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2010年2月17日 (水)

ワークポジショニングとフォールアレストの違い

以前、「EN358とEN813について」という記事の中で、「シットハーネス自体が0.5mまで墜落を許容しています。正確に言うと、0.5m以上の墜落の危険がある場合はフォールアレストシステムを採用する必要があります。」 と記載していました。

これ、言葉足らずです。よくよく考えてみると非常に危険な思い違いをする可能性があるので補足説明をします。

この文章、正確に言うと、「フォールアレストシステムの一部分としてシットハーネスを使用する場合、0.5mまでの墜落しか許容しない。0.5m以上の墜落の危険がある場合はEN363に適合したフルボディーハーネスを使用する事」 となります。決してワークポジショニング中の0.5m墜落を許容している訳ではありません!←(重要)

じゃあワークポジショニングとフォールアレストの違いって何なんでしょう。今回はそこに焦点を当てます。

[ワークポジショニング]
ワークポジショニングとは、U字吊りやロープにぶら下がる事で、作業する姿勢を作る事です。木登り技術全般がこれに当てはまります。もちろんロープアクセスもツリークライミングもワークポジショニングです。

ワークポジショニングは墜落しない事が大前提です。わずかな墜落も認めていません。その為にロープにテンションをかけ続ける訳です。テンションをかけている以上、ロープは張っている訳ですし、展張しているロープから墜落したくてもできないですから。

そしてワークポジショニング中における墜落の衝撃は、落下係数によって決まります。状況によっては短距離の墜落でも死に至る危険をはらんでいます。例え0.5㍉の落下でも、です。

[フォールアレストシステム]
フォールアレストシステムは、墜落の危険がある場合に使用します。墜落を短距離で止める事と墜落の衝撃を緩和する事が目的です。例えば墜落時の衝撃荷重が6KNまでの場合、人体に影響はないと言われています。そこでショックアブソーバーを使用して、墜落時の衝撃荷重を6KN以下に抑えたりします。またペツル「アサップ」などのモバイルフォールアレスターは落下を即座にストップさせる役割を持っています。

フォールアレストシステム用のロープには普段テンションをかけません。テンションをかけるという事は、そのロープをワークポジショニングとして使用している事になります。これはダメです。だから、もしツリークライミング中にフォールアレストシステムを構築したい場合は、クライミングラインとは別にバックアップラインとしてもう一本ラインを追加する必要があります。これは言葉遊びではなく、本当の事です。

[まとめ]
ワークポジショニングとフォールアレストシステムは全くの別物です。それぞれを単体で使う事もあれば、両方を同時に使用する場合もあります。

例えば安全帯にショックアブソーバー付きのランヤードがありますよね。あれはフォールアレストシステムです。昇柱器と一緒につかう普通の安全帯はワークポジショニング用です。この違いが理解していただけるでしょうか。アルテリアの技術情報、「ワークポジショニング」と「フォールアレスト」の項目も是非参考にしてください。

で、ですね。最初の話に戻ります。墜落の危険がある状況で、シットハーネスは0.5mまでのフォールアレストシステムにしか使用できません。たった50cmです。それ以上の墜落の危険性があればEN363フルボディーハーネスの出番になってしまいます。

墜落の危険がある状況ではシットハーネスは使ったらいけない。と考えておけば問題ないです。そしてシットハーネスを使用している時は絶対墜落しない事を常に念頭においてください。

そしてワークポジショニング中の墜落の場合、墜落距離だけでは衝撃荷重は決定しません。落下係数で決まります。これはロープにぶらさがっている事に起因します。墜落の衝撃をロープから受けることになるからです。0.5mなどの短距離墜落が、非常に危険な状況になる事が多いです。


次回はこの落下係数について書きます。ロープアクセス時における墜落の衝撃荷重を決める、非常に重要なものです。(次記事へのリンクはこちら

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