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2011年8月 9日 (火)

「そのロープ、強度はどれくらいあるの??」

例えばですね、ここに破断強度23kNのアーボリスト用クライミングロープがあったとします。そして、誰かがこう聞いてきます。

「そのロープ、強度はどれくらいあるの??」

この質問された人は結構多いんじゃないでしょうか。私は今まで10回くらいは聞かれていると思います。

さてさて、ここで二つの選択肢があるとしましょう。

1.「23kNまで耐えられますよー」
2.「23kNで破断しますよー」

どうでしょう。このふたつの答え方の微妙な違いを感じていただけるでしょうか。[破断強度]を字面通りに捉えた場合、どちらでも同じ事になりそうですが、相手に与える印象は結構異なってきます。

私は2番の言い方をします。1番の言い方ですと、「23kNまで荷重かけても大丈夫」っぽい印象を与えてしまうからです。

(「そんなことよりニュートンって単位で伝えてもわかってもらえねーよ」という意見が聞こえてきそうですが、それはもうおっしゃる通り!私も今まで一度もわかってもらえた事ありません。はっはっはっ。トン単位に換算してやっとわかってもらえますね。)

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この感覚は人に聞かれた時だけの話ではありません。例えば引張強度27kNのカラビナがあったとしますね。これを「27kNまで使っても大丈夫!」と捉えるか、「27kNでぶっ壊れちゃう!」と捉えるか。

みなさんはどちらの感覚でいますか?

そして、ここにWLL(Working load limit)の概念を導入するべきです。使用荷重ってやつですね。人間がぶらさがるなら、安全率は10。先ほど例にだしたカラビナだったら、WLL2.7kNになります。使用荷重270kgとほとんど同義です。

つまり、破断荷重27kNのカラビナを持っているならば、「このカラビナに負荷していい静的荷重は270kgくらいなんだなー」と思っておいた方がいいです。

もっと言いますと、動的荷重の問題ですとか、CTFの概念ですとか、新品と使用済み品の違いですとか、ロープならノット強度ですとか、色々な事を考えつつ使う事になります。

(まあネットショップなどでカラビナを見る時は、WLLくらいまで考えておけば充分のような気もしますけども。)

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(余談)

何故いきなりこんな話をしたかといいますと、新聞のとある記事にて「最大6トンまで耐えられるロープ」って記載があったからです。このロープってのは船舶用の1/2インチロープのことを指していました。だから1/2インチのリギングロープ程度の強度のはずです。で、無茶な書き方するなーと思いまして。

私も山のおっちゃん達にダイニーマスリングを見せて「これ23kNまで耐えられるんすよー」なんて意味のない自慢をして遊んだりしていますけども、施主さんなど外部の人間相手にそんな言い方しませんぜ。

更に余談。日本で製造されている器材の強度表示って「使用荷重」の場合が非常に多いです。それに対して、海外の器材は「破断強度」の場合が多いんですね。使用荷重には安全率というマージンがとってあります。使用荷重と同じ感覚で破断強度を見ていたら、いつか痛い目にあいまっせー。

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