかで導入方法を見た気もするんですが…

あと、この動画のロープガイドは一世代前のやつですね。ショックアブソーバーがついていない事からわかります。この記事の投稿日を見ても、現バージョンが出る以前ですし。

というかそんな事より、さっきの動画のあのしんどそうな登り方は一体なんなんでしょうね?フリップラインをあんな風に使う発想はなかったです。もしフットアッセンダーがなかったんだとしても、それならフットロックで登る方が楽チンそうな気がしますが…。疲労は注意力を散漫にするから、なるべく楽チンな登攀を心がけるべきだと個人的には思っております。

でも、まるで木を歩いているような感じがして一般受けしそうですね。今度施主さんが作業を見てくれている現場があったら、試しにやってみようと思いますsun

| | コメント (0) | トラックバック (0)

フリクションセーバー便利じゃん!!

先日、知り合いの家の裏山にあった枯れ松伐除をやってまして。

で、作業自体は無事済んでから現場を見渡していたところ、樹自体は生きているけど枯れ枝がついている松があったんですね。枯れ枝の地上高は約8m。もし折れたら地元の方がたまに利用している里道に落ちそうでちょっと不安です。家の人に言ったところ「じゃあきっといてー」と有難いお言葉をいただいたので、レッツ木登り!!


[状況説明]
状況としてはこんな感じです。二股の部分ですが、本来なら主幹になるはずだった左の枝は3cmほど残して折れてしまい、右に立ちあがっている枝が成長しています。右枝は元気です。その二股の下に枯れ枝がありました。もっと右枝に向いて肥大するような幹のイラストを書けばよかった…。

作業内容としては「木に登って、枯れ枝を単純に切り落とす」だけです。吊り切りの必要はありませんでした。もし作業中に歩行者がきても地上班が止めてくれます。単なる里道ですし、問題なしでしょう。
Img_0022_01

で、ちょいちょいとスローラインをかけると…こんな風にかかっちゃいました。Img_0022_05

このまま普通にクライミングラインをかけると、左側に回り込んだ時にラインが外れそうで怖いなあ…と少し悩みました。
Img_0022_03

もう一回スローラインをかけ直そうかとも思ったんですが、そこでピンッときまして。こういう時こそフリクションセーバーの出番じゃないか!!


[作業の流れ]

という訳で作業開始。まずはスローラインが幹を巻くように通り道を変更します。私はこういう時の為に10mチョンボ棒を持ち歩いています。というか、実はこれでスローラインも枝にかけています。ウェイトなんて投げていられるかいっ!私が使用しているチョンボ棒はデンサンの「ブラックフィッシャー」。電設屋さんの道具です。詳しくはまた後日紹介します。もうこれなしでは仕事できません。
Img_0022_06

で、次にフリクションセーバーを導入します。こういうやり方ではなく、後付け式のやり方です。なんかこっちの方が好きなんですよね。フリクションセーバーの長さ設定は適当です。見た目で「だいたいこんなもんかなー」って感じで長さを決めています。が、短いと結構つらいです。長くてもずり落ちてきそうで怖いんですが。やり直しはきくので、まあ大丈夫です。単純にクライミングラインを引っ張ってフリクションセーバーを引き落とすと、導入前の状態に戻れます。
Img_0022_07

で、アンカーが完成!!フリクションセーバーが幹を巻いているので、外れる心配がなくなりました。上記のイラストから、もう一度スローラインを落とす→ウェイトを外してから、スローラインとクライミングラインの末端を結ぶ→スローライン引きこむ→完成!!の流れです。

Img_0022_08
あとはDdRTでサクサクッと登っておしまい。今回チェーンソーは使わず、買ったばかりのシルキー「ズバット」で切ってやりました。使ってみたかっただけです。めちゃくちゃよく切れて感涙しました。さすがシルキー、世界に誇る日本企業だけあります。

枯れ枝がなくなって松の見栄えも良くなったので、今回の依頼者さんにも喜んでいただけました。今回の作業も大成功!!


[感想]
うーん、フリクションセーバー便利ですね。以前まで気になってた摩擦もあまり感じなくなってきましたし。この方法を応用するとスギやヒノキもDdRTでいけるでしょう。スローラインの流れを整理するのがとんでもなく大変でしょうが…。

でも、この方法はアジャスタブル式のセーバーじゃないとダメです。幹にぴったり巻きつけるのがミソですからね。なので、バッキンガムのフリクションセーバーを買われる際には、ついでにフリクションセーバー・プルージックも買った方がいいと思います。もしくはシェリルのこれとか、A.R.T.のロープガイド等もナイスチョイスだと思います。

注意点としては、フリクションセーバー設置時にライン同士が絡んでいないかよく見ておく必要があります。もし絡んだまま手順を進めていくと、クライミングラインが樹上のリング付近でガッチリからまって、地上からでは回収不可能になります。実際経験したら泣きそうになります。ええ、もちろん私やっちゃいました。チョンボ棒でなんとか回収しましたが、ほんと悲しくなりました。チョンボ棒バンザイ!!

