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2010年5月の11件の記事

2010年5月31日 (月)

オープンヒッチとクローズドヒッチ

クライミングヒッチには形状により2種類に分類できます。オープンヒッチとクローズドヒッチです。

オープンヒッチはクライミングヒッチに使用したコードの片方が開放されており、クローズドヒッチの場合は両端ともカラビナに接続する(閉じる)事になります。

Img_00131_3

【オープンヒッチ(シングルレッグ)】
ブレイクス(Blake’s)、タウトライン(Tautline)、シングルコードプルージックが分類されます。

使用するコードはシングルアイ(Single-Eye Tail)。片方がアイになっていれば大丈夫です(別にダブルアイでもOK)。このおかげでこれらのヒッチはトラディッショナルシステムでも使用可能です。言いかえるとメインロープと同径コードが使用可能という事です。

テイルのすっぽ抜けを防止するために、ストッパーノットを作成する必要があります。ガチンコで必要なのはタウトライン。荷重がかかるとヒッチがローリングして勝手にほどけちゃうんです。とは言え、他のヒッチでも間違いなくストッパーノットは作るべきでしょう。

ヘリカルヒッチもオープンヒッチですが、上記3種とはちと状況が変わります。ヘリカルヒッチはメインロープより細い径のコードを使う必要がある為、トラディッショナルシステムでは使えません。(11mmラインに対して8mmコードくらいを使用)。

【クローズドヒッチ(ダブルレッグ)】
多種類のヒッチがあり、多種類のコードが発売されています。

フレンチプルージック群(VTなど)、ディステル(Distel)、スワビッシュ(Schwabisch)、クヌート(Knut)、ミチョーカン(Michoacan)、等が含まれます。

使用するコードはダブルアイ(Eye-to-Eye Tail)。両端にアイが必要です。そしてメインロープより多少細いコードを使用します。クローズドヒッチはトラディッショナルシステムで使用できません。

使用上の注意点や性能はヒッチそれぞれによって異なりますが、基本的にオープンヒッチより高性能です。が、自分の体重やロープのコンディションに合わせてヒッチを調整したり、使用するコードやどのヒッチを使うかを吟味する必要があります。

【補足】
今後、このブログでは基本的にオープンヒッチをシングルレッグ、クローズドヒッチをダブルレッグと呼びます!厳密に考えたら、ちと誤用のような気もするんですが、こっちの方がわかりやすいだろ、と判断した為です。

シングルコードプルージックは今後相手にしません。わざわざ使う事はないだろーという判断です。ちなみに普通のプルージックとは挙動がかなり異なるらしいです。

あと蛇足ですが、ブレイクスヒッチってブレイクさんが考案したんじゃないみたいですね。ウィキペディアによると、ケイバーのHeinz Prohaskaさんが雑誌に投稿後、アーボリストのJason Blakeさんがこれの有効性に気付いてアーボリスト業界に広めた、っていうのがほんとらしいです(こちらの記事)。

【参考資料!】
今回の記事の大半はMark Adamsさんの「An Overview of Climbing Hitches」に頼っています。シェリルのラーニングセンターでダウンロードできます。(こちら)。詳しくは知らないんですが、ISAの機関紙「Arborist News magazine」に執筆されている方みたいです。

マークさんは他にもクライミングヒッチに関する文章を書いています。私が知っているのはあと2つ。これらはまだ読んでいないのですが、もしかしたら更に素敵な情報が書いてあるかも!
「Son of a Hitch: A Genealogy of Arborists’Climbing Hitches」(リンク
「Climbing Hitches: Addenda and Corrigenda」(リンク)

あと、ヘリカルヒッチの注意点はこちらのサイトの内容を参考にしました。(リンク

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2010年5月30日 (日)

Helical Hitchってこんな感じ(6/01更に追記あり)

前々回の記事(こちら)で話題にだしていた「Helical Hitch」(ヘリカルヒッチ)について。

とりあえずこちらのBBSをご覧ください。題名がHelicoil…になっていますが気にしない気にしない。前々回でも紹介していたARBTALKのスレッドです。
ARBTALK:Helicoil Friction Hitch info help!

ここにヘリカルヒッチの結び方が記載されているサイトへのリンクがあった事にさっき気付きました(汗)。こちらはケイバー、竪穴洞窟探検野郎のサイトみたいですね。ここの中ほどにHelicalが紹介されています。

→VPI Cave Club:「A Few Good Knots(ブーリンをオーバーハンドノット式結び方でしてます。ややこしく感じる方は、くるくる4ラップしてから普通にブーリン結んでください。)

【これがヘリカルヒッチだ!】
で、結局これはブーリンの変形ですね。「ブーリン+4ラップ」って感じ。正確に言うならば「ブーリン+ヴァルドタイン」。下写真はヨセミテ・タイオフで末端処理しています。(補足:ドレッシングがこれで合っているかどうか定かでありません。)
(追記:5/31 当初ブーリンと書くべきところをランニング・ブーリンと記載していました。ブーリンが正解です。訂正済みです。我ながらアホなミスです。)

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【ヘリカルヒッチの特徴】
ブレイクスヒッチ等と同じくオープンヒッチなので、トラディッショナルシステムでも利用可能です。そしてプルージックのように、どちらに引っ張ってもフリクションが効きます。「VPI Cave Club」のコメントでは、プルージックよりグリップ力がいいと書いてありますね。そしてスライドがしやすいとも。他にも特徴が記載されているので確認してみてください。

基本的にこのヒッチはブーリンなので、末端処理は確実に!リング荷重でほどけても知りませんぜ。

これ、ブレイクスヒッチと戦えるポテンシャルがあるんじゃないでしょうか。どうなんでしょ。こればっかりは試してみないとわからないですね。そして私は…結び方がわかっただけで満足しているので、実践する気はありません(笑)。

【補足】
登山系では、このヘリカルヒッチをバルトタンと呼ぶことがあるみたいです。まあバルトタン(私の呼び方:ヴァルドタイン)って基本的にメインロープにくるくる巻くだけのヒッチですもんね。通常私たちが使うヴァルドタインもメインロープに7ラップしているだけです。

