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2011年9月17日 (土)

Singing Tree"Rope Wrench"は難しい…

今回はSinging Tree”Rope Wrench”について書いてみようかと思います。実物はこんな感じです。

P1010333_s_3

ペン先で指しているナットが可動します。これでフリクションの調節ができるようになっています。そしてその右には”NOT FOR PRIMARY LIFE SUPPORT”の文字が。ロープレンチを使うなら、この文章の言いたい事がわかってないとヤバいと思います。

[スペック]
Singing Treeの公式サイトが見つかりません。なのでSherrillとWesSpurから情報を集めました。

・対応ロープ径 10mm~14mm
・素材 ステンレス・スティール
・重さ 215g
・長さ 133mm
・幅  35mm
・厚み 35mm
・価格 約125~130ドル(執筆現在)
(シェリルの説明には”アーボリストグレードの11~13mmロープを使用する事”と記載があります)

[システム例]
私が試しに組んでみたシステムです。

P1010304_s_3

正直、このセッティングは駄目でした。この写真を鵜呑みにせず、あくまで参考程度に留めてください。

とりあえず、私感としてはグリズリースプライスのコードとの相性が良くない気がします。グリズリーは柔らかすぎるんですよね。(そもそもヒッチクライマーとグリズリーの相性はあまり良くない。) V.t.との相性もイマイチ良くないような気もしました。でもこれは上記の通りグリズリースプライスだからなのかもしれません。

ロープレンチの先から青いコードがでてますよね。これがロープレンチのキモです。建前としては”強度は別にいらない”んですが、充分な強度をもつコード(例えばウルトラテックとかオーシャン・ベクトラン)を使う方が良いように感じました。特にシステム調整に成功するまでは。

コードにくっついている銀色の物体は今年発売されたDMMの新型シンブルリンクです。詳しい説明はまた後ほど。

[特徴]
ロープレンチ、これは何をするものなのか。要は”SRTでもクライミングヒッチを使いたい!”という要望に応えるものです。同じ系譜に「F8リボルバーシステム(動画)」なんてものもあります(お勧めはしません)。

SRTでそのままクライミングヒッチを使用すると、ヒッチに全体重がかかるので、堅く締まりすぎて動かなくなります。ロープレンチを使用すると青コードに体重を分散できるので、クライミングヒッチがうまく効くようになります。

また、ロープレンチを使うと登攀・下降のシステムチェンジをする必要がありません。そういった意味では、ヨーヨーシステム使用者はロープレンチを候補にする価値はあるかも。(上写真のように)ロープレンチが下を向いていれば下降モードです。これを上に向けるとロープレンチのフリクションがフリーになり、登攀モードになります。

ちなみにこの器具はロープ末端から差しこまないとセットできません。かなり面倒です。

(そもそもSRTでクライミングヒッチを使う利点はなにか。これを言いだすと長い文章になるのでやめておきます。この利点がピンとこない方はあえてこの道具を使う必要はないでしょう。)

(登攀時は青コードにつけたシンブルとハンドアッセンダ―を連結しています。アッセンダ―をあげたら自動的にロープレンチもフリーになる…という手はずなんですが、うまくいっていません。システムが上下に広がり過ぎて、私の腕の長さだとアッセンダ―の距離が稼げません。良い方法を思案中です。)

[調整の難しさ]
ほんと調整に苦労しています。青コードの最適な長さが未だにわかりません。

登攀から下降にチェンジしたときに、ヒッチの効きが遅れると、ロープレンチと青コードでぶらさがる状況が起こり得ます。非常に危険でして、しかも現在これが頻発しています。なので、ヒッチとヒッチ用コードの選択をしっかり吟味する必要があります。

そしてシステムが上下方向に幅広くなる傾向があります。小柄な人間には扱いこなせないのか?

[こんな人におススメ!]
いやー現状では全然お勧めできないです。扱いこなせるようになったら考えは変わるんでしょうけど。調整云々を抜きにしても非常に人を選ぶ道具だと感じています。これはSRT用の道具です。SRTシステムの特徴をしっかり理解している必要があります。

「何故この道具には"Not for Primary Life Support"と書いてあるのか」「ではプライマリーで働くのは何か」……この辺の意味がわからないレベルでしたら買うのは止めたほうがいいでしょう。

あと、登攀時はハンドアッセンダ―とフットアッセンダーが事実上必須だと思われます。なのでハンドアッセンダ―とハーネスをつなぐセーフティコードの重要性、またフットアッセンダーはPPEじゃないって事を確実に理解しておく必要があるでしょう。

[最後に]
正直なところ…全然使いこなせないからめっちゃ悔しいんです!ちくしょー!そんな恨み嫉みがいっぱいつまった記事になってしまいました。いつの日か「ロープレンチ便利じゃん!]って記事が書けるよう、色々試していこうと思います。でもこの道具が人を選ぶのは事実でしょうし、安易に手を出さないほうがいいかと思います。

それを乗り越えて、私と一緒にロープレンチを極めたい方!何か気になる点がある方はコメントよろしくです!

