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2010年9月の3件の記事

2010年9月21日 (火)

雑感:0921 ロープは伸びる

【秋の夜長に昔話でも】
ロープって伸びますよねー。ツリーワークで使用するようなロープはあまり感触はありませんが、ロープアクセスでよく使用されるセミスタティックロープは案外伸びます。50mくらい下降するとビヨーンビヨーンとロープが伸び縮みするのがわかります。

それでは実際に50mくらい下降して地面に着地したとしましょう。登り返す前に一息つこうとロープから手を離した瞬間、ビョイーンと縮みあがります。

いかんっ!と思った時には後の祭りでして、ロープ長がぎりぎりだった場合はロープ末端に手が届かなくなる事もあります。あれはすんごい情けない気持ちになりますし、その後の処理が非常に大変です。

そんな訳でこちらの動画はいかがでしょうか。大分県の昔話らしいです。こんな時代から「ロープを使って下降する」職業の方がいたんですねー。それにも驚きました。何とも言えない気持ちがわかってもらえたら幸いです。

まんが日本昔ばなし「吉作落とし」



【近況:スプライス始めました】

スプライスを始めました。現在はダブルブレイドclass1のアイスプライスをせこせこ作って遊んでいます。マークXからポイントZの間、1/3Fidに苦しめられています。サムソンのチューブラーフィッド+プッシャーを使用しているんですが、ブライアン・トスさんのワンドを買えばよかったんでしょうか…?DVD見てたらすっごい便利そうでビックリしました。「そりゃ押すより引いたほうがいいよね、値段高いだけあるわなー」と妙に納得です。

個人的にイェールBlazeよりサムソンVelocityの方がスプライスしやすいです。外皮の編み方が違うような気がしています。どうなんでしょうか。Blazeは前述の1/3fidがどうしても無理なので、ユーズドロープ式のスプライスで遊んでいます。

まあ荷重テストしていないので、本当に成功しているんだかどうなんだか、よくわからないです。でもスプライスは面白いですね。

アイ加工したBlazeとアイステイルの組み合わせをメインロープにすべく、のんびりがんばっていきます。

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2010年9月17日 (金)

カラビナの形状の種類

今回はカラビナの種類についてふらふらと書いてみようと思います。だいたい下写真のような種類があるんじゃないでしょうか。

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【オーバル型】
楕円型のカラビナです。 上写真では左右対称型なんて書いていますが、そんなややこしい話ではなく要は楕円型なんです。このタイプは多少の微妙な違いはあれど基本的にこんな形状をしています。

特徴としては、まず第一に強度があまり出にくいです。アルミの場合はだいたい24kNくらいでしょうか?一番わかるのはペツルのスチールカラビナ「オグザン Oxan」でしょう。スチールのくせにメジャーアクシス強度は27kNしかありません。

じゃあそんな中途半端な強度のオグザンなんていらないじゃん、と思われる方は生粋のツリーワーカーです。スチール製っていうのが重要なんですよね。鉄製の構造物やアンカーをクリップするときにアルミカラビナを使うと鉄がアルミをえぐっちゃうので、スチール製のオグザンを使ったりするわけです。ちなみにDMMのスチールオーバルだと30kNです。

オーバル型、私は大好きです。一番汎用性があって癖がないと思うんですよねー。使用に充分な強度を持ちますし、オーバル型は駄目!というシチュエーションはほとんどない気がします。とりあえずペツル「フィックス Fixe」みたいな固定プーリーを使う場合はオーバル型一択だと思います(や、HMS型でもモノによってはなんとかなるか…?)。

そうそう、オーバル型の一番の弱点は重量があることかもしれません。大抵70gはオーバーします。

【D型と変D型】
この二種、わざわざ分けて書く必要もあまりない気もしています。D型ですが現在ほとんど見かけないです。と思いきやスチールカラビナにはまだ残ってたりします。おそらくですが、D型の開口幅をコンパクトなまま更に広げたい!という要求のもとに変D型は生まれたのではないでしょうか。