いや、巻いてから降ろしていく時にクロスさせて編んでるっしょと思わる方がいらっしゃるかもしれません。それはうちではヴァルドタイン・トレッセ(VT)と呼んでいます。呼び方の問題だけなんですけどね。

詳しくはマーク・アダムスさんの「An Overview of Climbing Hitches」、もしくは「Son of a Hitch: A Genealogy of Arborists’Climbing Hitches 」(←マーチン(ミチョーカンの古い呼び方)記載あり)を参照してください。

追記:06/01) ヴァルドタインとVTについて、ややこしい書き方をしたので補足します。

結論として、ヴァルドタインは本質的にメインロープに単純に7回巻いただけのもので、4回巻いてからレッグを降ろしていく時に、足を組みかえません。上レッグが下レッグをずっと押さえつける格好になります。
これに対してヴァルドタイン・トレッセは4回巻いてからレッグを降ろしてくるときに、レッグを組みかえていきます。
(※ちなみにヴァルドタイン、ヴァルドタイン・トレッセともに「7回巻く」とは決まっていません。単に説明上の都合です。この巻き数は状況によってかなり可変します)

そしてこの二種は性能が異なります。きっちり区別しておくほうが幸せになれます。VTって言いながらヴァルドタイン結んでた私が言うんだから間違いないです!バルトタンって言いながらVT結んでいる方もいるだろなーと思って「呼び方の問題」と書いた次第です。

うーん…うまく説明できた気がしねえっす(泣)。と言う訳で、この2種の違いはまた後日記事にしたいと思いまっす!(追記終了)

 

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2010年5月29日 (土)

カーンマントル構造

それでカーンマントル構造のロープそれぞれについて、いまの私の知識を総動員してさくっと説明したいと思います。…できるのか??!!

【カーンマントルの定義】
カーンマントルという言葉がありますが、これには二種類の意味があります。と言うかそう思ったほうが色々とわかりやすいです。ちなみにカーンマントルはドイツ語です。カーンが内芯(コア)、マントルが外皮(シース)を意味します。

広義のカーンマントル…2層構造になっているロープの総称。「カーンマントル構造」という言い方をする。16ストランド、ダブルブレイド(24ストランド)、カーンマントルロープが含まれる。

狭義のカーンマントル…いわゆるカーンマントルロープの事。ダイナミックロープ、スタティックロープに分かれる。更にスタティックロープは、ソフトスタティックやセミスタティック、スタティック等色々ある(メーカーの気分次第?)。

【ここから本番】
それではカーンマントル構造のロープについて紹介します。それぞれ外皮と内芯の役割がかなり違ってくるので、そこに注目するとイメージがつきやすいと思います。

【16ストランドは安くて扱いやすい】
2層構造になっていますが、外皮がほぼすべての荷重を受け持ちます。内芯は外皮内部の空洞を埋めているだけ…って事はないんですが、そう思っておいたらこの構造がわかりやすい気がします。本質的には12ストランド等の1層編み込みロープに近いと思います。「Arborist Equpment」では16ストランドは12ストランドと一緒に「シングルブレイド」として紹介されています。

外皮は分厚く、耐摩耗性やロープ強度に大きく貢献しますが、ちと重くなりがちです。内芯の存在は、ロープの円形保持性能やノットの作りやすさに寄与しています。これも重要な事です。

ハーフインチサイズ以上のクライミングロープはだいたい16ストランドです。世界のツリーワーク業界の中では一番普及しているロープでもあります。SRTをしないなら「安くて強くて扱いやすい」これが一番いいんでしょうね。

【ダブルブレイドは軽くて強い】
24ストランドって言い方も一般的です。外皮と内芯ともに編みロープで構成されており、荷重を均等に受け持ちます。「ロープの中にロープがある」って考えた方がわかりやすいかもです。

軽量性と強度の両立が可能、またスプライス技術の習得が簡単な為、リギングロープにこの構造がよく採用されてます。11mmクライミングロープにもよく採用されています。柔らかく、結構簡単に押し潰れるので、グリグリなどのデバイスと相性がいいです。

但しロープの汚れに注意する必要があります。カーンマントルと違って外皮も荷重を受け持ちます。細かい石や砂などの異物混入で傷つきやすいです。定期的に洗濯してあげるべきでしょう。

ダブルブレイドロープは「Milking」現象が起きます。Milkの意味は「絞り出す」くらいの意味で考えるとわかりやすいです。ナチュラルクロッチ等、外皮表面に強い摩擦がかかる方法で使用すると、荷重は均等なので内芯だけが動いちゃって、ロープ内部でずれてしまうんですね。そしてロープがぼこっと膨れたりします。フォルスクロッチで使用するべきです。

【カーンマントルは幅広い伸び率を設定できる】
固く編まれた外皮が、UVや異物から内芯を保護しています。内芯は編まれておらず、多数のストランドがひと束に、緩くツイストしながら配置されています。荷重は内芯が約70%ほど受け持ちます。「防御の外皮、荷重の内芯」と役割分担がはっきりしている感じです。

ロープの伸び率によってダイナミックロープとスタティックロープに分類されます。ANSI Z133には「アーボリストは伸び率7%までのロープを使えよ」との記述があります。基本的に伸び率の低いスタティックロープを使用しますが、状況によってはダイナミックロープを使って墜落覚悟で攻める場合もあるでしょう…絶対やりたくないですが。とにかくリードクライミング的な手法をとる場合は絶対ダイナミックロープで行います。

ロープアクセス業界ではほぼすべてのシェアを占めるカーンマントルなんですが、ツリーワークの世界ではあまり見かけないです。ここの理由を詳しく書いたテキストに残念ながら出会った事がありません。元々ツリーワークがハーフインチ+フリクションヒッチ大好きなアメリカで育ったから?スプライスできないから?しっくりくる理由が思いつかないです。

スタティックロープの場合、分厚い外皮のせいでロープが硬くなり、トラディッショナルシステムの時にタウトラインヒッチが効きにくい可能性が「Arborist Equipment」の90ページで指摘されています。私の感覚でも、例えばエーデルリッドのセフティ―スーパー11mmは、ダブルブレイド11mmロープのBlazeやVelocityより堅い気がします。

