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2010年5月19日 (水)

ツリーワーク道具の安全率について

5/20追記:コメント欄にて指摘を受けたのですが、この記事には安全率と関係する重要なファクターである「Cycles to failure」(CTF)の概念が抜けている事に気付きました。
なのでいわゆる片手落ちな状態です。記事を鵜呑みにしないようお願いいたします。
おそらく最終的には抜本的に書きなおすと思います。

現在CTFの資料を翻訳・調べているところです。のんびりお待ちください。ちなみにその資料はこちらです。ここの資料どれもおもしろいっすよ!
→http://www.treemettlenexus.com/article4.html

(元記事ここから)
それでは前回の続きです。

【基本的に安全率は10で】
まずはシェリルのこのページ内の「Safety Factor」をみてください(こちらの中ほど)。「だいたい安全率は10ですぜ」と書いてあります。

実際そのとおりです。

基本的にツリーワークの道具は安全率を10とってあります。特にクライミング道具は間違いなく10、もしくは破断荷重のみの記載です。リギング道具も基本10です。ループスリングのみ5~6ってところでしょうか。

実はWesSpurとSherrillの間でも微妙に違っていたります。特にルーピースリングで違いが目立ちます。WesSpurがカタログ内で安全率10だと明言しているのに対して、シェリルはWLLだけの表記だけです、どうも安全率6~7あたりをとっているみたいです。

私としては「墜落の衝撃を受けるものは10、それ以外は5~6」っていうのが妥当ではないかなと考えています。つまり人間用のクライミング道具とトップカット等で使うリギング道具は10、スピードラインや吊り切り用のスリングは5~6でいいんじゃないかなと。

個人的な意見ですが、使用荷重のみを知っても仕方ないと思います。使用荷重とその時の安全率の両方を知っておかないと柔軟な運用がしにくいです。ウェススパーのカタログにはDF(安全率)がちゃんと書いてありますが、シェリルのカタログはWLLしか書いていないモノがあります。調べるのに苦労しました。何とかならんもんでしょうか。

【安全率を90とるべし】
ちょっとここでシェリルの2009カタログをご覧ください。
※持っておられない方はこちらから閲覧できます。エラーが出る場合はIEから見てください。(アカウント作ったらダウンロードも可能)
http://issuu.com/sherrilltree/docs/09catalog-s-usa

で、見てほしいのはp,3の「Working Load Limit (WLL):」。右下のマッチョなおっちゃんが指さしているコラムです。

このコラムの後半部分を簡単に要約すると、「 ダイナミックローディングがかかるかもしれない状況では、安全率は90くらいとるべきだよ。」って書いてあります。(他にも色々いいことが書いてあるので、コピペして翻訳してみてください。)ダイナミックローディングと聞いて最初に思い出すのはトップカットですよね。

案外私はこの意見に賛成です。さすがにきっちり安全率90をとる気はないですが、今のところこれくらいの気持ちで運用しています。で、この安全率90は道具に求めるというよりも、「吊り荷荷重を軽くしろよ、WLLを鵜呑みにするなよ。ダイナミックローディングなめんなよ」って事なんだろなと個人的に考えています。

こんな感じでですね、安全率ってのは状況によりどんどん変化するものだと思うんですよ。安全率はこれで使用荷重内なら何してもOK!じゃなくて、この状況だと安全率はこれだけあるのかー、みたいに考える癖が必要だと思います。

どうも日本では安全率が固定のイメージがあるからなのか、元請けさんにはわかってもらいにくいですが(汗)。

【例え話】
先日現場で元請けさんにクライミングロープの強度を聞かれました。色々興味を持っていただけるのはうれしいことです。
私     「このロープは破断強度27kNですんで、私の体重が100kgとしても安全率27ありますよー」
元請けさん「ん?安全率は10じゃないの?それにニュートンって?」
私     「えーと(汗)、使用荷重は約270kgっす」

【安全率には二つの使い方がある…たぶん】
①道具の基本的な強度としてWLLを知る。そしてWLLの安全率を知る。(固定的)
②そのうえで実際の状況下で、道具に加わる負荷荷重とWLL(もしくは破断荷重)の差を安全率という指標で見極める。(流動的)

って事です。①と②の「安全率」って言葉がもたらす微妙な意味合いの違いをわかってもらえれば幸いです。上記の例え話中では元請けさんは①の意味で、私は②に近い意味で言っています。ちなみに私の発言はかなり暴論です(笑)。

そして①も固定的と書いていますが、人それぞれ・メーカーそれぞれです。その安全率を決めた各自の作業理念・思想によります。

【脱線中です】
少し話は脱線しますが、前述コラム「Working Load Limit」の前半に「このカタログに記載されているほとんどのWLLは安全率5の数値ですよー」みたいな事が書いてあります。これがよくわからない。
同じく2009カタログのp,56(スチールカラビナ項)、左下の小さいコラムを見てください。「特に注釈のない場合、WLLは破断荷重の1/10で書いているよー」って記載があるんですね。

この二つのコラムの整合性が私はどうやっても理解できません。翻訳ミス?私が何か解釈を間違えているんでしょうか?どなたか分かる方がいらっしゃいましたら、ご教授いただけるとありがたいです!