変D型はよく見かけますよね。ロッククライミングで使うカラビナはほとんどこれです。ロープがクリップしやすいんでしょう。オフセットDなんて言い方もします。

特徴としては、非常に強度がだしやすい!その形状を見れば一目瞭然ですが、スパインにしっかり荷重がのるような形をしています。しかしながら、そのポイントは結構狭いです。ロープをクリップするなら全然問題ないんですが、例えばペツル「マクロセンダー Macro Sender」のようなロープグラブをクリップするにはあまり宜しくないと思っています。ポイント付近に傾斜があるのできちんとセットできません。。他にも前述のプーリー、ペツル「フィックス Fixe」をクリップしようもんなら…さすがにまずいです。

要は「D型や変D型のカラビナは点をクリップできるが面はクリップしにくい」って事です。

そんな訳で私はあんまり変D型カラビナを使いません。DMM「ゾディアック」をペツル「RIG」の取り付け用に使っているくらいでしょうか。

この点、ペツル「amD」はなかなかよくできています。よくある変D型とは違ってポイント付近の傾斜があまりないんです。フィクスはちと無理ですが、ロープグラブくらいなら問題なくクリップできます。だから私は好きです!傾斜の緩いD型カラビナって感じですね。

ちなみに上写真のD型カラビナですが、じいちゃんがその昔買ったもんです。コングの前身である「コング・ボナッティ」のもの。重いし、緑色のコーティングは単なる塗装だし、時代を感じます。ネットで調べたら結構人気商品だったみたいですね。もちろんクライミングには使っていません。でも愛着はめちゃくちゃあるのでアクセサリー的に使用しています。

【HMS型】
さあ出てきました問題児のHMS型です。洋ナシ型って言ったりもします。何が問題って形状違いの種類が非常に多いです。

とりえあず「HMS」ってなんじゃいって事ですが、これはドイツ語でミュンターヒッチ(半マスト結び)を指す単語の頭文字をとったものです。つまり元々はミュンターヒッチをする為のカラビナです。現在はビレイ器をクリップする機会が多いのかな?その為HMS型は「ヒンジ側は点、ノーズ側は面」をクリップするような形状をしています。

ただ前述したとおりHMS型はいろいろな形状のものがあります。個人的に一番HMS型らしいカラビナの形状っていうとノーズ側が平らなBD「ミニペアラビナ」とかペツル「アタッシュ」でしょうか。DMM「エアロ」みたいにノーズ側が丸いものもあります。

上写真に掲載したDMM「センチネルHMS」を見てください。変D型に似ているでしょ。おそらくセンチネルHMSは面にも対応しつつ、点をクリップしたらスパインに荷重がのるポイントに移動するよう設計されてるんではないでしょうか。そのせいでこいつは変D型といっても差し付けないくらい「変D型に近似したHMS型」だと思います。こういったように変D型を意識したHMS型カラビナは多いように感じます。

個人的に今欲しいのはノーズ側が平らなタイプ。フリップライン用フリクションヒッチをクリップしたいんですよねー。知り合いのOさんがやってるのを見て「こりゃすごいイイ!」と思いまして。が、このタイプってスクリューロック仕様は溢れていますがトライアクト仕様のものは非常に少ないです。私が知る限りDMM「リンクス」「ファットボーイ」くらいですし、これらは既に廃盤品です。市場にはほとんどないのでは?と思ったらISC「KH214」(シェリルでいうところの「Mighty Mouse」)がありましたね。

【それぞれの使い分け】
使い分けですが、これは各自の考えによるもんだと思います。

私が考えるのは「点をクリップするか、面をクリップするか。」くらいです。ハーネス側は点で考えればいいですし、機器側はその機器によります。RIGやSTOPといった下降器は点で考えますし、エイト環は点だけども可動性の余裕を確保したいのでアール形状のもの(オーバルやノーズ側が丸いHMS型)がいいし。ロープグラブやフリクションヒッチは面。とかそういう感じで考えています。