あと、フリクションセーバー導入時に、上記のような後付け方式だとウェイトが邪魔して木の股を越さない時があります。そんな時は先付け方式でやるといいだけです。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

2010年2月22日 (月)

落下係数について(101010追記あり)

(10/10/10追記:この記事に致命的な間違いがありました。詳しくはこちらの記事を参照してください。とりあえず誤りがある文章に打ち消し線を引いています。後ほど新しく記事を書きなおす予定です)

今回は落下係数の算出方式について。落下係数は他に墜落率と言ったりフォールファクターと言ったりもしますが、言い方の違いだけで中身は全く同じです。

前回の記事でお伝えした通り、この落下係数によって衝撃荷重の最大値が決定します。非常に重要な指標です。これを知らない人がロッククライミングやツリークライミングをやるのは危険だと思います。短距離墜落の怖さがわかっていない恐れがあります。

算出方式は以下のとおり。
落下係数=(墜落距離)/(作業者とアンカーの間にあるロープ長)


[例題ですよ]

以下のイラストを見てください。記号は、α:墜落係数、h:墜落距離、L:ロープ長、です。黒いボックスがアンカー。③の5m地点にある半円の輪っかは中間支点(ランナー)です。

Img_0009

①アンカーと同じ位置にいる場合。
作業者はアンカーと同位置にいます。ロープ長はL=5mとします。墜落した場合、ロープの長さに等しい距離を墜落する訳ですから墜落距離はh=5m。つまり墜落係数はα=1となります。

②ロープ長の最大まで自分がのぼっている場合
ロープ長を5mとすると、墜落距離は5+5=10mになります。墜落係数はα=2です。

③途中に中間支点を伴う場合(ロッククライミング的な手法)
ロープ長は10m。5m地点に中間支点があります。中間支点でロープが折り曲がって墜落距離は10mです。墜落係数はα=1。

④長距離の墜落
いきなり墜落距離が10000m(笑)。違う意味で死にそうな領域ですね。それでも墜落係数としては②と同じくα=2です。


[落下係数の特徴]
これでなんとなく雰囲気は掴んでもらえたでしょうか?墜落係数の特徴はこのようになります。

・墜落係数の最大値は2、最小値は0
墜落係数の最大値は基本的に2です。これは②で示したようにアンカーより上で、ロープがぴんぴんに張った状態で墜落する時に発生します。この状況、思っているより発生しやすいですよ。

アンカーと同じ位置から落下した場合の落下係数は1です。また、墜落係数が0っていうのがどのような状況かわかるでしょうか?そうです。単純にロープにぶらさがっている状態ですね。墜落といえるかどうかはわかりませんが。

・同じ人間が同じロープを使用している場合、墜落時の衝撃を緩和するには落下係数を下げるしかない
これ、前文の条件も大事です。前回も言いましたが、墜落時の衝撃の値を決定するのは、落下係数と墜落物の重量、そしてロープの伸び率です。前文の条件で2つの値が決定してしまっているので、あとは落下係数を可変するしかない、と言うことを伝えています。

・墜落係数は墜落距離のみで決まる訳ではない
墜落係数は墜落距離だけでは計れません。②と④を比べてもらえれば一目瞭然です。同じような状況(ロープぎりぎりまで登っている場合)なら、例え墜落距離が5mでも5000mでも、墜落係数=衝撃荷重の最大値は同じです。墜落距離が5mmでも同じですよ。短い墜落なら大丈夫だろって訳じゃないんです。

これ何故かわかります?感覚として長距離の墜落のほうが衝撃が多そうでしょ。例えばビルの1階から飛び降りるのと10階から飛び降りるのでは、明らかに衝撃が違いますよね。

[張力は一緒です]
落下係数は衝撃荷重の最大値を決める、と初めに書きました。状況としては墜落してロープが最大展張している時です。そしてこの時、ロープには最大張力がかかっています。張力とは、ロープを破断させようとする引っ張り力です。

ロープに吊られている状況で長距離墜落をした場合、アンカーと作業者間のロープの長さも長くなります(ロープが長くないと長距離墜落できないですし)。そしてロープが長くなった分、衝撃を拡散できる場所が増えている訳です。

前述のイラストの②④を思い出して下さい。同じ状況で墜落した場合、墜落距離が増えてもその分ロープも長くなるのだから、ロープ1m辺りにかかる張力はどちらも一緒って事です。詳しく知りたい方は前回もお伝えしたこちらのHPをみてください。

張力が一緒なんですから、最大張力も同じです。だから衝撃荷重の最大値も変わらないんです。

その代り、ロープ長が増えると墜落時のロープが伸びる距離と時間は長くなるので、アンカーへの負担は増化しています。そういう意味では、短距離墜落の方が全体のシステムに与える負荷は小さいです。

[ツリークライマーな方へ]
私の極個人的な意見です。確証はありませんが確信しています。上記の計算式で「アンカーと作業者の間のロープ」と書きましたが、DdRTの場合、ロープ長は「トップアンカーと作業者間のロープ長」で計算する必要があると思います。つまりロープエンドからスプリットテイル間のロープ長の半分って事です。

トップアンカーは中間支点として捉えそうになりますが、ここをアンカーとして見る方が正解だと思う訳です。墜落時に支点として機能するのはトップアンカーだからです。

そして、墜落時においてクライミングラインにかかる衝撃荷重は1/2になります。そのクライミングラインが二か所(ロープエンドとスプリットテイル)自分に繋がっている訳ですから、結局自分にかかる衝撃荷重は「1/2×2=1」で元通りですけど。

DdRTでの墜落は、ロッククライミングでいう「ダブルロープ」時の墜落と同じような挙動になると思っています。


[まとめ]
落下係数の怖さは、短距離墜落時に現れます。例えばアンカーと自分をカラビナのみで接続しているとします。カラビナの長さだけアンカーからちょいっと上に行けば、そこには落下係数2の世界が待っている訳です。しかもカラビナの伸び率はまったく期待できません。たぶん重篤な事故になるでしょう。これ、落下係数を知っていないとどれだけ危険な状況か想像できないと思います。

