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2010年12月 5日 (日)

樹上からのレスキューの一例を動画で見る

【遭難、そしてレスキュー】
樹上で作業者に何らかのトラブルが起こり、自力で地面にたどりつけなくなった場合、間違いなく遭難しています。

そんな状況に陥った場合、誰かにレスキューをしてもらう必要がでてきます。ビクティムに意識があるか、怪我をしているか、しているならどんな怪我か、ロープの状態はどうか、クライミングシステムは何を使っているのか、などなど状況によってレスキュー方法は千差万別ですが、何はともあれビクティムを安全に地面まで降ろす必要があります。(救助する人を「レスキュアーrescuer」、救助される人を「ビクティムvictim」って言います。)

そして「地面におろす」ところまでは作業チーム内で行えるようになっておく必要があります。同時にできるかぎりの怪我の応急処置も。

【動画おもしろい!】
さてさて、いやー実は面白い動画を見つけたんですよー。アメリカの「Rescue Response」っていう、ギアショップだかトレーニング団体だかよくわからない会社があげている動画です。

CMC体系を応用した樹上レスキュー方法ですかね。AZTEK使ってるから何となくそう思っただけなんですけどね。ほんとにこの方法は安全なのかどうかよくわからないんですが、私は結構いいなーって思っています。

とりあえず…この何とも言えない三文芝居が堪らないですね!何故わざわざアッセンツリー?とか、SRT登攀のストロークが短かすぎねーか?とか、おっちゃん、樹上でかっこつけてボソボソしゃべってるけど地上班に声届いてんの?とか、しょうもない事が色々と気になります。それも含めて面白い!

【小姑のようなイヤラシイ目線で見てみよう】
ラダー(縄梯子)があるのに、わざわざビッグショットでスローラインをかけるのは賛否両論ありそうですね。パウチがビクティムに当たったら目もあてられませんが、このラダーを本当に信用していいのかどうか、って問題もありますし。

SRT登攀用の赤いロープのアンカーってどこなんでしょうね?根本にテンションレスヒッチっぽい事をしていますが(2:57あたり)…テンションレスは水平方向限定だしなあ。あ、これティンバーヒッチかな?そんな気がしてきました。でも、4:32辺りでここにプーリーセットしているんですよね。これってやっていいんでしたっけ??

アッセンツリーはまあいいとして、何故わざわざ現場でフットループを装着する必要があるのか全然わかんないです(3:15、スクリューリンクをくるくる回している場面)。んなもん先につけとけよ、と思ってしまいます。
チキンループ(緑色のロープ)は、これ、パーセルループかな?ハンドルにガースヒッチで留めるんかーとちょっとびっくりしました。私なら絶対やらないですね。取り外しが手間になりますから。ガースヒッチによる強度低下は別に問題ないような気がします(ノットによる強度低下より、トゥース式クランプの「約6kNでロープ破断」問題が先に起こりそうので)。ちょっとわかんないです。

ちなみに3:24辺りでのSRT登攀方法が「フロッグシステム」です。この動画だとしんどそうにみえますが、それはこのおっちゃんが下手なだけです(笑)。腕のストローク幅が少なすぎるせいで、こんなちょこちょこしか登れないんです。更に言うと、アッセンツリー使ってまでラクするなら、パンタン(フットアッセンダー)も使ったらいいじゃん!と思います。

AZTEKはほんといいですねー!オトコゴコロをくすぐられます。ちなみにAZTEKをちょっと試してみたい場合、わざわざ買わなくても自作可能です。「ロープアクセス技術の広場」さんに参考になる記事があります(こちら)。
ツリーワーカーならリダイレクト用のダブルプーリーをふたつくらい持ってるでしょう。個人的には5コイル・プルージックがちょっと面倒なので、DdRTに使うクライミングヒッチで代用したほうがわかりやすいと思っています。たぶん代用してもいいはずです。でも確信はありません。
ただレスキューで本気で使う場合、ダブルプーリーの破断強度などに充分注意してください。本気で使っていくならAZTEKキットを購入するほうがいいと思っています。うーん欲しいなー。リギングシーンでフィドルブロック代わりに使ってみたいです。リギングで使うとレスキューでは使えなくなるんで、すんごいもったいない気もしますが(笑)。

5:56辺り、レスキュー用ハーネスにカラビナ(am'Dかな?)をセットしているんですが、ここにカラビナ使っていいんですかね?驚異の4方向荷重になるような…。(と思ったんですが、ペツルのピタゴールの説明書を見たら(リンク)、カラビナでOKみたいですね。)あとダブルフィギュアエイトのバイトが妙に長いのも気になります。

6:40からIDでロワーリングしていますが、これタイミングが早いですよね。6:47の流れを見たらわかるんですが、この時、ビクティムはおそらく枝の上にたって、しかもびびって枝を掴んでいるんですよね。しっかりロープにぶら下がってもらってからロワーリングするのが正解でしょ。とは言え、荷重がかかってないとIDでロワーリングできないでしょうから、これは単なる動画の編集ミスっぽいですけど。