【脱線2:cycles to failure】
ちなみに先に紹介した「Working Load Limit」のコラムは2010カタログには載っていません。
その代り「Working Load Limit」のコラム内で紹介されている「“cycles to failure”」の概要が75ページに記載されています。道具は疲労するっていう内容です。これも重要な事ですので、是非2010カタログをゲットしてご覧ください。

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コメント

えっとぉ 余計な差し出口をたたきます。
 安全率とかのイメージは静的な固定された数値を考えている限り間違いを犯すものだろうとおもいます。
 safety factor vs. Cycles to failure という表がネットのどこかに転がっていると思います。 私は石器人なので書籍出典(責任所在明示)にこだわってる部分がありますが、例えばp98/Arborist Equipment 2ndEd.
特に衝撃荷重での安全率の場合は、それを受け取るロープ全体を考察しなければ意味のある結論には至らないものと承知しています。
 算数・代数的なアプローチでの答えを探しているならラビリンスは複雑怪奇な様相を呈する・・・かも。
 まぁ、事実、知れば知るほど複雑怪奇って話ではあるんですけどね gawk

投稿: 月光仮免 | 2010年5月19日 (水) 18時02分

月光仮免さんこんばんわ!
いえいえ、いつも本当にありがとうございます。

「safety factor vs. Cycles to failure 」ですが、あいにく私はその本を持っていないんです。
こんな記事を着つけたんですが、提示されているページ内容と同様でしょうか?
http://www.treemettlenexus.com/article4.html

投稿: フリップ | 2010年5月19日 (水) 21時13分

安全率という言葉を使った瞬間、内容は確率の話になるわけです。
→ http://pabllo.cocolog-nifty.com/kobikiya/2009/01/post-e829.html

 更なる疑問については私のサイトで受けるかもしれませんが基本的に自分の関心の向くところにブログの意味があるわけですね。 ちょっと方向が違うかもしれません。 その節には悪しからず。 wink

投稿: 月光仮免 | 2010年5月19日 (水) 22時01分

月光仮免さんのそちらの記事、今回の記事を書くにあたっても読ませていただいておりました。Cycles to failure(CTF)の概念、今回の記事に絡めるのはややこしいと思ってやめたんです。
何故かと言いますと…

①ショップカタログに記載されている機材のWLLや安全率
②月光仮免さんが指摘されているシステムの安全率

は意味合いがちと違うと考えています。道具単体のWLLを導く為の安全率と、システム評価としての安全率の違いと言ってもいいかなと思います。

今回の記事は①に焦点を当てた記事です。そしてCTFが絡んでくるのは②の方だと考えています。
②について私は月光仮免さんの意見に同感です。

記事を見直すとややこしい点があるのでブラッシュアップしたいと思います。
こうやって鋭い突っ込みをいただける事を非常にうれしく思っておりますhappy01

投稿: フリップ | 2010年5月20日 (木) 00時03分

うおっとおお!
前言撤回します!月光仮免さんすみません!
今やっとおっしゃっている事がわかりました!

上のコメントは全く見当外れでした…道具とかシステムの話ではなく、確かに安全率と確率の話は一緒ですね!完全に安全率の本質を読み誤っていました。

抜本的に記事を書きかえたいと思います(汗)。ほんとほんと感謝です。ありがとうございます!

投稿: フリップ | 2010年5月20日 (木) 00時12分

教えてください。ツリーワーカーといったもではないのですが。高木の剪定や松の剪定で身動きができず、困っております。自由に動き剪定のでるような装備を教えていただけたらとメールしました。宜しくお願いします

投稿: シルバー庭師あっさん | 2013年6月19日 (水) 22時03分

こんばんわ、はじめましてー!
たぶんですが、お望みのことをしたいのであれば、DdRT(団体によってはDRTという言い方もします)を習得するのが一番の近道だと思います。
その場合、どの装備を買うかというより、そのシステムを理解することが先になるでしょう。

現在、私の知る限りで3つの団体がDdRTを含んだ基礎的な講習を行っています。まずはこういった講習に行かれることを強くお勧めします。
・TCJ系のJAA http://www.tcw.co.jp/JAA/
・TMCA系のArboreal http://www.happy-tree.jp/arborial_seminars/arboreal_top.html
・アーバンフォレストリーの講習会(旧上伊那森林組合の講習会) http://urbanforestry-japan.com/service.html

講習に行く前にちょっと知っておきたいというのであれば、アーバンフォレストリー代表の吉見次郎さんが書かれたテキストがあり、アウトドアショップKさんで買えます。この本はすごくいいです。http://works-odsk.jp/SHOP/TRWBK00054.html

もし「いやいやとりあえず装備のことを聞きたい」というご希望であれば、コメントで書くと長文になりすぎますし、個人的嗜好が強く出すぎてあまりここに書きたくないので、メールをいただければありがたいです。(私のメアドはブログの左上あたり「メールを送信」リンクにあります。)

投稿: フリップ | 2013年6月19日 (水) 23時20分

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