迷ったらオーバル型かHMS型で良さげな物を探すといいと思います。ロープアクセス時代はオーバルだけでほとんど何とかなったくらいです。個人的に変D型は使い道に困ります。ロープをクリップするには最適なんでしょうけど、ギア類のセットにはあまり向いていないような気がします。でもこれもまた考え方・状況次第です。変D型にもいろいろな形がありますしね。

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2010年9月13日 (月)

カラビナの強度的な話でも

今回も引き続きカラビナの話です。カラビナの強度について考えます。まずはこちらのイラストをご覧ください。「てこの荷重」のイラストがなんともいえない感じなのはご愛嬌という事でお願いしまっす。

Photo

この5種類の荷重のうち、普通のカラビナはメジャーアクシス方向の荷重のみ許容します。他のタイプの荷重がかかるとカラビナの強度は劇的に低下します。

【メジャーアクシス】
メジャーアクシスの強度を担うのは基本的にカラビナのスパインです。

D型や変D型のカラビナはスパインにがっつり荷重がかかりやすいように設計されています。HMS型もモノによっては変D型チックな形状にしてスパインに荷重がかかりやすいようにしてあるものがあります。オーバル型の場合、正常状態でもスパインだけではなく上下のアール部にもがっつり荷重がかかってきます。この為、D型と比べて強度が少々低いです。

何にせよ荷重が一番かかるのはスパインですが、この時ゲートが閉じていることが非常に重要です。

【ゲートの役割】
これは私の推測なのですが、オープンゲート荷重ってありますよね。だいたい7~8kNくらいでしょうか。この時、カラビナはみにょーんとメジャーアクシス方向にのびていると思うんです。金属だってのびるんです。ゲートが開いている場合、スパインにはまだ強度があるけれども、上下(上記イラストでは左右)のアール部が引き裂かれるように破断する、そんな気がします。Cチャンがぶっ壊れる場面をイメージしてもらえばわかりやすいでしょうか。

そんな訳でゲートはアール部が引き裂かれないようにする役割を果たしているんだと思います。通常状態のカラビナのゲート部を見ても隙間があいていますよね。高負荷がかかった時、カラビナのボディが延びてこの隙間を塞ぎます。そしてゲートはカラビナの形状を維持するように努める。こんなイメージをしています。

まあこれは私の勝手な想像ですので、実際にはまるっきりウソかもしれませんし、これがわかったところで「だからどうした」と一蹴されるような話なのであまり気にしないでください。
要はゲートが閉じてメジャーアクシス方向に荷重がかかっていればいいんです!

【ウィップラッシュ現象】
ロッククライミングの場合、ウィップラッシュ現象によってカラビナが破断する事故が起きています。この現象についてはネットで検索するといくらでも記述があるので詳しくは書きません。簡単に説明すると、安全環なしタイプのカラビナに衝撃荷重がかかった場合、瞬間的にゲートが開いてしまって、(オープンゲートになって)強度が低下したカラビナが破断する現象の事です。

ツリーワークの場合、安全環なしタイプのカラビナをそんな重要な場所で使う事は絶対ないので、あまり気にしなくてもいいかもしれません。でもこれを知ってると安全環への愛情が一段と湧いてきます。

【マイナーアクシス】
マイナーアクシス方向に荷重がかかるのは見た感じからして…NGですよねー。わざわざマイナーアクシス方向に荷重をかける方はいないでしょう。しかし、ついうっかりそうなってしまう場面は案外多いです。

例えば、こんなふざけたターミネーションノットを作っちゃった場合。写真にノットが写らないくらいアイが馬鹿でかいです。
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ゆるーいアイの場合、(枝などに立って)クライミングラインから荷重が抜けた時にカラビナがくるっと回っちゃったりするんです。ふと気づくと恐怖のマイナーアクシス地獄という訳です。こうならない為にもゴム留めやコーナートラップをうまく活用していくべきだよなあ…としみじみ思います。