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道具あれこれ」カテゴリの記事

コメント

えーと、ちょっといい加減な記憶なんですが、これを作り出した人、木型で試作繰り返してましたね。

 実は私も色々と木工でクライミング関連の冶具の試作をやってたりします。
 一番最初のはスローラインとクライミングロープをつなぐ紡錘形の滑り冶具。 狭い木の股を通すときに有効かなと思ったんですが、それほど高く評価してはもらえませんでした。

 このレンチも同じかな。

 私も入手はしてみたんですが、実用を考えると、余りにも商品として未完成すぎると思いましたです。

 SRTではやはりYOYOが色々な意味で有効かと思いますけれど、リムウオークも自在に と考えると、行動パターンを木の中で2階建て3階建てに設計してリダイレクトってことに落ち着くような気がします。
 ま、所詮は各人の体力と好みってことかもしれませんが。

投稿: 木挽屋次郎 | 2011年9月18日 (日) 20時15分

私も木製の試作品で登っている動画をYouTubeで見た記憶があります。えーとこれです。
http://www.youtube.com/watch?v=YYTTJX_rmMg&feature=related

>私も入手はしてみたんですが、実用を考えると、余りにも商品として未完成すぎると思いましたです。

良かったー、木挽屋さんもそう感じられましたか。アイデア自体は好きなんで、メーカーの今後の動きにも期待したいところです。

>SRTではやはりYOYOが色々な意味で有効かと思いますけれど、リムウオークも自在に と考えると、行動パターンを木の中で2階建て3階建てに設計してリダイレクトってことに落ち着くような気がします。

YoYoいいですよねー。私はSRTを登攀と樹幹作業だけに限定しちゃう考え方をしています。枝の多い木ならトップ付近からリダイレクトを何段もとって下枝の枝先に行くのも楽しいですし。

同じ木を登るにしても、人それぞれのスタイルによってやり方は様々なんでしょうね。色々な方の考え方をお聞きするのが、最近楽しくて楽しくてsun

投稿: フリップ | 2011年9月19日 (月) 01時01分

http://www.youtube.com/watch?v=YYTTJX_rmMg&feature=related
動画見て買おうかどうか迷ってたとこです。上下がスムーズでギアの付け替え無しにできるのはスゲーなと思ってたんですが。。。
安易に考えてました!
(;´д`)トホホ…

投稿: bota | 2011年9月19日 (月) 01時13分

何と言いますか、”遊びがい”のあるおもちゃであるとは思うんです。おもちゃで遊んでて墜落するのもイヤですけど(汗)。
ユニセンダーの方がストレスなく使えるかもしれないっすね。ただこれはこれで個人的に疑問や不安が色々とあるので、実際に試してみないといまいち何ともわからないんですよねー。

投稿: フリップ | 2011年9月19日 (月) 01時40分

動画を見る限りはロープレンチとカラビナをむすぶコードは長めにとってありますよね。で、ロープレンチが実質機能しているのは下降時のみぽいです。
SRTでヒッチだけに頼って登るのは怖いです。でもハンドアッセンダー使うならクロールの方が相性よさような気もします。て、ヒッチクライマー使っている場合は無理か。
Σ( ̄ロ ̄lll)

たしかに遊びがいはありそうですね~。

投稿: bota | 2011年9月19日 (月) 07時49分

この動画、私としてはロープレンチを使っていて一番鬱陶しい部分をうまく編集で消してやがるな!って印象です。あと音楽がアタマから離れなくなりますよね。

botaさんも言及しておられる通り、ロープレンチが機能するのは下降時だけで、登攀時はフリーになっています。という事は登攀時に荷重をかけたらヒッチが堅締まりしちゃうんですよね。
動画ではおそらくヒッチに全荷重をかけないようにロープを握るなりしてやっているんだと思います。でも…私はそんなしんどい事したくない(泣)。
この道具はクライマーのスタイルを選ぶんだと思います。そういう意味で汎用性は高くないと言えましょう。登攀中にヒッチに頼らないなら気に入るかも。

botaさんもこのおもちゃを購入して一緒に研究しません?


