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2011年6月の2件の記事

2011年6月29日 (水)

カエル飛ぶ

現在、関西の某所にて広葉樹の危険木処理を延々しています。山間部ではなく、どっちかっていうと都市部です。

で、住宅側にちょっと傾いた直径60cmくらいのクヌギがありまして、チルホールで引っ張って伐倒したんです。無事に伐倒完了して、ホッと一息。よっしゃ、じゃあちょいちょいと玉伐りして集積すっか!とみんなで作業に取り掛かっていたところ…

おっちゃん 「おーい、フリップちゃん!!」
私 「うーい、何すかー」 (イヤマフ外す)

おっちゃん 「カエルじゃーー!!!」(カエルをぶん投げる)
私 「ぬおおおー!」 (耳にあたる)

で、私に向かってぶっとんできたカエルさんがこいつ。木屑をかぶっているのが何だかリアルです。

P1000622_s

おっちゃんに「こいつ、何カエルですかねー」と聞いたら、「うーん、でかいし、モリアオガエルちゃうんか?」との事。

でもモリアオガエルにしては痩せてるしなー、ってかこの付近って生息条件は整ってるっけ? と疑問に思った訳です。ついでにモリアオガエルだと思っておきながらぶん投げるおっちゃん、もうちょっと優しく扱ってあげましょうよ、とも思った訳です。

とりあえずこの場から逃がさないと枝の下敷きになっちゃいますし、とは言え、ぶん投げる訳にもいかないので、手ですくって山に逃がしてあげました。その時撮った写真がこちら。結構かわいい顔してます。

P1000623_s

P1000624_s

【さて、その正体はいかに!】

ネットでちょいちょいと調べた結果、どうやらモリアオガエルではなく、「シュレーゲルアオガエル」という種らしいです。

見極めポイントは目のまぶた。モリアオガエルは赤く、シュレーゲルアオガエルは黄色らしいです。上写真を見ると…見事に黄色です。

いやー勉強になりました。もっと詳しく知りたい方はWikipedia「シュレーゲルアオガエル」をどうぞ。

初め名前を見た時は外来種??と思いましたが、日本固有種らしいです。名前の由来となったシュレーゲルさんって方は、オランダのライデン自然史博物館の館長をされており、シーボルトさんが日本で採集した標本を元に編纂された「日本動物誌」の執筆(脊椎動物担当)に携わったそうです。

(日本動物誌は京大の電子図書館で見る事ができます。リンク

いやあ知らない事ばかりでした。なるほど納得!シュレーゲルアオガエル、もう忘れないと思います。かわいいですしね。

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2011年6月27日 (月)

ロープの規格その3 EN1891 セミスタティックロープ

さてさて、今回はセミスタティックロープについて書いてみようと思います。EN規格のロープになります。

【EN規格の簡単な説明】
EN規格ってのは簡単にいいますと、EU圏内の共通工業規格です。EU各国それぞれが別々に規格を制定していたら、メーカーは非常に大変です。A国の規格に対応させたらB国で対応できない、なんて話がでてきますし、国ごとに規格検査をしなくてはいけません。

メーカーはEN規格に適合している事を「自己宣言」し、その製品にCEマークを掲示します。CEマークのない製品は欧州圏での発売・流通が禁じられてます。私たちが使うような木登り道具はほぼすべてCEマークが必要です。

EN規格は用途に合わせて項目に分かれています。ロープの場合は…

EN1891…セミスタティックロープに関する規格
EN892…ダイナミックロープに関する規格

この二種類がメインです。今回はEN1891に焦点を合わせた記事です。

【セミスタティックロープはEN1891です】
EN1891について非常にわかりやすい資料があります。アルテリアのサイトで、エーデルリッドのカタログをダウンロードしてください。このカタログの最後にEN1891についての詳細が書かれています。(ちなみにEN892についても書かれています。)
アルテリアのカタログダウンロードページはこちらです。

このカタログを読んでもらえれば、特に何も書く事がないんですが(笑)、ちょこちょこっと簡単に説明してみようと思います。

セミスタティックロープには「Type A」と「Type B」の二種類があります。Aの方が高性能になっています。これは製品カタログに「EN1891 type A」というような書き方で明示されている場合もあります。CEマークがついているだけの場合もあります。

注意したいのは伸び率でしょうか。EN1891の場合、「50kg荷重時と150kg荷重時の差」が伸び率になり、その伸び率が5%以下であることが求められます。前回まで見てきたスタティックロープ、アーボリスト用クライミングロープとは測定方法が全然違います。気をつけてください。