また、アンカーと同じ位置から墜落した場合、落下係数1です。ダイナミックロープを使用したペツルの「ジェーン」ですら、落下係数1でも衝撃荷重は7kNです。人体に無害であると言われているのは6kNまでですから、なにかしらの被害は受けるはずです。ダイナミックロープより伸び率の低いセミスタティック、さらに伸び率の低いアーボリストロープでは確実に激甚な被害が出ると思われます。

本当に気をつけてください。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月19日 (金)

墜落の衝撃を受けるタイミングはいつ?(101010追記あり)

(10/10/10 追記:この記事に致命的な間違いがありました。詳しくはこちらの記事を参照してください。とりあえず誤りがある文章に打ち消し線を引いています。)

(元記事ここから)
前回、墜落係数について書くと宣言しましたが、その前にちょっと前フリをはさみます。

作業者が墜落の衝撃を受けるのはどのタイミングでしょう?

普通は地面に墜落した瞬間(グランドフォール)ですよね。空中を浮いている間は衝撃を受けません。落下の風圧と加速していく速度を感じるくらいでしょう。ロープに吊られている場合はどうでしょう。実はロープが最大に張った時に作業者は衝撃を受けます。この一瞬です。また、アンカーはその前から衝撃を受け始めていて、ロープが伸びている間は衝撃を受け続けます。

[実際の流れ]
例えばロープが5mあったとします。そして落下時にゴム紐みたいに1m伸びたとしましょう。落下した距離は合計6mとなりますね。

落下5m地点まで衝撃はありません。。元々あったロープの長さ分です。そしてこの間は「ロープが伸びている」とは言いません。ロープが伸び始めるのはテンションがかかってからです。

で、5m地点から6m地点まで。テンションがかかってロープが伸び始めます。ここからアンカーは衝撃を受け始めます。ロープが最大展張するまで衝撃荷重は二次関数のグラフみたいにどんどん強くなっていきます。落下距離が長いほどロープはよく伸びて、伸びた分だけアンカーが衝撃を受ける時間は長くなります。ロープの伸びる長さは墜落距離に依存します。

最後に6m地点。ロープが最も展張している地点です。そしてこのタイミングが衝撃荷重の最大点でもあります。ここでやっと作業者にも衝撃がきます。つまり作業者には衝撃荷重の最大点が一瞬で負荷されます。そしてこの最大点がどのような値をとるかは落下係数に依存します。落下距離じゃありませんよ。

次に起こる挙動ですが、バンジージャンプのようにビョンビョンと伸縮を繰り返して、最終的に落下5m地点に収束していきます。厳密には今回の衝撃のせいでロープの編みや撚りががっちり決まってしまい、多少ロープが伸びているはずです。←これが何回か衝撃を受けたダイナミックロープは破棄しろ!という理由の一つです。衝撃を受けたロープはどんどん固くなっていき、伸び率が低下していきます。


[まとめ]
文中にさらっと落下係数の言葉を出していますが、これで落下係数がいかに大事かおわかりいただけたでしょうか。

・アンカーが墜落荷重をうけるのはロープにテンションがかかっている間ずっと→テンションのかかる時間はロープがよく伸びるほど長くなる→ロープの伸びる距離は墜落距離によって決まる。

作業者が墜落荷重をうけるのはロープの最大展張時→衝撃荷重の最大点→最大点は落下係数で決まる。

この一連の流れをよく覚えておく必要があります。

ちなみに何故作業者が墜落荷重をうけるのはロープの最大展張時なのか。最大に展張するまで作業者は空中に浮いているからです。最大展張した時にはじめて作業者の体は固定されます。そしてロープを通じて墜落エネルギーに衝突するのです。あー恐い怖いdown

あと、墜落荷重の最大値を決定する項目は、作業者の体重、ロープの伸び率、落下係数、の三点です。何故このように落下係数だけ取り上げるかと言うと、登りだしちゃったら、落下係数はコントロール可能だけど、自分の体重と使用しているロープは変更できないからです。

ですから、普段からダイエットする、やばそうな時はダイナミックロープを使用する、等の方法でも衝撃荷重は緩和できます。


それでは次回は落下係数の算出方法について。(次記事へのリンクはこちら


(参考)
今回の記事の内容について、もっと詳しく知りたい方は下記リンク先の記事が非常に参考になります。今までインターネットサーフィンしてきた中でも、この記事が一番感動しました。墜落の理屈は知っていましたが、一番知りたかった数式に出会えた!!
ロッククライマーの方なら必見です。ツリークライマーの方ももちろん必見!ちょい難解ですが、4日くらいかけて数式もちゃんと見ていけばいつかピン!ときます。
岩登りにおける確保システムhttp://www.k5.dion.ne.jp/~botch/belay/belay_menu.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月17日 (水)

ワークポジショニングとフォールアレストの違い

以前、「EN358とEN813について」という記事の中で、「シットハーネス自体が0.5mまで墜落を許容しています。正確に言うと、0.5m以上の墜落の危険がある場合はフォールアレストシステムを採用する必要があります。」 と記載していました。

これ、言葉足らずです。よくよく考えてみると非常に危険な思い違いをする可能性があるので補足説明をします。

この文章、正確に言うと、「フォールアレストシステムの一部分としてシットハーネスを使用する場合、0.5mまでの墜落しか許容しない。0.5m以上の墜落の危険がある場合はEN363に適合したフルボディーハーネスを使用する事」 となります。決してワークポジショニング中の0.5m墜落を許容している訳ではありません!←(重要)

