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2011年5月の3件の記事

2011年5月30日 (月)

ロープの規格その2 NFPA1983 スタティックロープ

前回に引き続きまして、今回はスタティックロープを見ていきます。

【スタティックロープとスタティックなロープ】
まず最初に言っておかなければならない事があります。スタティックロープという言葉には、二種類の意味合いがあります。

①静的(スタティック)なロープの総称。
②NFPA1983認定の救助用スタティックロープの事。

①の場合【スタティックな】という形容詞であり、②の場合【スタティックロープ】という名詞になると。そんな雰囲気を感じてると分かりやすいかもしれません。余計わからなくなるかもしれません(笑)。とりあえずこの違いをしっかりと意識しておいた方がいいと思います。

①の意味でつかわれる場合、前回記事で取り上げたアーボリスト用クライミングロープも「スタティックロープ」の範疇に含まれる訳です。知ってか知らずか、セミスタティックロープとスタティックロープを混同しているお店もあります。私も正直なところ、結構最近まで混同していました(汗)。

①の意味での使用は充分気をつけたほうがいいです。とんでもない誤解を生む元凶になります。これ以上悲劇を繰り返さない為にも!

今回取りあげるのは②の意味合いです。アメリカ系チームレスキューの色合いが非常に濃い、というか直球ド真ん中なロープになります。ここから下の文章は道具好きが読むと面白いかもしれませんが、木登り以外に興味ない人にはあまり関係ない話です。でも、上記のスタティックロープの意味合いの違いは知っておいて損はないと思います。

【CI1801はどんな規格??】
さてスタティックロープ。これは北米レスキュー系の規格なんです。

ロープ製造メーカーや販売メーカーを主体とした米国索具協会Cordage Institute以下:CI)という団体があります。ここはロープに関する様々な規格を策定していまして、そのひとつに「CI 1801」があります。

この「CI 1801Low Stretch and Static Kernmantle Life Safety Rope」はライフセーフティーロープ(人命救助用ロープ)の規格でして、この中でスタティックロープが規定されています。

この辺りの事はCMCのカタログで読む事ができます。CMC日本代理店のファーノジャパンのサイトで日本語訳版をゲットできます。(トップから「NEWS・カタログ」をクリック後、左カラムの「カタログ」をクリック。もしくはHOMEのトピック窓から。2011.01.11がそれです)

詳しくみていきましょう。一番新しい「CI 1801」規格は2007年版なのですが見つかりませんでした。1998年版(CI 1801-98)は見つけたので、こちらを参考にしていきましょう。→http://www.scribd.com/doc/1603186/CI-1801-Standard-Low-Stretch-and-Static-Kernmantle-Life-Safety-Rope

【CI 1801でのロープ区分について】
「CI 1801-98」は人命救助用ロープの基準を策定しています。

まず大事な事を言わなくてはいけません。この規格はカーンマントルロープだけしか認めていません。3ストランドや16ストランドは端っから論外です(ダブルブレイドロープは…一応範疇のようです)。また、リードクライミングで使われるダイナミックロープは明確に否定しています(条文1.1)。

CI 1801-98ではロープを伸び率によって2種類に分類しています。

スタティックロープ…伸び率6%未満(@最小破断強度の10%負荷時) (条文3.7)
ローストレッチロープ…伸び率6%~10%(@最小破断強度の10%負荷時) (条文3.5)

(注:CMCの2011カタログを見るに、スタティックロープの規定は「伸び率1%~6%未満」に変更されたようです。やっぱ98は古いんですね)

これこそがスタティックロープの根拠です。ポイントは「最小破断強度10%を負荷時」の伸び率を基準にしているという点です。前回見たアーボリスト用クライミングロープの伸び率の定義(540ポンド負荷時)とはちょっと違います。

【NFPA1983ではどうだろう】
さて、NFPA(全米防火協会)という団体があります。ここが策定しているNFPA1983という規格があるんですが、皆さんご存じでしょうか。この規格は北米の消防活動において使用する各種器材の仕様を定めています。

NFPA1983には、人命救助用ロープの規格が存在します。簡単にまとめるとこんな感じです(詳しくはこれまたCMCのカタログが参考になります)。あと、NFPA1983もカーンマントルロープ以外は門前払いです。

ライトユース
・最小破断強度は20kN以上
・伸び率は1%~10%(@最小破断強度の10%負荷時)
・直径は9.5mm~12.5mm

ゼネラルユース
・最小破断強度は40kN以上
・伸び率は1%~10%(@最小破断強度の10%負荷時)
・直径は11mm~16mm

伸び率によるロープの分類は「CI 801」に丸投げしています。つまり先ほど見たCI規格による分類をそのまま適応できます。

【結論として】
NFPA1983とCI1801の規格を総合するとこのようになります。

・スタティックロープ…伸び率1%~6%未満(@最小破断強度の10%負荷)
・ローストレッチロープ…伸び率6%~10%(@最小破断強度の10%負荷)