投稿: フリップ | 2011年9月19日 (月) 21時26分

あ、botaさんが買うなら私の安く譲りますYO smile

投稿: 木挽屋次郎 | 2011年9月20日 (火) 18時38分

なんですとΣ( ̄ロ ̄lll)
う、欲しいかも。。。
ちょっと考えさせてください。

音楽が頭から離れない、といえばこれもですね。
http://www.youtube.com/watch?v=GB0KZKADMTY

頭から離れなくて気がついたら注文までしてたという~。
でもやっぱりあんなにスムーズに下降できないんですよね。怖くてできないのもありますけど。

でもロープのランニングエンドからセットアップしなければならないのはこのスパイダージャックで慣れました。

あとは登るときは一気に登れ、てとこですか~。

投稿: bota | 2011年9月20日 (火) 20時37分

木挽屋さん>
す、すみません。私は"PPEギアの売買は基本的にNG”という考え方を推していますので、そういった事は表立って書かないでいただきたく思います(汗)

botaさん>
もう見なくてもどの動画かわかっちゃいます(笑)。「すげー動き!…でもなぜ和太鼓??」って感じですよね。この人Vtioの主催者みたいですね。私はFrictionHichery1を見て10mmフリクションコードが欲しくなりました。
スパイダージャック、私も一時期めちゃ欲しかったんですが、ART製品特有の完全フリーになる感じがどうしても苦手で諦めました…でもこの動画、SJの売り上げにめっちゃ貢献してるでしょうねー

投稿: フリップ | 2011年9月21日 (水) 16時12分

あ~フリップさん、わるかったsad
 一応ジョークの積もりのニコマークをつけといたんですが、これは失敗でしたね~ しゅまんこってすsweat01
 確かにPPEの個人間売買というのは私も基本的にやらないんですよね。 
 買ってみたものの あまり使いたくない用具ってほかにもいろいろありますよcatface
 SJも嫌気がさしてたんですが、ランヤード用に利用できるんで捨ててないだけ っ手存在になってまふ gawk

投稿: 木挽屋次郎 | 2011年9月24日 (土) 05時49分

私も倉庫の肥やしになっているギアがめっちゃあります(泣)。例えば、ロープガイドも最近全然使ってないですしねー。なんだかんだで、シンプルなDdRTシステムが汎用性があって一番便利な気がしています。
ってかビックリしたんですが、スパイダージャックも持っておられたんですねー。ARTのロープグラブ系製品ってかなり癖が強いっすよね。人によってハマるかハマらないかの差が激しい気がします。

投稿: フリップ | 2011年9月26日 (月) 17時53分

木挽きやさん、フリップさん、botaさん、..御苦労様です。動画で拝見しました...(スパイダ-ジャック、ロ-プレンチ)の動画を繰り返し、私なりに?拝見してみました...。現実的な作業を考えた場合...疑問?が多数...。と感じました。(動画を見る限りですが、スパイダ-ジャックは動画の撮影が上手です。「欲しくなる一品!。」という印象を与えます。)(ロ-プレンチ...これは...フリップさんのご意見そのものです。)私が、疑問?に感じる所は..どちらも、(クライミングを前提)としている所です。どちらも、クライミングに対しての安全性は互角?とも感じます。枝等を切断(切り落とし)という作業の場合は?この装備?以上の道具(ギア?)を多数使用していると考えられます。......あくまで.....クライミングを安全に、無駄のないようにした場合の?道具?)と感じました。私の感想ですみません..。

投稿: 木登り君 | 2011年9月26日 (月) 19時49分

木挽きやさん、フリップさん、botaさん、..御苦労様です。動画で拝見しました...(スパイダ-ジャック、ロ-プレンチ)の動画を繰り返し、私なりに?拝見してみました...。現実的な作業を考えた場合...疑問?が多数...。と感じました。(動画を見る限りですが、スパイダ-ジャックは動画の撮影が上手です。「欲しくなる一品!。」という印象を与えます。)(ロ-プレンチ...これは...フリップさんのご意見そのものです。)私が、疑問?に感じる所は..どちらも、(クライミングを前提)としている所です。どちらも、クライミングに対しての安全性は互角?とも感じます。枝等を切断(切り落とし)という作業の場合は?この装備?以上の道具(ギア?)を多数使用していると考えられます。......あくまで.....クライミングを安全に、無駄のないようにした場合の?道具?)と感じました。私の感想ですみません..。

投稿: 木登り君 | 2011年9月26日 (月) 19時50分

木登り君さん、どもっす!

たぶんですけど、この動画の人たちはあくまでこういうスポーツとして遊んでるだけだと思うんですね。オーストラリアやニュージーランドではスポーツとしてのクライミングという文化がかなり発達しているように感じていまして。(両国が今年のITCCで上位独占したのも、この文化の成果じゃないかと踏んでいます。)

彼らも仕事の時はあんなトリッキーな動きを絶対していないと予想しています。

SJの動画を仕事目線で見た場合、私は”アホじゃなかろうか”と思うんですが、エクストリームスポーツとして見たらこのワクワク感は堪らない!本気でかっこいい! 仕事とスポーツ、この視点の落差はかなり激しいと思います。

この差を考えずに、動画のスポーツ感を仕事でも導入しようとする人が出てきそうで怖いんですよね。仕事時はスタティック(静的)な動きこそが肝要だと信じています。

投稿: フリップ | 2011年9月26日 (月) 20時47分

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