じゃあワークポジショニングとフォールアレストの違いって何なんでしょう。今回はそこに焦点を当てます。

[ワークポジショニング]
ワークポジショニングとは、U字吊りやロープにぶら下がる事で、作業する姿勢を作る事です。木登り技術全般がこれに当てはまります。もちろんロープアクセスもツリークライミングもワークポジショニングです。

ワークポジショニングは墜落しない事が大前提です。わずかな墜落も認めていません。その為にロープにテンションをかけ続ける訳です。テンションをかけている以上、ロープは張っている訳ですし、展張しているロープから墜落したくてもできないですから。

そしてワークポジショニング中における墜落の衝撃は、落下係数によって決まります。状況によっては短距離の墜落でも死に至る危険をはらんでいます。例え0.5㍉の落下でも、です。

[フォールアレストシステム]
フォールアレストシステムは、墜落の危険がある場合に使用します。墜落を短距離で止める事と墜落の衝撃を緩和する事が目的です。例えば墜落時の衝撃荷重が6KNまでの場合、人体に影響はないと言われています。そこでショックアブソーバーを使用して、墜落時の衝撃荷重を6KN以下に抑えたりします。またペツル「アサップ」などのモバイルフォールアレスターは落下を即座にストップさせる役割を持っています。

フォールアレストシステム用のロープには普段テンションをかけません。テンションをかけるという事は、そのロープをワークポジショニングとして使用している事になります。これはダメです。だから、もしツリークライミング中にフォールアレストシステムを構築したい場合は、クライミングラインとは別にバックアップラインとしてもう一本ラインを追加する必要があります。これは言葉遊びではなく、本当の事です。

[まとめ]
ワークポジショニングとフォールアレストシステムは全くの別物です。それぞれを単体で使う事もあれば、両方を同時に使用する場合もあります。

例えば安全帯にショックアブソーバー付きのランヤードがありますよね。あれはフォールアレストシステムです。昇柱器と一緒につかう普通の安全帯はワークポジショニング用です。この違いが理解していただけるでしょうか。アルテリアの技術情報、「ワークポジショニング」と「フォールアレスト」の項目も是非参考にしてください。

で、ですね。最初の話に戻ります。墜落の危険がある状況で、シットハーネスは0.5mまでのフォールアレストシステムにしか使用できません。たった50cmです。それ以上の墜落の危険性があればEN363フルボディーハーネスの出番になってしまいます。

墜落の危険がある状況ではシットハーネスは使ったらいけない。と考えておけば問題ないです。そしてシットハーネスを使用している時は絶対墜落しない事を常に念頭においてください。

そしてワークポジショニング中の墜落の場合、墜落距離だけでは衝撃荷重は決定しません。落下係数で決まります。これはロープにぶらさがっている事に起因します。墜落の衝撃をロープから受けることになるからです。0.5mなどの短距離墜落が、非常に危険な状況になる事が多いです。


次回はこの落下係数について書きます。ロープアクセス時における墜落の衝撃荷重を決める、非常に重要なものです。(次記事へのリンクはこちら

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月16日 (火)

プーリー現象

ちょっと下のイラストを見てください。

50kgの荷物をプーリーを介してA君が支えています。この時、プーリーのアンカーである枝には一体何kgの荷重がかかっているでしょう?摩擦等は抜きにして、あくまで理論的な話として。

Img_0020

答えは…100kgです。50kgじゃありません。

何故ならプーリーには荷物の荷重(50kg)と一緒に、A君の荷物を引っ張る力(50kg)が加算されるからです。もしわかりにくければ、A君の持っているロープ側に50kgの荷物を吊るしたら?と考えてください。
A君が支えるかわりに荷物を吊るすということです。これでも元々あった荷物は支えられますよね。そして、これなら50kgの荷物を二つ支えるアンカ-に、100kgの荷重がかかってもおかしくないでしょう。


それでは次はこれ。この時の枝にかかる荷重は何kgになるでしょうか?

Img_0021

答えは200kgですね。50kgの荷物を支えているだけなのに、アンカーにはなんと200kgもの荷重がかかる事になります。なんだかプーリーが恐ろしくなってきません?

この現象を「プーリー現象」といいます。リギングの時に重要なので覚えておいて損はないです。

特にリードクライミング的手法で木登りされる方は気をつけてください。墜落した際、最終支点(一番自分に近い中間支点)にプーリー現象が起こります。つまり、墜落衝撃荷重の約2倍荷重が中間支点にかかっちゃいます。
これ、相当やばい衝撃です。詳しくはみんな大好きロストアローさんのHPで知る事ができます(リンクはこちら)。


ちなみにDdRTのトップアンカーはどうでしょうか?静止中という条件にします。(ここでいうトップアンカーとは、フリクションセーバーがのっかかっている枝です。つまりクライミングラインの折れ曲がり地点の事です。)

A君が50kgだった場合、アンカーにかかる荷重は50kgです。ロープにかかる荷重はそれぞれ25kgずつです。

DdRTは、50kgの荷物をロープで吊るしているのと変わらないからです。ロープはトップアンカーを支点に2つに分けられ、ロープ一本にかかる荷重は半分になるという訳です。

SRTだとロープにかかる荷重が50kgになる(ロープが一本だから)だけで他は何も変わりません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月11日 (木)

シェリルとウェススパーのカタログin2009

今回はシェリルとウェススパーの2009年版カタログの入手方法について。

ほんとこの二店にはお世話になりっぱなしです。しかもこのカタログのしっかりしている事ったらもう!しょうもないメーカーカタログより断然見やすくわかりやすいです。これに対抗できるのはペツルのカタログくらいじゃないでしょうか。ペツルのカタログも、ほんとすごい。