最後、タンカじゃなくて歩かせるんかい(笑)。

【なんだかんだで、動画はやっぱり面白い】
まあ細々と言い出したら他にもありますが、それを差し引いてもほんと面白い動画だなーと思います。もし作業チームが3人以上の場合、こういった考え方もありだと思っています。樹上のレスキュアーの肉体的・精神的な負担が少なくて済むでしょうし、引き上げシステムが簡単に作れるってのも素敵だと思います。要はリギングシステムみたいなもんなので、ツリーワーカーなら感覚的にわかりやすそうですし。
このレスキュー方法を軸にして、いろいろ応用を考えていくのも面白そう。

この方法が本当に安全か、鵜呑みにしていい動画かどうかについては、私は自信がないので何も言わないでおこうと思います。まあなんだかんだ言って「SRTラインにSTOPをかましておく」システムの方が気楽そうなのはナイショです。色々な考え方があるでしょうし、一番自信のあるレスキュー方法が一番正解だと思います。


【余談:スーパー遭難事件
ちょっと話は変わりますが、遭難ってどこでもできます。私はスーパーの魚売り場で危うく遭難しかけたことがあります(笑)。夏キャンプの買出し時なんですが、雨に濡れてからスーパーに入ったんですね。お店に入ったときから冷房がガンガンに効いていて体調がおかしかったんですが、魚売り場近くはそりゃもう寒くて寒くて!

みんながイカを買うかどうかで延々迷っている間に体力をガシガシ削られて、足が震えてくるのがわかりました。もう少し決断が遅かったら自力で店外まで脱出できなかったと思います。いやースーパー怖い。ほんと怖い。

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コメント

いやぁ~面白い記事でした。 いかにもフリップさんらしい視点からの評論、数箇所よく判らない所もありますけれど、こういう話をしてくれる人って貴重だなーと思います。
 ところでダブル・プーリーのところなんですが、スイベル付きのOMNIダブルBlock 1/2” Double Sheave Swivel Pulley、2個買っちゃいますたです。
 これまで使ってた CMI Double Sheave Micro Snatch Pulley でも悪くはないんですが、往復するロープが捩れて結構な抵抗になることがあるんで、どうせ買うならスイベル付きを・・・ と思い切っちゃったんですが・・・ なんせ重いgawk
 まあ、ストロークを稼げるという利点があるんで納得してはいるんですよね。
 んで
 これで5倍力つくってオートブレーキセットして70m/9mmクレモナで腕だけでイッキに登るようにしたらどんなにか楽だんべ なんて考えてたんですけど、ひょっとしてフリップさんも似たような事考えてたんかな smile
 登るまでのステージと、樹冠での作業ステージは分けてしまったほうが合理的なんかなー なんて思うようになっちまいますたけど、色々と手抜きをしたくなってきた歳のせいかもしんないっす。

投稿: 月光仮免 | 2010年12月 6日 (月) 07時04分

こんばんわ~。ここの動画おもしろいですよね。
テクニックより使用機材を前面に出した作りなので
細かい所がツッコミ待ちなのかしら、とか思ったり。

他の動画も面白かったです。
ケイビングレスキューの動画もモニターの前で一人ツッコミいれて
ましたw

投稿: むらっぴ | 2010年12月 6日 (月) 19時08分

>月光仮免さん

ぬわー!オムニブロック持っておられるんですか!あれってめちゃめちゃかっこいいですよね。私も前々から欲しかったんですけど、レスキュージャパンでAZTEKのキットを買ったらどうせ付いてくるしなーって考えた結果、未だ買えずなんです。
往復するロープのねじれってかなり気になりますよね。すんごい同感です。

5倍力で登るのも楽しそうですが、私はいっそのことGRCSで引き上げて欲しいです!色々ヤバそうなので実際にはやりたくないですが(笑)。「何故クライマーだけがしんどい目をして登らないといけないんだ、意地でも地上班に手伝わせてやる」ってノリで、しょうもない事を常日頃考えています。

私も登攀と作業のシステムはもう完全に分けて考えていますねー。ロープガイドを使っているせいかもしれません。あれって地上から設置できないんで、DdRT以外の別手段で登攀する必要があるんですよね。
(ロープガイドのインプレ、お待たせしております(汗)。ああだこうだしているうちに新型ロープガイドが発売しそうな今日この頃ですが、今年中に必ず書きます!)

投稿: フリップ | 2010年12月 6日 (月) 21時12分

>むらっぴさん

こんちはー!
ほんとおっしゃる通りギアを全面に出していますよねー。特にID大好きですよね(笑)。ケイビングレスキューの動画も含めて、動画作成に案外お金かかってそうな雰囲気も堪りません。
こういう「真剣にやっているのにどこか馬鹿っぽい」感じは見習っていかないといけないと思いました。私も有志を募ってこんな動画をいつか撮りたいです。

むらっぴさんのブログ拝見させていただきました!やっぱ北海道はズルいっすよ。関西にも秀岳荘が欲しいです…。ブログの方、リンク貼らせていただいてもいいですか?

投稿: フリップ | 2010年12月 6日 (月) 21時32分

>ブログの方、リンク貼らせていただいてもいいですか?
拙いブログですが、よろしくお願いします^^;
自分の方でもリンク貼らせてくださいませ。

投稿: むらっぴ | 2010年12月 6日 (月) 22時55分

リンクの件、ご快諾いただきありがとうございまっす!
うちの方はリンクでもトラバでも何でもしてやってください。どうぞ宜しくお願いたします!

投稿: フリップ | 2010年12月 6日 (月) 23時20分

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