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2010年3月29日 (月)

ロープクランプの話 トゥースとカム

ロープクランプの構造には2種類あります。トゥース式とカム式です。

トゥース式:ハンドアッセンダー、フットアッセンダーなど。
カム式:ペツルのマイクロセンダー、コングのダックなど。

[トゥース式]
トゥース式のロープクランプにはぎざぎざのトゲが下向きについています。で、このトゲがロープの外皮に噛みこむ事で下方向への移動を止めます。荷重がかかるとトゲが更に食い込んでいく訳ですからストップします。そして上方向の移動にはトゲが引っかからないのでスルスルと進んでいく訳ですね。

下の写真はペツルのチェストアッセンダー「クロール」のトゲトゲです。トゲトゲの先が左方向に流れているのがおわかりいただけるでしょう。
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で、「ロープに食い込むってなんか怖いなあ」と思ったあなた、大正解です!ほんと怖いんです。トゥース式のロープクランプに派手な衝撃荷重がかかった場合、外皮を食い破る事があります。例えばペツルのアッセンションですと破断荷重は4~6.5kN(リンク)。なので、トゥース式のロープクランプを使用している時は本気で墜落したらヤバいです。また食い破るまでいかなくても、アッセンダーでロープを痛めてしまう事は結構日常茶飯事です。

で、このロープを食い破る現象ですが、目にする報告例はカーンマントルロープ使用時ばかりです。アーボリストロープが採用しているダブルブレイドや16ストランドではどういった事になるかよくわかりません。

とりあえず、外皮を食い破ります。思い出していただきたいのですが、以前、ロープ構造の記事を書いた時にカーンマントルとダブルブレイドでは外皮と芯にかかる荷重比が違うとお伝えしました。カーンマントルの場合、荷重の7~9割はコアが受け持っていますので、外皮が破れても即ロープ切断とはなりません。外皮が破れたせいでアッセンダーで登攀ができなくて困りますが。
これに対してダブルブレイドロープの場合、コアと外皮は半分ずつ荷重を受け持ちます。外皮が破れるとその荷重はコアにかかる為、元々の設計段階で荷重を半分しか受け持たないように考えられているコアですから非常にヤバそうです。。

レスキュージャパンさんのブログ(レクキュージャパンブログ)にハンドアッセンダーにロープ外皮破断まで荷重をかけた実検動画があります。是非一度ご覧ください。泣きそうになります。

とりあえず、トゥース式のロープクランプに大きな荷重をかけるのは止めましょう。大荷重がかかる例として、墜落ももちろんですが、倍力システム取付のロープクランプにトゥース式を使う事。これ、私もやっちゃうんですが、破断までいかないにせよロープの寿命が損なわれると思います。

ちなみにミニトラクションのロープクランプ方法はトゥース式です。ですから3倍力システムに使用するのは危険です。かかり木を倒すだけならロープが切れても「ありゃー残念」で終わりですが、人間がぶらさがっているラインに同じ感覚で使用するのは危険すぎます。元々ミニトラクションのロープクランプとしての最大運用荷重はたったの2.5kNです。荷揚げに使うくらいにしておきましょう。

あと、木登りではあまり関係ないかもしれませんが、ロープに泥汚れや雪が付着している場合、外皮への噛みこみが甘くなりロープクランプが滑ってしまう危険性があります。気をつけてください。あとロープとトゥースの間に異物が入っている場合も危険です。小石が挟まっていたり、チェストハーネスの余った部分がアッセンダー内に入りこんでいたりする場合があります。

[カム式]
カム式のロープクランプは偏心カムがロープを押さえ込む事によってロープを固定します。ワイヤーに使うキトークリップと全く一緒の原理です。キトークリップの原理はこちらのリンクでご確認ください。

で、カム自体に荷重をかけるタイプ(ex.マイクロセンダー)と、フレームに荷重をかけるタイプ(ex.コングのダック)があります。カラビナ取り付け穴がどこにあるかで判別できます。

カム式のロープクランプには多種多様な機器があります。ペツルのマイクロセンダー(リンク)みたいなタイプが一番わかりやすいでしょう。形をみてもどのように作動するかなんとなくわかってもらえると思います。フリップラインアジャスターは基本的にカム式のロープクランプです。ペツルのグリグリやトランゴのシンチも原理的にはカム式のロープクランプ方法です。

大きな荷重がかかった場合ですが、ペツル製品は滑り出し荷重という形で記載されています。マイクロセンダーなら使用ロープにより3~4kNで滑り出します。つまりロープを食い破らないって事です。この利点は非常に大きいと思います。

ただ、他メーカーの場合はどうなるかわかりません。例えばの話、私がコングのダックを買った時に店の兄ちゃんに滑り出し荷重を聞いたところ「さー、ずっと押さえつけて結局外皮を引き裂くんじゃないですか?」との事でした。説明書にもこの辺の話は何も書いてありませんでした。とは言え、トゥース式よりは安全だろうと思っています。

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