入手方法ですが、まあ注文時にカタログ同封してもらうのが普通です。しかし、どちらのお店もPDFファイルをダウンロードしたり、送料払って送ってもらうことは可能です。
R0015515_s

詳しくは以下から。

[WesSpur]
ウェススパーの2009年カタログは見やすい上にステッカー付きなので得した気分になれますちょっとしたテクも書いてあったりして楽しいです。しかも「The Tree Climber’s Companion」からイラストごと引用してあったりします。

どっこいところが2009年カタログは既に在庫切れみたいですね。ウェススパーのこちらの記事を参照してください。「まもなく2010年版ができるからメールをくれたら送るよ!」って書いてありますが、これが米国内のみのサービスなのか、日本でもオッケーなのかわからない。たぶん送料とられるでしょう。

とりあえず、こちらのリンクを見てもらえばわかるように、送料10ドルでカタログを送ってもらうことは可能です。郵送方法で“Catalog Only - International”を選択する必要があります。 

また、上記のリンク先からカタログPDFファイルをダウンロードできます。めちゃくちゃファイルサイズがでかいので、右クリック保存してから見た方がいいと思います。

もしくは、アウトドアショップKさんで注文するという方法もあります。500円です。こちらのリンクからどうぞ。まあ500円なら買ってもいいかなと。カタログだけ欲しい場合、送料などを考えると安いもんです。それにあのカタログは間違いなく500円以上の価値があります。紙媒体の方が見やすいですよ!

R0015518_s


[SherrillTree]
シェリルのカタログは最強です。商品の説明はサイトよりこっちのカタログの方が断然詳しいです。それに実用的なテクニックが満載!アメリカ木登りテクの「いま現在」を知る事ができます。独学派の私はこれ読みながら目からウロコがどっさり出ました。1週間くらい楽しめました。今でも見直すと新しい発見があります。

で、シェリルもPDFファイルのダウンロードが可能です。こちらのリンクの下の方です。

さらに、カタログを送料10ドルで送ってもらう事も可能ですこちら)。しかもこの時送られたカタログには10ドル分のクーポンコードが付いているみたい!シェリルさん太っ腹ですねー。シェリルがDHL以外で郵送してくれたらもっと贔屓するのになー。

R0015520_s


[まとめ]
今回の記事を書くにあたってウェススパーの以前のカタログを探したのですが、どうも捨ててしまったみたいで見つからない…残念!以前はもっとペツルの商品が安かったんですよ、実は。あの為替ショックのタイミングで、円が強くなったと同時にヨーロッパメーカーの製品が値上がりしたような記憶があります。

あと、シェリルは2009年版しか持っていないのでわからないですが、ウェススパーは毎年レイアウトががらりと変わります。相当な労力をつぎ込んで作られたカタログです。2007年は良かったんですが、2008年のはひどかった(笑)読む気がおきませんでした。2009年のは名作だと思いますよ。ステッカーついてるし。サムソンのステッカーなんてそう簡単にゲットできないと思います(笑)。

とか、色々な楽しみ方があります。なんとかしてカタログを毎年入手する事をおススメします。早く2010年版のカタログできないかなー!楽しみだなー!!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月10日 (水)

ヘルメットの規格について

(3/02追記)バーテックス3兄弟のEN規格対応について。ペツルの2010カタログの32ページに詳しい記載がありますので、参考にしてください。こちらの方が間違いなくわかりやすいです。リンクはこちらファイルサイズが大きいので右クリック保存してから見た方がいいと思います


(元記事ここから)
今回はヘルメットの規格について。ヘルメットと一言で言っても色々な用途のやつがありますが、今回は産業用ヘルメットに特化して書きます。前回紹介したペツルの「バーテックス ベント」などですね。前回記事はこちら


[日本の規格]
とりあえず産業用ヘルメットの規格ですが、日本では飛来物防止落下時保護電気絶縁用、の三種類があります。詳しくはウィキペディアのヘルメットの項目をご覧ください。

店で売っているヘルメットをみて、安いやつが飛来物防止、内部に発砲スチロールがあったら落下時保護兼用、値段が高くて通気孔が空いていなかったら電気絶縁兼用、です。だいたい合っていると思うので一度確認してみてください。


[ヨーロッパ規格]
ヨーロッパ規格をみていくと、EN12792(登山用ヘルメット)、EN397(産業用ヘルメット)の2種類があります。詳しくはペツル本国サイトのこのぺージを見てください(←EN規格の内容がわかるページをついに見つけました)

で、どうもEN397は地上作業を前提としているみたいで、高所作業時における落下保護性能はEN12792が適応されるみたいです。

それを如実に表しているのが、あご紐のバックル性能の違い。EN397ではある一定の荷重がかかった時に壊れるようになっています。ヘルメットが外れる事によって頭部への衝撃がモロにかからないようになっているのだと思います。ペツルで言うと「バーテックスST」です。ペツルの産業用ヘルメットはこちらのリンクから見れます。

これに対して、高所作業用途の「バーテックス ベント」と「バーテックス ベスト」はバックルの破断荷重が「ST」の二倍ほどあります。墜落の衝撃でヘルメットが外れないように考えられています。でもこの為にEN397の基準の項目を満たしていない事になるので、EN397の適合表示がありません。とはいえこの二つのヘルメットも強度等はEN397に適合しています。つまり、すべての項目に適合していないとEN規格は表示できないって事ですね。