【最後に】
NFPA1983認定のスタティックロープについてまとめます。

北米において人命救助用に使うカーンマントルロープは、「CI 1801」によって規定されており、伸び率によってスタティックロープとローストレッチロープに分類される。

北米で救助用ロープとして使用する場合、NFPA1983に適合している必要がある。NFPA1983は伸び率についてCIの基準を採用している。

巷で市販されているNFPA認定の救助用ロープならば、ローストレッチロープかスタティックロープのどちらかである。

こんな感じですかね。

正確に言うならば、CI基準スタティックロープというべきなんでしょうが、そんな言い方をするより、NFPA認定スタティックロープと言ったほうが間違いなく判りやすいです。別にこれでも間違いではないですしね。どの道、レスキュー用に開発されたロープであるならば、NFPA認定じゃないと発売しても仕方ないんです。私たちユーザーが「NFPAに対応していないけど、CI基準で作られたスタティックロープ」に出くわす事なんて有り得ないと思います。

まーこんな事言いながら、私自身、NFPAってよく知らないんですよね…。チームレスキューも全然詳しくないです。NFPA1893認定ロープとなる為の条件は他にもありますが、そこまで調べる気はおきませんでした(汗)。ファーノジャパンが翻訳してくれているCMCのカタログを読めばだいたいの雰囲気は掴めるかと思いますので、気になる方はそちらを読んでみてはいかがでしょうか。

また、チームレスキューの講師をされておられる「Keep it Simple」さんの記事に、NFPAやスタティックロープ規格についての詳しくわかりやすい解説がありますので、そちらを読んでいただければと思います。

次回は欧州系の規格である「セミスタティックロープ」について!書くと思いますが、他にも色々書きたい事があるんですよね…。うーん困った。

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2011年5月12日 (木)

ロープの規格その1 ANSI Z133 アーボリスト用クライミングロープについて(0512追記あり)

アーボリスト用クライミングロープとスタティックロープ、そしてセミスタティックロープはそれぞれ定義が違います。

と言うと誤解がありそうなので、それぞれのロープと規格を結び付けておきます。
アーボリスト用クライミングロープ……ANSI Z133
スタティックロープ……NFPA1983
セミスタティックロープ……EN1891
ダイナミックロープ……EN892 (←ついで)

こんな感じです。例えばこの記事でいうアーボリスト用クライミングロープってのはANSI Z133によって定義されたロープって事です。

【ANSIを知ろう】
そもそもANSIって何?って感じじゃないですか。それを説明したいと思います。

簡単に言うと、ANSIAmerican National Standards Institute)ってのは日本のJIS規格に相当するもので、工業系の規格を制定しています。ウィキペディアの当該記事でも参考にしてください(http://ja.wikipedia.org/wiki/ANSI)。

ANSIがアーボリカルチャーの規格を制定する事になった経緯については、こちらのページに詳しいです。本当かどうか知りませんが。(http://www.fs.fed.us/treeclimbing/resources/ansi-z133/

【ANSI Z133について】
数あるANSI規格の中で、「ANSI Z133」がアーボリカルチャーの作業や器材全般について定義しています。たぶん世界的に見てもアーボリカルチャーに一番影響力のある規格なのではないでしょうか?(他にも他国ではこんな規格があるよーってご存知の方がいましたら教えてください。是非知りたいっす!)

その内容は結構頻繁に更新されており、例えば「ANSI Z133.1-2006」と書かれた場合、2006年版であるとわかります。(Z133のすぐ後ろにくっついている .1の意味はよくわかりません(泣)マイナーチェンジ用の数値なのか、これを含んだZ133.1ってのが正式なのか…。どなたかご存じないでしょうか。)

規格の内容を考えるのはZ133委員会ですが、ISAの影響が非常に強いと思います。現在、ISAのサイトにて、パブリックコメントを受け付ける為に2011年版の改訂案がダウンロードできます(コメントは既に受付終了)。これを見ると、結構マメな更新がされているんだなーと感動できます。http://www.isa-arbor.com/newsroom/industryNews/index.aspx

【アーボリスト用クライミングロープの定義をみよう】
さてさて、ここからが本題です。ANSI Z133ではアーボリスト用クライミングロープについてどう規格されているのでしょうか。ANSI Z133.1-2006(8.1.8)を訳してみます。