ロープだったらまだマシですが、下降器などがゲート部に引っかかった場合、マイナーアクシスだとか強度云々といった話ではなく、ガチンコで超危険です。てこの原理でゲートが破壊します。安全環をぶちぬいちゃうんです。これについては「続・生と死の分岐点」P131~に記載があるので是非お読みください。もしくはペツルのカラビナの説明書にも記載があります。

【三方向荷重】
普通のカラビナは三方向から荷重がかかる事を想定していません。

私が知る限り、三方向荷重がOKなカラビナはペツル「オムニ」くらいです。このオムニもどんな三方向でもOKではなく、使用用途としてはファルコンアッセントやケイビングハーネスの腹部アタッチメント連結などを想定しているはずです。しかも私ならオムニ使うよりデミロンド使うだろ、と判断したいです。そんな訳でオムニったら使いどころは非常に限定されていますし、それ以外の用途に使うには敷居が非常に高いと思っています。有り体に言うと軽々しく使えるもんじゃないって事です。

ツリーワーカーが出くわす三方向荷重の例はこんな感じです。ワーキングエンド側のカラビナとフリクションヒッチのコードが別方向に引っ張られています。(フリクションヒッチの両足は同方向の荷重なので、ひとつの荷重とみなします。)
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…あれ、これってもしかして大丈夫?オーバル型でやったせいで何か問題なさそうに見えてきました。でもやっぱり気持ち悪いから私はNGって判断します。わざわざこんな危険そうな事をしなくてもヒッチクライマーで問題を回避します。

【てこの荷重】
これが一番ややこしい問題を孕んでいると思っています。正直わたしもどこがどうなのかよくわかっていません。

参考になるのはTreemagineersの資料「Go_Configure.pdf」(リンク)。いろいろな読み取り方ができると思いますが、私はまだ確固たる判断がついていません。うむむ…。


【いろいろな資料】
今回の記事について特にこれといった参考資料はありません。今までいろいろなシーンで知った情報を複合しています。

・全体的なイメージをうまく掴みたい場合、ロストアローのテクニカルインフォメーションの記述がうまくまとまっていて読みやすいです。
→ロストアロー 「2003・カラビナの強度」(リンク

・こちらの資料を読むとカラビナにどういった問題があるのかだいたい把握できると思います。写真見ているだけでなんとなくは理解できると思います。
→Treemagineers 「Karabiners_and_Connectors.pdf」(リンク

・下記ふたつの資料はまだ読んでいません。でもこれらを読んだら何か新発見がある気がしています。
→Treemagineers 「Go Configure, Arborist News.pdf」(リンク
→HSL 「Karabiner Safety In The Arboriculture Industry」(リンク

・ロープアクセス技術の広場さんの「鉄やステンは伸びて変形するが、アルミは割れる? 金属の性質について」の記事はひっじょーに勉強になりました。実はこの記事を読んで私は初めて引っ張り強度と破断強度の意味合いの差を知りました。

・あとは…「生と死の分岐点」「続・生と死の分岐点」も非常に勉強になりました。「生と死の分岐点」は絶賛廃版中のはずなので、アマゾンのマーケットプレイスなどで手に入れてください。アマゾンですと基本的にプレミア価格がついていますが、まあそこは諦めが肝心かもしれません(汗)。私は3000円で買いました。

【最後に】
いくらカラビナに強度があるとはいえ、それは破断荷重です。24kNのカラビナがあったとしたら24kNの荷重でぶっ壊れるんです。安全率を見越して考える必要があります。カラビナに破断強度しか記載されていないのは、メーカーがユーザー各自の用途に応じて適切な安全率を設定して使用する事を求めているからです。

ここを勘違いしている方がカラビナを使用するのは駄目だろうと強く思います。

あと今回の記事、我ながら調査不足の怪しい記述がチラホラとあるような気がします(汗)。何か気になる部分があれば、コメントをびしばしいただけると嬉しいです。

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