登山用ヘルメットの規格であるEN12792ですが、そりゃまあ高所作業で使えるよなっていうのはわかります。ロッククライマーはグラウンドフォールや落下中に岩壁にぶつかる危険もあるし、落石から身を守るんですから。さきほど紹介したペツルのページを見ても、EN12792の方がハイレベルな試験を合格している…ような雰囲気を感じました。ちょっとわからないです。

ですから登山用メットを使用してもいいと思うんですが、それでも耐久性から考えて素材がポリカーボネイドのやつがいいと思います。ペツルだと「エクランロック」ですね。例えばウレタンフォームの「メテオ」は…純粋に木登り用限定なら問題ないとは思いますが、普段の仕事でも使いたい私は選ばないでしょう。せっかくかっこいいのに藪漕ぎ中にすぐにボロボロにしそうなんで(笑)。ペツルの登山用ヘルメットはこちらのリンクから。

ちなみにEN397にはオプション項目があって、そこに電気絶縁性テストがあります。「ST」と「ベスト」はこれに適合しています。さらにこの二つは日本の飛来物防止のテストにも合格しているみたいですね。じゃあ「ベント」はどうなんだ?ってなりますが…


[まとめ]
迷ったら「バーテックス ベント」で、もし電気線の近くで作業される場合(例えば高圧線の線下伐採)は、「バーテックス ベスト」を選べば問題ないんじゃないでしょうか。「ST」はプラントや工場の作業員用ってことだと思います。

なんだかんだ言って私も調べたものの、結局わからなかったんですよね。でもベントの普及率から考えて問題があるとは思えません。こういった「周りがやってるから問題ないんだろう」的な考え方は本来あまり好きじゃないんですが、ヘルメットは単体で使うもんだしなんらかの操作を要求される訳でもないので、個人的に「大丈夫」と判断しています。

ヘルメットには飛来物防止、落下時保護、電気絶縁、という3大スペックがあるんだという事がわかっていただければ幸いです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月 8日 (月)

ヘルメット Petzl「バーテックス ベント」

私が愛用しているヘルメットは、ペツルさんの「バーテックス ベント(Vertex Vent)」です。アルテリアのページはこちらで、大きい写真をクリックするとカラーバージョンが変わります。(取扱説明書PDFのリンクはこちら)。ペツルには他に「バーテックス ベスト」「バーテックス ST」がありますが、普通に木登りするなら、この「バーテックス ベント」が一番です。

R0015501_s

正直あまりかっこいいと思いませんが、サイドスロットがついているからこれにしました。サイドスロットにはWesSpurで買ったバイザー(これ)を装着しています。イヤマフは鬱陶しかったので外しました。イヤマフ結構重いし、藪漕ぎの時にすぐ引っかかるんですよね。それほどデカイチェーンソー使わないから難聴は気にしない事にしています。伐採中も他の従業員の方の声を聞きたいですし。

バイザーは便利ですが、バイザーカバー?(オレンジ色のやつ)は別にいらないから外そうかなあと最近思っています。っつか「ダサい!」!っていつも言われます(笑)雨除けにはいいんでしょうか?正直私も存在意義がよくわからない。

ちなみにこのバイザーとイヤマフのセット、別に海外で買わなくても、スチールのバイザーセットが装着可能なはずです。こないだスチールの取扱店に行った時に確認したら、イヤマフのメーカー(PELTOR)が一緒だったし、スロット取付部の形状も同じっぽかったので。ハスクバーナのやつがどうかは知りません。近くにハスクをメインに取り扱っている店がないもんでしっかり確認した事ないんです。私がハスク嫌いってのもあります。

[解説]
閑話休題、ヘルメットの話ですね。内部はこういう感じです。内側上部に見えるウレタンフォームのパット(おでこのあたる部分)は交換可能です。

R0015502_s

中央部の格子状になっている部分が強化部分です。ここに異常があれば即廃棄です。例えばこの格子の一部分でも欠けていたらNG。詳しくはアルテリアの「ペツル 個人保護具 点検マニュアル]をご覧ください。リンク先の上から3番目の項目です。

R0015503_s


で、このバーテックス ベント君は換気孔があいてます。開閉は自在です。同じくペツルの「バーテックス ベスト」との違いはここです。

R0015505_s

裏から見たらわかるんですが、このグレーの部品を手で上げ下げするだけです。私はいつも全開です。

R0015506_s

R0015507_s

ストラップの脱着はこのバックルで行います。使い心地はいいです。カチャッって良い音がして気持ちいいです。「バーテックスST」が約15~25kgの荷重でストラップが破断するのに対し、ベント君は50kg以上の荷重まで耐えます。これはどっちが良いとかではなく、使用用途の違いからこのようになっています。

R0015504_s

後頭部にあるこのダイヤルを回すと、ヘッドバンドの調整が可能です。

R0015509_s


実際にかぶるとこんな感じ。私はヘルメットを直接かぶるのが嫌いなので、ニットキャップの上にかぶっています。この状態でフィットするように調節しています。でもこうやって写真で見たらもうちょい調節した方が良さげですね。

R0015512_s

こちらはプロフィールに使っている写真と同じ。この頃は暖かかったのでニット帽じゃなくてキャップですね。でもこういう帽子かぶると、ツバが邪魔してバイザーが下ろせません(笑)何のためにこれ買ったんだという話です。

R0014795_s

[感想]
まあ悪いヘルメットではないんですが、もうちょっとかこよければなあとも思います。私が似合わないだけなんですが。あとツリークライマーはだいたいこのヘルメットなのでつまんないっていうのもあります。でもバイザーつけるサイドスロットが欲しかったので、まあ仕方ないですね。ヘッドランプ装着用のスロットもたまに便利ですし。

今度買う時は色を変えようと思っています。ブラックにしようかなあ。シェリルで売ってたファイヤーパターン柄を買っておけば良かった!今はもうないんですよね。カモ柄はまだ売っているのでどなたか是非挑戦してみてください!