【まとめ…のような雑感】
今回はロープ構造の点からみていきました。私はダブルブレイドっ子ですが、カーンマントルも好きです。というか11mmロープが好きです。16ストランドは基本ハーフインチなので使えないSRTギアが多くて使う気がおきません。

もう一度簡単にまとめるとこんな感じ。
16ストランド…外皮メイン
ダブルブレイド…外皮=内芯
カーンマントル…防御の外皮、荷重の内芯

更に素材などの観点からもみると楽しくなります。ロープ構造・ロープ素材については、以前にも記事を書いているので、宜しければご覧ください。あの頃は正直言って「読みにくい&わかりにくい&曖昧な知識」で書いているのであまりおススメできないんですが(汗)。この記事と同一カテゴリ「ロープの話」にあります。

【補足:コロコロ変わるんです】
正直言って今回取り上げたロープ構造をどう区分するかは、ショップやメーカーによってころころ違います。
シェリルの通販サイトだと、ダブルブレイドはカーンマントルとも呼んでいます。下記のニューイングランド社資料だと、ダブルブレイドとカーンマントルを「24ストランド」として一括りにしています。

資料を読む時は「ロープ構造の区分をどのように捉えている著者なのか」に注目すると、少しは混乱が避けられるように思います。

【参考にした資料ですぜ】
シェリル2010カタログ p4~5
WesSpur2010カタログ p.4 p.5 p.10
ドナルド・ブレイヤー「Arborist Equpment 2nd」p.88~90
ニューイングランドロープ社のサイト内記事
Taking the Guesswork out of Arborist Climbing Lines」(あなたのロープ選びを助言しますってな内容です。これいいですよ。)

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2010年5月28日 (金)

最近の収穫速報 05/28

一昨日の事ですが、しょうこりもなくガースヒッチの事を調べておりました。(ちなみに結局わからずじまいです)

まずたどり着いたのがこちらのBBS。ノット愛好家の集いみたいなんですが、そこにノット強度を詳しく調べたい方が質問しているようです。(BBSは英語がフランクすぎてつらいっす。)
http://igkt.net/sm/index.php?PHPSESSID=eb7a68c0dee1989afc0c673c640eb45c&topic=849.0

ここの質問者が提示しているリンク先もノット強度の資料としてめちゃ素敵なんですが、三人目の方、「TheTreeSpyder」さんが挙げているリンク先がすごくて。こちらのサイトです。どこかのコメント欄でここが紹介されていた気もするんですが…。まだ全然見れていませんが、おもしろそうな予感がプンプンします。
MyTreeLesson.com:http://www.mytreelessons.com/index.htm

ここの「knot」リンク集がすごい!リンク切れの多さもさる事ながら、リンクがあたるとそこには超一級の資料がごろごろしていました。私は食傷気味になったくらいです。
ノットリンク集:http://www.mytreelessons.com/Pages/Knots_Links.htm

で、私が今一番注目している資料がこれです。前回までの記事でお世話になったリギコンと同じ著者の資料。なんとクライミングヒッチの荷重テストをしています!やっと見つけた!まだパラパラと見ただけなんですが、これは翻訳する価値があると踏んでいます。明日からがんばるつもりです。
FrictionHitchCompilation:http://www.treemettlenexus.com/pdfs/FrictionHitchCompilation.pdf(注:めちゃでかいPDF)

でも気になる点がありまして。この資料内に「Helical Hitch(ヘリカルヒッチ)」というのが出てきます。なんだこれ?と思い、検索してみると…こちらのBBSにビンゴしました。
ARBTALK:Helicoil Friction Hitch info help!
TreeBuzz:helical?
TCI:slipping Blakes hitch

このヒッチって有名なんですか?写真を見てもイマイチ結び方が理解できず…個人的にオープンヒッチにあまり興味がないんですが、意地でもこのヒッチの刻み方を習得してやるぜ!と現在息巻いています。(最近ノット収集家の道も歩もうとしています)

あと、ARBTALKのリンク先、コメント三人目の方、「softbankhawks」さんのお名前が非常に気になっています。え、ソフトバンクホークス!?日本の方??

以上、乱文ですが少しでも御参考になればと思いまっす!

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2010年5月26日 (水)

CTFの概略について 続き

(追記05/27:すっごいくだらない話ですが「Riginng Connsepts」の略をリギセオからリギコンに変更します。題名がリギングセオリーだと何故か思い込んでいました…)

それでは前回に続いてCTF(Cycle to Failue)について、いっちょ書いてみようと思います!個人的には理解したんですが、まだ手に馴染んでいないのでうまく説明できるかどうか未知数であります。

今回の参考資料は前回から引き続き、こちらのサイト(http://www.treemettlenexus.com)内の記事「Tree Rigging Concepts」(以下リギセオリギコン)です。そして前々回の記事コメントにて月光仮免さんにいただいたアドバイス、及び月光仮免さんの記事を参考にしてます。感謝です!

【仲良し四人組の関係】
早速ですが、具体的な例をあげます。リギコンに記載されているロープに関する安全率とCTFの関係です。破断強度(BS)、安全率(SF)、使用荷重(WLL)、CTF、それぞれの関係はこうなります。(※単位がkgになっていますが原文ママです。以下の説明もkgで書きますが、普通ここはkgfじゃねえの?と思います。)

・BS 10,000 kg / SF10 = WLL 1,000 kg ⇒ 1000以上のCTF
・BS 10,000 kg / SF 5 = WLL 2,000 kg ⇒ 750 CTF
・BS 10,000 kg / SF 2 = WLL 5,000 kg ⇒ 100 CTF

「安全率を下げる→CTFさがる」という点に注目してください。「破断強度÷安全率=使用荷重」の部分は前々々回で紹介した通りです。リギコンでは、CTFの説明は「repeat loads before failure」と書かれています。