「アーボリスト用クライミングラインは最小直径1/2インチ(12.7mm)の合成繊維ロープを使用する。最低破断強度は新品状態で5400ポンド(24.02kN)が必要。最大伸び率は7%(@540ポンド負荷時)。アーボリスト用クライミングラインは、メーカーによってツリークライミングに適していると認定されたものを使用する事とする。」

こんな感じです。そして例外として「直径11mm以上のロープも使ってもいいかなー。破断強度と伸び率が上記ロープと同等か、それ以上の性能があれば、だけどね。」と続きます。

例外文の英訳がうまくできません(泣)。Z133の原文が読みたい方は……今なら上記の……ごにょごにょ。

【この規格の見どころ】
ポイントは伸び率でしょうか。540ポンド負荷時に7%以内の伸び率。こだわり派の方はこの「540ポンド」っていう点に注目してください。諸元表にこの負荷時のロープ伸び率を書いているメーカーなんてないような気がします。シェリルが独自に測定してカタログに記載しているくらいじゃないでしょうか。

あと、11mmロープは例外的に認められているという点でしょうか。この例外が書かれ始めたのはいつ頃なのか知りませんが、まあ一度原文をお読みください。簡単に許可されている訳じゃないんで。

ロープ構造について何も言及がないっていうのも覚えておくといいかもしれません。天然繊維じゃなくて合成繊維さえ使っていれば、3ストランドでもカーンマントルでも(規格上は)OKという事です。

最大のポイントは「メーカーによってツリークライミング用と認定されたロープを使ってね」という文章でしょうか。それを決めるのがあんたらちゃうんかい!という気持ちと、まだまだ発展途上なんだなあという気持ちと、これくらい緩い方がロープ開発を促しやすいんかなーという気持ちでごっちゃになります。個人的にはこの文章は大好きです。

以前から気になっていたんですが、私は未だに「Z133に適合してるよ!」と高らかに謳ったロープを見た事がありません。メーカーとしては「ツリークライミング用にこのロープ作ってるんだから、そんなの当たり前じゃねーか」って事なんでしょうか。ちなみに、WesSpurではカテゴリー内で「うちで取り扱っているクライミングロープはすべてZ133に適合してるから安心してね!」と記載があったりします。

【果たして木登りにセミスタティックロープを使用していいものか?】
ここで注意したいのは、例えばセミスタティックロープは使用していいのかどうか?という点。もっと具体的にいきましょうか。アルテリアで買えるエーデルリッドのセミスタティックロープを木登りに使用していいのかどうかって事です。

色々な独学派の人に聞いたところ「ツリークライミングを始めた初期はアルテリアで買って使ってたなあ」という声が案外多かったです。「その後ツリークライミング用ロープを買ったらめちゃ使いやすかった!」という声もよく聞きました。

現在でもセミスタティックロープでツリークライミングをしている人は日本のどこかにいるんじゃなかろうか?と考えています。個人的には「まあいいんじゃないの」という考えではありますが、ANSI Z133から見た場合は規格外になるかもしれないって事は知っておいて損はないと思います。

しかし適合しているかどうかを調べるのも一苦労です。伸び率がですね、非常にややこしいんですよ。エーデルリッドのロープはEN規格に対応した製品が多いんですが、EN規格の伸び率とANSI Z33の伸び率は全然違うシロモノなんですね。そもそも測定方法がまるっきり違うんです。そんな訳で、エーデルリッドのセミスタティックロープに540ポンド負荷をかけた場合の伸び率を知る事は相当難しいです。もしかしから最小破断強度の算定方法なども違うかもしれません。

まあ、そのロープはツリークライミング用と謳っているかどうか。その辺は一度確認しておいてもいいかと思います。

でもセミスタティックロープは普通に使いにくいと思いますよ。規格云々ではなく。アーボリスト用クライミングロープの素晴らしさ(柔らかい!スプライスできる!)をぜひ体感してほしいです。

注:そんな人いないと思いますが、ツリークライミング用ラインにダイナミックロープを使っている人なんていないですよね? もし使っているならば即刻止めた方がいいですよ。ダイナミックロープは墜落時に伸びすぎるので、枝や地面に激突する可能性を捨てきれません。そもそもDdRT技術はダイナミックロープを用いる事を想定していないはずです。

(追記0512)更にもう一点。ダイナミックロープは良く伸びる訳ですが、その時ロープ径は細くなります。ゴムを伸ばしたらどんどん細くなるのと全く同じ事です。その為フリクションヒッチの信頼性がなくなります。しかも派手な墜落をすればするほど、ロープ径は細くなる=信頼性は更に低下する。という悪循環です。そんなリスクをしょってまでダイナミックロープでDdRTを行うメリットは皆無です。もう一度言いますが、ツリークライミング用ラインにダイナミックロープを使用するのは危険ですので、即刻止めた方がいいです。(木挽屋さん、御指摘いただきありがとうございます。)

