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2010年8月11日 (水)

ブランメルスプライスの露出コア問題

それでは前回の続き。今回は「コア剥き出しアイって結局どうなの?」という問題について記事を書いてみようと思います。

参考にしたのはTreeToolsブログのこちらの記事(リンク)。ブランメル・スプライスとクラスⅠスプライスの比較記事です。
対象コードはDonaghysの「armor Prus」(メーカーリンク)。あまり聞き覚えのない方も多いかもしれませんが、イギリス系のお店やBBSでちょくちょく見かけます。特徴としては外皮にテクノーラを使用している事。これにより耐摩擦熱性能と耐荷重性能を獲得しています。あと迷彩柄がおしゃれです。

初めに言っておきたいのですが、Treetoolsのブログ主さんはあくまで個人的な意見として記事を書いておられます。そして「ArmorPrus」のブランメルvsクラスⅠの比較をされています。それを援用して、私は「ウルトラテック」のブランメルを考えます。そこのところを注意してください。

それでは見ていきます。

【スプライスのせいでコードが硬くなる】
スプライスをしたコードは、アイ上部が硬くなります。コードをコードに挿し込む過程でそういった範囲がでてくるんですよね。これは仕方ない事です。そしてこの硬化はフリクションヒッチの挙動に影響を与えます。ヒッチがうまく極まらないだとか、ブレイクした後にグリップしにくくなるとか。

クラスⅠと比較して、ブランメル・スプライスは硬くなる範囲が少なくて済むらしいです。つまりブランメルの方が柔軟性があるという事です。これはいつも当ブログに貴重なコメントをくださっているヨシミさんも同様の事を言及しておられます。

【え、硬いんですけど…】
しーかし、私の持っているWesSpurのウルトラテックは硬い範囲がでかいです。写真をご覧ください。着色部分が堅いところです(多少の誤差はあります)。
Dsc00802_s2

この部分までコードが差し込んであるという事になります。柔らかいところの方が少ないでしょ。使いにくいんですよー(涙)。正直、ヨシミさんにいただいたクラスⅡスプライスのウルトラテックの方が明らかに堅い範囲が少ないです。

まあこれはWesSpurのコードの問題ですから普遍的な話ではありません。でも私には深刻な話です。

【強度的に大丈夫なの?】
スプライスの引張り強度試験をした場合、クラスⅠよりブランメルの方が高強度です。詳しくはTreeToolsブログのこちらの記事を参考にしてください(リンク)。しかしブランメルはコア剥き出しです。以下、その点を考えます。

【熱抵抗性の低下】
「ArmorPrus」の内芯はスペクトラ/ケブラーの複合繊維です。こいつ達は耐熱性に劣ります。スペクトラが約147℃、ケブラーが約426℃で融けだすらしいです。で、スラックテンダー用のプーリーと併用した場合、そのプーリーで発生した摩擦熱はすぐ傍にあるフリクションコードのアイに伝わる心配があり、それってやばくない?…こう言うことをTreetoolsさんはおっしゃっています。

ただ、この点はウルトラテックはあまり気にしなくても良いかもしれません。内芯はテクノーラですので。うーん、何とも言えません。

【露出したコアは脆い】
そして、Treetoolsさんが一番恐れているのは「露出したコアの織りはゆるく、耐摩耗性が低い」事です。

まず考えられる事は、「カラビナのノーズが通りにくい」問題です。無理やり通そうとするとコア内側の撚り糸を数本ぶちぎっちゃう事もありえます。いやほんとこれは鬱陶しいです。

そしてTreetoolsさん曰く、一番重要な事は「荷重がかかった時、コアは簡単に丸みを失う」問題です。これはどういうことか。

下の写真をご覧ください。荷重によってアイの丸みが失われます。そしてヒッチクライマーのカラビナホールとカラビナの間には隙間があります。この隙間につぶれたアイがひょろりと入り込んでしまった場合、アイの繊維は容易に破断することは想像できると思います。
Dsc00803_sp

じゃあヒッチクライマー以外だったらいいんじゃないの?いや、そんなことはないです。プーリーを挟むようにプルージックコードをセットした場合、同様の事が起こり得ます。ただ、荷重をかけたらその隙間自体も閉じるんじゃないの?と思わないでもないです。言いたい事はわかりますが、私はこの意見を全面的には支持しきれないですね。

しかしながら、メーカーとしてはコアを露出した状態で使用する事を想定していない可能性はあります。ちょっと調べる元気がおきないので確定的な言い方はできませんが、コアの露出を容認するとは…あまり思えないんです。

【紫外線対策】
これは私の意見です。先日コメント欄に「テクノーラの耐光性の低さが気になる」と書きました。帝人のテクノーラのサイトを見ても「高強力繊維は一般に耐光性は低く、テクノーラ®も約3ヶ月の日光曝露で強力が半減することがあります。」とあります(リンク)。

しかしながら、WesSpurのカタログを見る限り、高性能コードってほとんどがテクノーラを含んでいるんですよね(汗)。ウルトラテックはコアにテクノーラを使用しているだけまだマシとさえ言えます。

つまり、耐光性の問題はアイがどうのといった問題ではないということです。「高性能コードは使用三か月で取り換えるべきだ」と、パオロさんはこちらの資料でおっしゃています(pdf資料、p42 10.5)。妥当な線かも…私も思います。

【最後に】
あーだこーだと言っていますが、是非ともTreeToolsブログの該当記事をご覧ください(こちら)。そちらの方が手っ取り早いです。もともと私が露出コアに否定的なので、TreeToolsさんの意見を都合よく捉え過ぎている可能性もありますし。

個人的な意見としては「ブランメルスプライスの強度低下の少なさは認めるが、露出したコアは何かしらの不具合を引き起こす」と考えています。具体的には今後はシェリルのグリズリースプライスのウルトラテックを使用するつもりです。これを買い貯めておくようにします。

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