【CTFの捉え方】
この式におけるCTFってのは「新品ロープをある安全率で運用した場合、疲労で破断するまで何回くらい使えるかなー」っていうイメージを表しています。リギコンには特に明記してありませんが、この荷重は静的荷重でしょう、間違いなく。安全率を低くとるにつれてCTFは劇的に低下しています。注意したいのはCTFの数値自体は厳密なものでなく、あくまで確率的なものです。

例えば安全率5の場合を見てみましょう。この時の使用強度は2000kgですね。で、使用強度きっちりの静的荷重をロープに与えると…目安として「750回でロープは壊れる…かもよ」って事です。厳密に750回目で切れるとか、750回目までは保障するとかそういう話ではないです。

【逆から捉えると】
逆に言うとこの場合「2000kgの静的荷重を与えた場合、750回で壊れるくらいの疲労がロープに蓄積していると思ってね」って事だと思います。

安全率2の場合、CTFは100です。安全率5の時のCTF(750)より急降下しています(この具体的理由は下記補足にて)。「5000kgの負荷がかかると、2000kgとは比べモノにならないくらい、ロープはダメージを蓄積するんだな」という事がわかります。

破断強度に近い負荷がかかるほどロープに蓄積する疲労は激しくなる。そういうイメージを伝える為の数値としても、CTFは存在していると思います。

【安全率とCTFの関係】
では安全率10の場合、つまりロープにかかった最大負荷が破断強度の10%の場合ですね。この時CTFは「many 1,000’s 」です。

ここまでくるとロープが疲労破壊する確率はほぼ無視できるかも…と考えられます。リギセオによると「疲労破壊が起きる前に、経年劣化や目に見える不具合によってロープを廃棄することが可能」になります。

だから一応の運用指針として「疲労破壊のリスクを極力軽減する為に、負荷荷重が破断強度の10%(安全率10)までに収まるよう運用すっかー」となるんです。

しかし、例えばロープを安全率10でずっと運用してても、うっかり「破断強度の50%程度の負荷」を与えてしまった場合、そのロープ自身のCTFは激減します。その時点からロープの破断リスクは非常に大きくなる訳です。

【疲労破壊の進行はわからない】
ロープの疲労破壊は金属の疲労破壊より遥かにややこしいです。と言うか金属などで使われる「疲労破壊」って概念が便利だからロープにも適用しているだけで、実際は似て異なるものなのでしょう。

それに単純に負荷といっても色々な負荷方法があります。静的荷重か動的荷重かの違いでもロープの疲労の仕方はずいぶん異なるでしょうし、繰り返しの時間的サイクルの違いによっても疲労の仕方は異なるでしょう。もちろんロープの種類によっても変わるでしょう。

ここを突っ込んで調べてもいっても魑魅魍魎の世界が広がっているだけですし、あまり有意義ではないかもしれません。疲労破壊によってロープが破断してしまう危険から自己防衛する為には、吊り荷の重量や衝撃荷重をしっかり意識していく方が現実的に有効ですし早道だと考えます。

【最後に】
わかりにくい説明ですみません。この程度の理解・説明が文系人間の限界でございまして、正しく用語を使えているかどうか(汗)。なーんとなくCTFの限界とその有用性を理解していただければ幸いです。そしてCTFを意識した上で安全率を考えていただければ、と思います。

前々回の記事のコメント欄にて月光仮免さんがおっしゃっていた「安全率という言葉を使った瞬間、内容は確率の話になる」という言葉は、名言だと思います。

【補足】
ちなみに今回はロープを例にして解説しましたが、リギコンにはロープ以外のギアについても安全率とCTFの関係が記載されています。参考にしてください。

あと、リギコンによると「編み込みロープの場合、破断強度の40%の負荷はロープの伸び性能に永久的に残る深刻なダメージを与える」とあります。これが安全率2の場合にCTFが激減している理由の一つでしょう。
これに関連してサムソンのサイトに「ロープの伸び性能と負荷」について簡単な説明があります(こちら)。参考にしてください。

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2010年5月22日 (土)

cycle to failureの概略について

今回は「cycle to failure」の概略について書いてみようと思います。

【CTFってなんじゃろか?】
cycle to failure(以下CTF)、実はどんな日本語訳がいいのか悩んでいるところです。うーむ難しい。と言うかどういった解釈がいいのか完全にはわかっていません。

おそらく、CTFが言いたい事のひとつは疲労破壊です。CTFと疲労破壊は全く同意味ではないですが、近しい関係にあるはずです。何らかの因果関係はあるはず。

シェリル2010カタログの75ページに「CTF」についてのコラムがありますが、その中でCTFを円滑に理解する為の一例として「ストレス疲労」が取り出されていました。「針金ハンガーを一度折るくらいじゃ破断しないけど、何回も折り返してたらいつか破断しますよねー」といった様な事が書かれています。

つまりそういう事なんだろうなあと。同じ意味ではないけど、かなり近い関係。

私の考えも滅茶苦茶間違っていないはずと思います。でも15度くらいずれているかもしれません。私の疲労破壊に対する理解が正しいのかどうかも怪しいもんです。(ウィキペディア「疲労破壊」)

【たとえ破断しなくてもダメージは残る】
例えばここに破断強度30kNの新品ロープがあるとします(新品ってのがポイント)。そして25kNの負荷を与えた場合、一回目は耐えるでしょう。じゃないと破断強度の意味がないです。でももう一度25kNの負荷をかけたらどうなるでしょうか?