あと、このヘルメットはペツルのワークソリューションです。日本では普通のお店で買えません。登山用品店に頼んでも断られます。なので、アルテリアに直接卸してもらう必要があります。もしワークソリューションの道具が欲しい方は一度アルテリアに相談してみてください。


次回はヘルメットの規格について書いてみようと思います。バーテックス三兄弟の違いがみえてくると思います。


(今後、記事の更新がちょっと遅くなるかもしれません。理由は写真のストックが先行き不安だからです(笑)。だから更新がない時は「あーストック切れたかー」と思っておいてください。雪が悪いんです、雪が。早く春になってほしいもんです!)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010年2月 4日 (木)

リムウォークの概論

今回はリムウォークの概論について。

ただ、このリムウォークなんですが、それこそ枝の張り具合やアンカーの場所によって千差万別です。ですから実際の方法論として「なんとしても枝先まで行くぞ」という強い気持ちを持って現場であれこれ策を練る事になります。もはやリムウォークの体をなしていないような方法を考える時もあります。要は枝先にたどり着けばいいんです。

それにリムウォークできるような楽しい樹に仕事で登った経験があまりありません(汗)たぶんレクリエーションで木登りされている方のほうがリムウォーク経験が多いと思います。私はオフの日に木登りする勇気が…ヘタレなので仕事じゃないと樹に登るの怖いんです。

と言う訳でそれほど大した事は書けませんが、私が思うリムウォーク論を書いていきます。

[システム]
リムウォークを行うなら、システムはDdRTで決まりです。バランスがとりやすいです。と言うか、フリクションノットが最高に便利。理由は記事を読んでいくにつれお分かりいただけるかと。

で、DdRTシステムはハーネスのブリッジに接続するのが一番いいです。アンカーに対して横向きになって移動する事になりますが、この時、接続ポイントがブリッジ上を動いてくれるので姿勢が楽なんですよね。

↓こういう感じです。ちょっとわかりにくいですが、アンカーに対して体を回転できる訳です。

R0014971_ss

これがセンターD環ですと、ハーネスが横に引っ張られる感覚を延々感じなくてはいけないと思います。まあブリッジ自体がリムウォークの為にあるようなもんですからね。そう考えるとNewTribeはあまりリムウォークに向いていない?かもしれません。宙づり姿勢には最高なんでしょうけど。でもできないって事はないでしょう!

[フリクションヒッチ]
フリクションヒッチは好きなのでいいと思います。但し、アッパーコイル(クライミングラインに巻きつけるコブ?の部分)ができるだけ体に近い位置にあった方がいいです。例えばブレイクスヒッチの場合、登攀時には少し遠い所にコイルがあった方が姿勢的に楽なんですが、リムウォーク時はもう一度作り直してできるだけそれをスラックテンダー・プーリーに近づけます。つまりスラックの発生をできるだけ避けたいんです。どれだけ近付けられるかで、枝先からの帰り道が地獄になるか天国になるかが決まります。

そうそう、スラックテンダー・プーリーは必須だと思います。

[アンカー]
アンカーはできるだけ上方にあった方がいいです。少なくとも目的地の枝先より高くないとダメです。リムウォーク中に滑落した場合、フォールじゃなくてスイングします。ブランコみたいな軌道ですね。詳しくはわからないのですが、水平から振られるよりは45度くらいから振られる方がもちろん衝撃はすくないでしょうし、ましてや水平より上位から振られたらかなり危険でしょう。たぶん水平より上位まできたら、墜落衝撃も加算されてくると思います。

あ、短い距離でアンカーがしっかりしてるなら、一度わざと滑落してみてください。ターザン気分で楽しいですよ(笑)幹まで楽に帰ってこれる一番のワザです。

[行き道]
行き道は楽しいです。思っている以上に簡単ですし、心がうきうきします。だれか俺の雄姿を写真に収めてくれ!と私はいつも思っています。

システムとしては、ロープ下降と同じです。まず、体重はクライミングラインに預けます。足は枝から滑らないようにグリップを効かせるくらいの感じ。決して足で立つという感覚ではありません。そして、ゆっくりフリクションヒッチをずらしながら、枝先に向かいます。もう片手はバランスを取るためにロープを掴んだり、枝を掴んだりしているはずです。その様はリムウォークというより「リムすり足」。

通りすがりに適当な枝があったら、そこでリダイレクトをかますと安心です。滑落時の支点を変更できます。リダイレクトとは、別枝にスリングをガースヒッチ、そこにかけたカラビナやプーリーにクライミングラインを通すことです。ラインの流れを変更する事ができますし、リダイレクトポイントが新しい支点になります。

また作業現場に着いたら、ガースヒッチしたスリングのループを足掛かりにすると、ポジショニングが楽になります。これ、見栄えが非常に良くてかっちょいいです!