【最後に】
まあこんな規格の話はどうでもいい事なのかもしれません。でもいつの日か「私の使ってるロープはANSI Z133という規格をパスした、ちゃんとしたロープですよー」と理論武装をして説明しないと納得してくれないクライアントに出会うかもしれません。だれかにロープについてきちんと説明する必要がやってくるかもしれません。現場以外のところでですね、こういった規格の話はよく必要になってくる気がします。

今は必要ないと感じたら、この記事は読み飛ばしていただくのも一案です。いつの日か必要になったらまた読み返してみてください。

購入の参考にしたいけどよくわからんなら、アーボリスト系ショップでクライミング用ロープを買えばそこそこ間違っていないと思います。更に乱暴な言い方をすればSamson、Yale cordage、New Ingland Rope、のどれかのツリークライミング用ロープを買っておけばいいかと思います。

既にクライミング用ロープをお持ちの方は一度スペックを確認されると面白いかもしれませんね。果たして自分のロープはZ133に適合しているかどうか。(伸び率はシェリルのカタログで確認される事をおすすめします。)

さー、次回はスタティックロープについて書こうと思います。ややこしいんだ、これがまた……(泣)

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2011年5月10日 (火)

安曇野で知った事

無事にGWも終わりましたねー。ちょっと遊び過ぎたみたいで、おなかの周りに脂肪がつき出している今日この頃です。

さて、前回の記事で書いたとおり、安曇野の国立公園で行われた「JTCC2011」の見学にいってきました。二日目(エアリアル・レスキューとワーククライム)と三日目(マスター)を見てきました。
今回も色々な発見や出会いがあったんですが、うまく文章にできないので箇条書きにしてみたいと思います。

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・joe-yanさんはナイスガイでした。まさか駐車場でお隣になるとは思いませんでした(笑)。無事にお会いできて嬉しかったです。声をお掛けする前にジロジロとピアスを確認してすみませんでした。揚げパン、うまかったですか??

・トラディッショナルシステムの利点を再認識できました。シンプルイズベスト!

・Oさん、カレー旨かったっすか??

・大会にでている方々の装備がピカピカ新品なのは、ギア・インスペクションの為なのね。

・それにしても皆さんスローラインがうまい!刺激になりました。

・燕岳はかっこいい。常念岳もやっぱりかっこいい。中房温泉は午後4時半まで。

・あの辺の温泉はどこも素晴らしく気持ちがいい。ノリワサビうめえ。

・松川村は鈴虫をすごく推している。

TreeHeadsのたけさん、色々なお話ができて楽しかったです。ありがとうございます。非常に刺激を受けました。B級グルメうまかったっすねー。

・Iさん、雨の降る松川村で一緒にキャンプしてくださってありがとうございます!何からなにまでお世話になり、感謝の気持ちでいっぱいです。林間キャンプとブリ縄の相性は抜群でしたねー。

・キャンプ場で少しお話をさせていただいた方曰く、あの辺で一番の温泉は「穂高温泉!」との事でした。美人の湯だそうです。

・ずっと観戦していると首が痛くなるので、イスよりも芝生に寝転がる方がラクである。

・シルキーさんのブースにて、ハヤウチがバージョンアップしているのを確認しました。ブレード部分が簡単に取り外しできるような仕組みになっていました。軽バンに乗せる時、ブレードが邪魔してうまく積み込めなかったので、これは嬉しい改良!

・陸ガメはかっこいい。白蛇もかっこいい。

・あずみの国立公園はめちゃめちゃデカイ。そしてキューブがいっぱいある。

・あれほどアカマツばかり密集した林をみたのは初めてかもしれません。

・帰りにアウトドアショップKさんに立ち寄りました。和風な店構えにびっくり、店内の品ぞろえに更にびっくり! 非常に充実した時間を過ごす事ができました。ありがとうございます!もしこんなお店が関西にあったら…間違いなく毎日のように入り浸っていますね。。(おっ!ってか9日からワーキング館がスタートしてる!!)

・そうそう、この時に聞いたんですが、クーガーがまたリコールだそうですよ。詳しくはアウトドアショップKさんのサイトの「お知らせ」をご覧ください。2007~2008年製のクーガーに、強度試験をパスしていないリングが使用されている可能性があるらしいです。

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……何と言いますか、内輪ノリっぽくなって申し訳ありません。現地に行っていないとさっぱりわからんと思います。他にも色々な方とお会いしたり、観戦中に気付いたTips等もあるんですが、割愛させていただきます。

基本的にこのブログではプライベートな事は書かない方向で来ているんですが、今回はほんと楽しかったんで特別という事でお許しください。次回からは平常更新でいきまっす。

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