既に一度25kNの負荷を受けて深刻なダメージを受けたロープです。何とか耐えるかもしれませんし、耐えきれずに破断するかもしれません。これはもう神のみぞ知る事でしょう。たぶんかなりヤバいですが。(私なら一度目の荷重を受け止めた時点で、ロープさんよくやった!と敬意を表しながら即刻廃棄します。)

【リギングギアは要注意】
ツリーケアに関する道具のうち、これがもっとも重要になってくるのはリギング機材です。

クライミング道具は衝撃荷重を受ける可能性は少ないです。もしうっかり器材に大荷重をかけてしまったなら、そんな器材はさっさと廃棄すればいいんです。また通常使用の場合、負荷荷重のせいで疲労破壊が起きる前に、経年廃棄を迎えたり破壊の前兆を知ることが可能でしょう。

そんなこんなできちんとした器材管理に努めていたら、クライミング中にギアが疲労破壊で突然ぶっ壊れる可能性はかなり低いはずです。

ところがどっこいリギング機材は違います。普通に使っていても衝撃荷重を受けまくりです。と言うか機材に衝撃荷重がかかる事を前提にして考える必要があります。

一番いいのは少しでも墜落負荷を受けるたびに廃棄していく事でしょうが…さすがにそんな事やってられないですよね。あまりに非現実的です。トップカットするのにどれだけのお金やギアが必要になるか想像しても悲しくなります。

じゃあどうしようか。破断荷重の1/5くらいの負荷なら大丈夫?それとも1/10?その時に破断する可能性はどれくらい?20%?1%?…

【CTFと安全率の甘く厳しい関係】
ここに至ってCTFは安全率と出会うのです。もちろん破断荷重と使用荷重も一緒に出てきます。こいつら仲良しですから。破断荷重、使用荷重、安全率、CTFはそれぞれが深く依存しあうファクターです。

この仲良し4人組の相互関係については次回書きたいと考えています。

【補足】
ちなみにわかりやすいようにこのように書きましたが、クライミング道具にだってもちろんCTFは絡んでいます。安全率とCTFはどんな時でも切っても切れない関係なんです。

ただ現実的な問題として、通常のツリークライミングでは体重かその倍程度の負荷、しかも静的な荷重が基本です。そしてもし衝撃荷重を受けたら、疲労破壊の心配する前に即廃棄してしまえ!ってなるので、あまりこの問題が見えてこないだけです。

でもフリークライミングならダイナミックロープは結構な頻度で墜落の衝撃荷重を受けますよね。その辺クライマーさんはどうしているんでしょうね?生と死の分岐点読みなおそっと。

【参考記事】
今回の記事は、シェリルの2010カタログ内p.75の「CTF」のコラム、及びこちらのサイト(http://www.treemettlenexus.com)内の記事「Tree Rigging Concepts」を参考にしました。

上記参考記事の日本語訳を読みたい方いらっしゃいます?私が自分用に訳しただけなので、超意訳だらけ&信用性皆無の自己責任もんですが、もし読んでみたい方がいればメールください。(…権利関係の問題でやめといた方がいいですかね?)

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2010年5月19日 (水)

ツリーワーク道具の安全率について

5/20追記:コメント欄にて指摘を受けたのですが、この記事には安全率と関係する重要なファクターである「Cycles to failure」(CTF)の概念が抜けている事に気付きました。
なのでいわゆる片手落ちな状態です。記事を鵜呑みにしないようお願いいたします。
おそらく最終的には抜本的に書きなおすと思います。

現在CTFの資料を翻訳・調べているところです。のんびりお待ちください。ちなみにその資料はこちらです。ここの資料どれもおもしろいっすよ!
→http://www.treemettlenexus.com/article4.html

(元記事ここから)
それでは前回の続きです。

【基本的に安全率は10で】
まずはシェリルのこのページ内の「Safety Factor」をみてください(こちらの中ほど)。「だいたい安全率は10ですぜ」と書いてあります。

実際そのとおりです。

基本的にツリーワークの道具は安全率を10とってあります。特にクライミング道具は間違いなく10、もしくは破断荷重のみの記載です。リギング道具も基本10です。ループスリングのみ5~6ってところでしょうか。

実はWesSpurとSherrillの間でも微妙に違っていたります。特にルーピースリングで違いが目立ちます。WesSpurがカタログ内で安全率10だと明言しているのに対して、シェリルはWLLだけの表記だけです、どうも安全率6~7あたりをとっているみたいです。

私としては「墜落の衝撃を受けるものは10、それ以外は5~6」っていうのが妥当ではないかなと考えています。つまり人間用のクライミング道具とトップカット等で使うリギング道具は10、スピードラインや吊り切り用のスリングは5~6でいいんじゃないかなと。

個人的な意見ですが、使用荷重のみを知っても仕方ないと思います。使用荷重とその時の安全率の両方を知っておかないと柔軟な運用がしにくいです。ウェススパーのカタログにはDF(安全率)がちゃんと書いてありますが、シェリルのカタログはWLLしか書いていないモノがあります。調べるのに苦労しました。何とかならんもんでしょうか。

【安全率を90とるべし】
ちょっとここでシェリルの2009カタログをご覧ください。
※持っておられない方はこちらから閲覧できます。エラーが出る場合はIEから見てください。(アカウント作ったらダウンロードも可能)
http://issuu.com/sherrilltree/docs/09catalog-s-usa

で、見てほしいのはp,3の「Working Load Limit (WLL):」。右下のマッチョなおっちゃんが指さしているコラムです。

このコラムの後半部分を簡単に要約すると、「 ダイナミックローディングがかかるかもしれない状況では、安全率は90くらいとるべきだよ。」って書いてあります。(他にも色々いいことが書いてあるので、コピペして翻訳してみてください。)ダイナミックローディングと聞いて最初に思い出すのはトップカットですよね。

案外私はこの意見に賛成です。さすがにきっちり安全率90をとる気はないですが、今のところこれくらいの気持ちで運用しています。で、この安全率90は道具に求めるというよりも、「吊り荷荷重を軽くしろよ、WLLを鵜呑みにするなよ。ダイナミックローディングなめんなよ」って事なんだろなと個人的に考えています。

こんな感じでですね、安全率ってのは状況によりどんどん変化するものだと思うんですよ。安全率はこれで使用荷重内なら何してもOK!じゃなくて、この状況だと安全率はこれだけあるのかー、みたいに考える癖が必要だと思います。

どうも日本では安全率が固定のイメージがあるからなのか、元請けさんにはわかってもらいにくいですが(汗)。

【例え話】
先日現場で元請けさんにクライミングロープの強度を聞かれました。色々興味を持っていただけるのはうれしいことです。
私     「このロープは破断強度27kNですんで、私の体重が100kgとしても安全率27ありますよー」
元請けさん「ん?安全率は10じゃないの?それにニュートンって?」
私     「えーと(汗)、使用荷重は約270kgっす」