他にも色々あります。このカタログには非常に詳細に書かれていますので、是非ご一読ください。他のEN規格についても、このくらい詳細に書かれた日本語の情報があればいいのになー。

【ま・と・め】
という訳で、セミスタティックロープはEN1891に対応した製品という事になります。基本的にロープアクセス作業で使われる事が多いロープです。ケイビングもセミスタテティックロープを使うのかな。

以前も書きましたが、セミスタティックロープをツリークライミングに使用するのは気をつけた方がいいと思います。セミスタティックロープは堅いので、ノットが作りにくいですし、クライミングヒッチをしっかり効かせるのが難しいと思います。

セミスタティックロープとクライミングヒッチの相性は疑問が残ります。スプリットテイルシステムでも不安ですが、レク団体で採用されているようなトラディッショナル・クライミングシステムでの使用は、更にやばい気がします。

アルテリアのワーク部門でエーデルリッドのセミスタティックロープが販売しているんで、ついつい買っちゃいそうになりますが、木登りするならやっぱアーボリスト向けのロープを買うべきですよ。それぞれの作業体系に合わせてロープは進化している訳ですしねー。

まあややこしい事を抜きにして、アーボリスト用クライミングロープの方が使い心地いいんですよね。(木登りするならね)


【余談 「間借り」問題】
ここでちょっとセミスタティックロープの基礎知識でも語ってみようと思います。

まずロープ構造はカーンマントル構造です。外皮と内芯に分かれています。そして狭義のカーンマントルロープでして、内芯が強度の大半を受け持ちます(たしか70%くらいだったでしょうか)。外皮の役割は内芯の保護カバーです。なので、汚れ等にそれなり強いです。

先ほども言いましたが、EN1891はセミスタティックロープ用の規格です。しかしながら、アーボリスト用クライミングロープにもEN1891に適合した製品は存在します。例えば…Yale「Blaze」は EN1891-typeB に適合しています。(タイプAじゃないのは、外皮ずれ率のせいじゃないかなーと勝手に推測しています。) これは一体どういう事なのでしょうか。

何が問題って、セミスタティックロープとBlazeではそもそもロープ構成が違いすぎます。共通点はどちらもカーンマントル構造(二重構造)ってだけでして、完全に別種のロープです。
このふたつが何故EN1891ひとつで括られているのか。

要はこれ、BlazeがEN1891規格を間借りしているだけなんです(汗)。Blazeだけじゃありませんよ。アーボリスト用クライミングロープで言うと、セミスタティックロープと同構造を持つのはニューイングランド「FLY」シリーズくらいですからね。それ以外のロープでCEマークのついているものは、Blazeと同じくEN1891規格を間借りしているんです。

・EN1891規格はセミスタティックロープの品質を保証する為に制定された規格である。
・アーボリスト用クラミングロープの品質を保証するEN規格はまだ存在しない。
・仕方ないからEN1891を流用している。

という訳です。なので、BlazeはEN1891に適合していますが、セミスタティックロープとして使用していい訳ではありません。更にEN1891はセミスタティックロープの品質保証を目的として制定された規格ですから、アーボリスト用クライミングロープであるBlazeの品質を正確に保障できていない可能性もあるんです。

しかしながら、EU諸国でローストレッチロープとして流通させようとすると、EN1891に適合しないといけないのも事実です。(つまり、EN1891規格は、セミスタティックロープの規格というより、欧州向けローストレッチロープ全般の規格と言う事もできます。) 

さっきからBlazeを例示してあーだこうだと申していますが、別にこのロープが不安だと言いたいんじゃないんです(私はBlazeが大好きですし、普通に信頼しています)。ただ単に「こういう問題があるよー」と知ってほしかった訳であります。例え間借りであっても、EN規格通ってる方が安心できますしね。 

この「間借り」問題はイギリスのPaolo Bavarescoさんが書いた論文「Ropes and Friction Hitches」にちょっくら書かれています。この論文は確か8年くらい前に書かれたものなので、現在の状況はもうちょっと違うかもしれません。でもアーボリスト用クライミングロープ向けのEN規格が制定されたという話も聞きませんので、たぶん問題の本質は変わっていないと思います。何か新情報をお持ちの人がいれば、是非教えてください!

つーかですね。NFPA規格だけしか通していないレスキュー製品は欧州でどういう扱いになるんでしょか?? うーん、わからない。

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