[帰り道]
私が思うに、リムウォークは「行きは良い良い、帰りは怖い」です。枝先まで行くのはいいんですが、初めてリムウォークした時は帰りに愕然としました。俺はどうやってここまで来たんだい?みたいな。

帰りですが、システムとしてはロープ登攀時と同じようになります。ここでフリクションヒッチの特徴が効いてきます。スラックテンダーがあれば片手で操作できますし、下降システム(行き道の時のシステム)から換装する必要がないんです。例えば枝先でのSRTのシステム換装なんてほとんど無理ですからね。ただでさえ不安定ですし。

実際の手順ですが、スラックテンダーを使ってフリクションヒッチを戻していくだけです。ですが、この時体をすこし持ち上げる必要があります。フリクションヒッチから荷重を抜かないといけないですし、ロープを前方に送らないといけないからです。これが怖い。ほんとに怖い。しかもこの時前述のスラックが発生します。だからスラックテンダーで動かした後にスラックの長さだけ体が後方に倒れます。ほんとに怖い。

[いろいろ]
そんなこんなのリムウォークですが、バランス感覚勝負なところがあります。あと基本的に片手でフリクションヒッチを操作する事になります。空いている手はワークエンド側のロープを握ったりしてバランスをとります。

で、このバランス問題に関して。クライミングラインとは別にもう一本ロープを垂らして、このロープでバランスをとるのをおススメします。最高にラクになります。これは単純にバランスとるのに使うだけなのでクレモナロープでもいいです。

帰りのシステムですが、今回紹介したのは基本です。もっと安心な方法があります。上記の方法が怖いのは、要はロープを前方に送り出す部分です。この時ロープに体重を預けられないうえに、前傾姿勢になって重心がふらつくから怖いんです。あとスラック。だからロープを引っ張る動作にしておげたら楽になります。さっき思いついたんですが、ロープエンド側にロープクランプを設置して、そこでヨーヨーシステムみたいにロープを折り曲げたらいいんじゃないでしょうか。

あと、リムウォークですが、どこでも練習できます。2mくらいの高さにアンカーとって、地面を歩いてみたらいいんです。もしくは丸太の上とか。スラックラインもいいかもしれません。今回、文章ばかりでわかりにくいと思うのですが、実際やってみると雰囲気が掴めるとおもいます。是非やってみてください。


ちなみに今回の方法ですが、セルフビレイ2個取りの原則が守れていません。なんとかならんかと考えているのですが、たぶん実現は無理でしょう。複雑なシステムにすると余計に危険な気もしますし。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

2010年2月 2日 (火)

雑感 02/01

先日の事ですが、知り合いの方に「このブログ、文章が多すぎるし話題が細かすぎて読むの疲れるわ(笑)」とのご感想をいただきました。

うーん、ごもっとも!!!私もそうじゃないかと常々思っておりました!

でも一応理由あってのことです。要点を絞って記事を簡潔に終わらせる事も可能なんですが、そのなんと云いますか、迷彩を施そうとしている部分があるんですよね。あまりにわかりやすいと樹木登攀なんて簡単じゃん!と思われないかと不安で不安で。

実際の話、登攀だけならめちゃくちゃ簡単ですからね。道具があってブレイクスヒッチができりゃ誰でもできますよ。トラブルが発生した時に死んでいいなら。

で、このトラブルってのが非常にやっかいものです。自分でそれに気付けたらまだいいんですが、全く気付かない・気付いていない可能性もありますよね。だから最初は経験者の方と一緒に練習する必要があるんです。もちろん独り立ち後もいろいろな方と情報交換していく中で、トラブルになり得るポイントを埋めていく作業がこれまた必要です。

記事を書く際はいつも、誤解が生まれにくく誰でもわかるように、また自分の知りうる限りの知識と安全に配慮した記載を心がけています。そしたら何故かあんな冗長で読む気の起きない文章になってしまうんですよねー。

いや…これ単純に私の拙い文章力の問題ですね。小学生の頃、担任の先生に「君のスピーチは言いたい事をてんこ盛りにしすぎて結局何がいいたいのかよくわからない」と言われたのを思い出しました。昔から冗長好きだったみたいです。精進します!

こんな辺鄙でニッチなブログにも、最近たくさん?のアクセスをいただくようになってきております。私もがんばって記事を書こう!という気持ちになれます。本当にありがたく思っております。

このブログはプロの方に見ていただく事を一応想定して書いております。私自身がそうであるように、樹木登攀を仕事の一環として使用される方です。もちろんその他の方も大歓迎です!

で、ですね。樹木登攀されるなら、樹木のプロであると同時にロープアクセスのプロフェッショナルである、という気概を持っていただきたい。その為には方法・道具・安全に対する深い知識と理解がいると思う訳です。その一助となれば幸いです。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

[ご案内]
左カラム最上部に「はじめにお読みください」という欄を増設いたしました。まだご覧になられていない方は一度目を通してみてください。なんだか安全について脅してばっかりでごめんなさい。

あと追記に関して。

新知識を仕入れた後に以前の記述に不備があれば書きなおしています。正確な記事にしたいからです。

今まで題名に追記を書いたりこっそり書き換えたりと適当にやっておりましたが、これからは元記事には特に明記しない事にします。その代り、記述の追記・変更情報を一括でお知らせする欄をもうけます。文章を読みやすくする程度の変更は記載しないと思いますが。

元記事を残す形で追記するべきなんでしょうが、読みにくくて仕方ないのでこういう形にしようかなと。何とかなりそうなら残していきますが、冗長な文章があだになって追記を繰り返していくとほんとに読む気のおきない代物になりますんで(汗)。

元記事の上部に追記内容を書く方がいいのかな?正直、追記をスマートに明記する術がよくわからないんですよね…。どこか参考になりそうな追記の上手いサイトをご存じでしたら是非ご教授ください!

明日から記事の総点検と記述の統合をしたいなあ…なんて思っていますが、どうなる事やら?

| | コメント (9) | トラックバック (0)

« 2010年1月 | トップページ | 2010年3月 »