【安全率には二つの使い方がある…たぶん】
①道具の基本的な強度としてWLLを知る。そしてWLLの安全率を知る。(固定的)
②そのうえで実際の状況下で、道具に加わる負荷荷重とWLL(もしくは破断荷重)の差を安全率という指標で見極める。(流動的)

って事です。①と②の「安全率」って言葉がもたらす微妙な意味合いの違いをわかってもらえれば幸いです。上記の例え話中では元請けさんは①の意味で、私は②に近い意味で言っています。ちなみに私の発言はかなり暴論です(笑)。

そして①も固定的と書いていますが、人それぞれ・メーカーそれぞれです。その安全率を決めた各自の作業理念・思想によります。

【脱線中です】
少し話は脱線しますが、前述コラム「Working Load Limit」の前半に「このカタログに記載されているほとんどのWLLは安全率5の数値ですよー」みたいな事が書いてあります。これがよくわからない。
同じく2009カタログのp,56(スチールカラビナ項)、左下の小さいコラムを見てください。「特に注釈のない場合、WLLは破断荷重の1/10で書いているよー」って記載があるんですね。

この二つのコラムの整合性が私はどうやっても理解できません。翻訳ミス?私が何か解釈を間違えているんでしょうか?どなたか分かる方がいらっしゃいましたら、ご教授いただけるとありがたいです!

【脱線2:cycles to failure】
ちなみに先に紹介した「Working Load Limit」のコラムは2010カタログには載っていません。
その代り「Working Load Limit」のコラム内で紹介されている「“cycles to failure”」の概要が75ページに記載されています。道具は疲労するっていう内容です。これも重要な事ですので、是非2010カタログをゲットしてご覧ください。

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破断荷重と安全率と使用荷重

【破断荷重】
破断荷重って言葉があります。カラビナとかに書いてありますよね。英語でいうとBleaking Strength もしくは Tensile Strength。

この破断荷重っていうのは「こんだけ荷重かけたら壊れちゃいまっせー」という表示です。破断荷重24kNのカラビナに24kNの荷重をかけたらぶっ潰れる訳です。つまりそんだけ荷重かけていいよっていうのではなく、荷重かけたら壊れるよっていう数値です。ここはしっかり区別しておく必要があります。

また最低破断荷重(MBS)と平均破断荷重(ABS)といった用語がカタログにはよく出来ています。

【使用荷重と安全率】
これに対して使用荷重は「何があるかわからんからさ、これくらいの荷重までで使っておけよ」という表示です。英語でいうと WLL もしくは SWL。日本製のシャックル等は使用荷重しか書いていない事が多いです。

で、この使用荷重は破断荷重÷安全率によって算出されます。

安全率(安全係数)ですが、英語ではDesign factor もしくは Safety factor と言います。
でもややこしいので安全率もWLLと言ってしまう事も多いです。WLLって書いたら「あー安全率の話か」とわかってもらいやすいですし、数値をみたらどっちの事を言っているかはわかります。「DF」なんて書いてもややこしいだけです。

この安全率は「実際の使用時に起こりえる不確定要素」だと捉えればいいと思います。わかりやすいのは墜落時の衝撃でしょうか。破断荷重から不確定要素分のマージンをとっておく訳です。例えば先ほどぶっ壊れた24kNのカラビナですが、安全率を10とすると、使用荷重は2.4kNとなります。だいたい230kgくらいですね。この範囲内で実際には使用していきます。大人2人がぶら下っても大丈夫という感じです。

ただし、破断荷重にしろ使用荷重にしろ、あくまで「新品の時」の数値です。道具は使用していくうちにどんどん劣化していきますよね。ですからあまり杓子定規にこの数値を鵜呑みにするのも危険です。使ううちにどんどん実際の強度は低下していくはずです。道具が壊れて死ぬのはメーカーではなく使用者ですから、自己防衛していきましょう。

【安全率の値をどうとるか】
安全率ってのはなかなかの曲者です。日本では「モノは6、人は10」で計算している事が多いです。

例えば玉掛けに使用するワイヤーは安全率を6とってありますし、エレべーター用(人が乗る)ワイヤーは10とってあります。ちょっと脱線しますが、ワイヤーの安全率6って根拠があるそうです。こちらのブログを参考にしてください。私にはよくわからないですし、理解する元気がありません(汗)
http://ropejp.seesaa.net/article/143772668.html

と言ったように、安全率は用途によって変化します。安全率を大きくとりすぎると全体の強度を過剰にあげてしまう事になります。これはこれで問題です。例えばクライミングラインに1インチラインを使うとか。想像するだけで嫌です。

それではツリーワークの道具はどうでしょうか。次回に続きます。

なお今回の記事内容について、ロープアクセス技術の広場さんにもっと詳しく・もっとわかりやすい記事がありますので参考にしてください。
→http://blog.livedoor.jp/rope_access_eng/archives/907089.html

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2010年5月18日 (火)

名称って難しいですよね

名称って難しくないですか?

【例えばブーリン】
いきなり何の話だと言われそうですが、英語で書かれたものをどんなカタカナにするかって事です。例えばBowline。日本ではブーリンって言われることが多いんですが、私はいまいち納得できません。

この呼び方ってたぶん英語の発音を聞いたままからきていると思うんですよね。アメリカンを「メリケン」って言っちゃうのと同じ感覚。それってどうなんだ?と思っちゃうわけです。だって…なんとなくカッコ悪くないです?

私は話して伝える時は「ボゥライン」って言うようにしています。でもブログでは今後「ブーリン」で統一しようと考えています。単純にブーリンの方がキーボード打ちやすいんですよね(汗)

他にも色々あります。例えばダブルブレイド(Double Braid)。ネットではダブルブレードって書いておられる方が多いです。でも私はブレードって書くと「刃物」のほうを想像しちゃうのでブレイドって書くようにしています。

【さらに】
さらにややこしいのがValdotain。元々がフランス語なものを英語にしているから、英語表記も混乱していたりします(Valdteinとか)。私はヴァルドタインって書いています。何となくカッコよくしたいってだけですが。バルトタンとかヴァルドテインとか色々書き方があります。そしてバルドタンには同じ名称なれど全く違う結びが存在するみたいです(マシャール+ブーリンで作る)
しかもValdotain Tresse(V.t.)がそこに絡んできます。ヴァルドタインとヴァルドタイン・トレッセは別物なので注意が必要です。私も「An Overview of Climbing Hitches」を読むまでよくわかっていませんでした。

そして兄弟のマシャール(Machard)がまたややこしい。英語風にマッシャーって言ってみたり、これをオートブロックだと言ってみたり、いやいやオートブロックって書き方はフランス語訳の失敗でセルフジャミングが正解だと言ってみたり、一筋縄ではいかない事になっています。

ノット系はほんとややこしいですね。ロッククライミング系やレスキュー系の呼び名との整合性も絡んできますし、同じノットに違う名称がついていたり。ロッククライミング界ではブレイクスヒッチはポローネと言ったりするらしいですよ。「ポローネ 結び」で検索するとちょっとおもしろいです。
個人的な話ですが、私はロッククライミング系の「プルージックノット」っていう言い方に違和感を感じまくっています。あれはヒッチだろと思わずにいられません。

すみません、話がちょい脱線しました。

【共通認識が欲しい】
別にどんな呼び方をしてもいいと思うんです。それぞれのチーム、団体内では統一されているでしょうし、私としてはネットで検索する時に困るくらいです。

でもやっぱり国内で統一しておいてくれた方がうれしいです。チカラのある団体が外部に向かって大きい声で発信してくれたら、ある程度の混乱は解消されていくと思っています。

と言うか、そういった団体の外にいる私が単に知らないだけで、既にある程度の共通認識はあるんでしょうね。どこかの団体がテキストを外部に向けて出してくれたらいいんですが、まず無理でしょうね。
うーん、ISAジャパンの発足を待ちわびます。

また時間ができたら当ブログ内の用語集的なものを作りたいなあと考えています。

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2010年5月10日 (月)

ガースヒッチ四方山話

今回はガースヒッチについてまとめてみようと思います。結び方は皆さんご存じでしょう。知らないって方も人生のうちで一度はやったことあるはずです。

日本語でいうと「ひばり結び」になるみたいですね。注意したいのは「ひばり結び」と書くとカウヒッチも含まれる事。ガースヒッチとカウヒッチは兄弟みたいなもんです。完成形としては同じようなもんですから。

あとプルージックヒッチはガースヒッチの発展形と言えます。ただし実際の使用方法や注意点は全く異なってきます。個人的にはクレイムヘイストもガースヒッチの親戚だと思っています。

【ガースヒッチの強度低下問題:スリングの折り返し角度】
まずはこの写真をみてください。これが綺麗なガースヒッチです。(写真1Dsc00105_s

で、これがイマイチなガースヒッチです。(写真2
Dsc00104_s

この二枚の写真の違いがわかるでしょうか。スリングの折り返し角度が違いますね。写真1だとほぼ真っすぐ自分の方に伸びてきています。写真2は約120度の角度がついた後に自分の方にきています。

この差で支点の強度が相当変わってきます。元の強度を100%とすると、写真1の場合だいたい70%、写真2ですとだいたい47%くらいまで低下します。かなり違いますよね。

この折り返しの角度を更に進めて180度折り曲げたらどうなるでしょうか。写真1の状態から写真奥に向かって折り曲げる感じです。この場合、強度は約30%まで低下します。

とはいえ…樹にガースヒッチで巻いて荷重をかけた場合、写真2の状態で安定する事が多いです。スリングが滑ってこっちを向いちゃうんですよね。

【ガースヒッチを使わない訳にはいかない】
そんな訳で、私は支点作成にガースヒッチはあまり用いません。と言いたいところですがリギングですとガースヒッチ(orカウヒッチ)って使用しまくっていますよね。例えばアーボリストブロックを幹に設置する場合、カウヒッチかガースヒッチで行う事が普通です。特に私はルーピースリングで設置するのでガースヒッチは避けて通れません。

ですからガースヒッチは使わないというのは現実的ではないです。この強度低下問題をいつも頭に置いて作業するようにしています。実際にルーピースリングは充分な安全率を見越せるような製品を使用していますし、大荷重がかからないようなリギング作業を心がけています。

あと個人的にはランニング・ボウラインも同様にこの強度低下問題を抱えていると思うんですがどうなんでしょう?

SRTのボトムアンカーは今のところ「ラップ3プル2」で作るようにしています。アメリカンレスキューでよく使われる技術です。レスキュージャパンさんのサイトで紹介されています。

【ガースヒッチを安易に使用しない】
他にもガースヒッチは禁忌事項があります。スリング同士をガースヒッチで結束しない。スリングに直接ロープを通さない(これはガースヒッチというよりスリングの問題ですね)。アイスリングの場合、折り返し部分もアイで行う(アイ部分だとライン2本分の強度を期待できるからだと思います)などなど。

ガースヒッチは作成が非常に簡単なのでよく使用しますが、過信しないように注意しなければいけないです。いやほんとよく使用します。大好きなヒッチのひとつです。だからこそ性能をよく知っておかなくちゃ!と思うんです。

【カラビナも結構怖い】
あと割とよく見る間違いがこれ。ガースヒッチの代わりにカラビナ(アルミ)でとめています。リギングの時についついやりたくなりますが、これをやっちゃうとカラビナがすぐぶっ壊れます。
Dsc00107_s

さらに大袈裟にやってみましょう。うりゃ!
Dsc00109_s

カラビナが電柱に当たっています。カラビナ自身を折ろうとする荷重がかかっていますよね。こういう荷重にアルミカラビナは非常に弱いです。

というかアルミカラビナはメジャーアクシス以外の荷重にからきし弱いです。逆に言えば「軽量化を追及した上でメジャーアクシスだけは強度が出るように特殊設計された製品」だと考えた方がいいような気がします。写真のカラビナはペツルのオーケーですが、軽量カラビナだと恐らく更に強度は落ちると思います。

ツリーモーションやヒッチクライマーで有名な「Treemagineer」のサイトにこの「カラビナ鯖折り問題」を取りあげた説明があります。是非ご覧ください。(こちら

【スチールカラビナのなんとも言えない安心感】
じゃあこういう事をしたい時はどうすればいいか。私はスチールカラビナやスクリューリンクを使うようにしています。もしくはテンションレスヒッチでとめて末端処理用にカラビナを使用するといった事をしています。

というかリギング作業の場合、スリングを使わないでリギングラインで直接結ぶ方がわかりやすくて強度も出ると思います。リギングラインは元々充分な安全率をとっているから大丈夫だという発想です。

カラビナについてはまた記事を書きたいと思っています!

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2010年5月 9日 (日)

ソニーの「DSC-HX1」

ついついカメラを買っちゃいました(汗)。

【G600もいい奴なんだけど…】
今まで使用していたカメラはリコー「G600」+ワイドコンバージョンレンズです。防水・防塵・耐ショック・かなり広角(22mm相当)。現場カメラとしていいんですが、あまりにも画質が悪い気がするのとズーム機能が弱いのが気になっていました。

Dsc00114_s

画質の悪さはすごく気になります。特に室内や暗い林内。ISO400以上になるとノイズが目立って仕方ない。そのくせオートで撮ったらすぐにISO感度を上げやがります。晴天下ではいい写真がとれるんですが…。ただマイセッティングが登録できるのでそれほどオートのお世話になる事はありません。手ぶれとの戦いが待っていますが気合でカバーです。

あとズームが弱い。これは小型機なので仕方ないところですが、樹上の作業写真を撮るときにネックでした。あとズームするとピントが全然合ってくれないのもつらいところです。

ちなみに私はこのデジカメしか持っていなかったので、友人の結婚式の時にもG600を持っていくんですが、これがなかなか結構恥ずかしい(笑)

リコーっていうのも難しいところなんじゃないかと思っています。パナソニックやフジみたいに「だれでも簡単にきれいにとれるよー」みたいな優しさが見えません。リコーってGX200に代表されるような高級コンデジが得意なメーカーで、カメラ好きに捧げます!みたいなストイックイメージがあるんですが、現場カメラなんだから素早くそこそこの写真撮らせろや、といつも思っていました。

【そして楽しい買い物タイム】
そんな訳で新しいデジカメが欲しいなーと前々から思っていたんです。条件としては「高倍率ズーム搭載」「室内撮影や夜間撮影にも強い」「片手操作可能」「できるだけ軽い」といったところ。

一眼レフも考えたんですが、さすがにいい値段しますし、現場でレンズ交換中にぶっ壊しそうなので却下。そこで高倍率コンデジと言われる商品群をあれこれを探しまわりました。

候補として浮かんだのは…富士フィルム「FinePix HS10」、ニコン「COOLPIX P100」、キャノン「PowerShot SX20 IS」、ソニー「DSC-HX1」。

【ソニー DSC-HX1】
で、悩んだ末に選んだのがソニーの「DSC-HX1」。一年前くらいに発売されたカメラで、当時はサイバーショットの最高機種という触れ込みでした。今回は中古で買ってだいたい3万5000円いかないくらいです。最新機種の富士フィルム「FinePix HS10」で新品が4万ちょっとなのでけっこう割高なイメージがありました。在庫処分の波が2月頃だったようで乗り遅れちゃいましたね。

R0016234_s

ズーム倍率は20倍。最新機種ですと30倍のやつ(フジのやつとか)もありますが、フジのはどうも画質が気に食わなかったのと重量が重いので却下。それにHX1はテレコンバージョンレンズがオプションにあるので、更に高倍率にしたかったらそれ買えばいいや、と納得しました。

画素数はおとなしめの900万画素。これもグッドなポイントだと思っています。これ以上画素数あげても映像素子のサイズが大きくならない限りノイズが増える一方だと感じています。どうせパソコンの画面で見るかL版サイズにプリントするくらいですし、こんだけあれば充分です。

重量は500グラムいかないくらい、グリップ周辺にボタンが集中しているので片手で写真撮影が可能です。片手で写真がとれると樹上作業時に面白いアングルで撮影できるので、個人的には結構重要なポイントでした。フジのやつはズーム操作がマニュアルなのでフル片手操作は無理です。

【パノラマいいねー!】
いやーこのカメラおもしろいです!満足しています。色々と楽しい機能があるんですが、特に気に入っているのが「スイングパノラマ」機能。カメラを左から右にスイングさせるとカメラが高速連写した写真を自動でパノラマ合成してくれるっていう機能です。これがすんごくおもしろい。

このパノラマ機能をカメラ屋で触ってみて感動したのが一番の購入動機です。パノラマ機能がついているのは他にフジだけだったと思います。で、フジは好きになれなかったのでソニーを選んだという次第です。

実例をどうぞ。この写真がスイング5秒+合成2秒くらいで撮れます。しかも破たんなくかなり綺麗に合成します。ゆがみが出るのは愛敬です(笑)。広角端のみ、ピント合わせ一回のみ、など色々と制限もありますが、パノラマ合成ツールを使わなくてもいいので気軽にパノラマ写真を楽しめます。

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【動画もいいねー】
あと動画がすごくきれいでびっくりしました。ただ一年前のカメラということでフルHD動画ではないですが、それでも個人的には充分です。実例はこちら。タイムライン右の「360p」っていうところを更に高画質にしてみてください。

動画の内容は気にしないでくださいね。後日もうちょっとマシな説明動画をきちんと撮る予定です。ヘルメットマウントアダプタを自作しよっかなー。

【広角側がちょっと気になる】
今のところ気になるのは広角がちと弱いなあっていう事くらいです。でもHX1もG600も元々はどちらも同じ28mm相当で、G600はワイコンをつけているから22mm相当になっているだけです。
なので、通常の提出用作業写真の撮影にはG600の広角、樹上作業の参考写真撮影にはHX1の望遠、っていう感じで使い分けていこうと思っています。

HX1は防水じゃないので現場にいつも持っていくのは怖いですしね。うまく使い分けていきたいです。

次の樹上現場で写真を撮るのが楽しみです!

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