« シリウスループは駄目なのか…?? | トップページ | おしらせ0511 »

2012年4月28日 (土)

何を選ぶかよりも、選んだ理由が重要だと思う (トラッドシステム問題を例にして考える)

「様々な選択肢の中から最善のものをチョイスできる、それこそがプロなんだよね」

先日、大師匠から聞いた一言です。この言葉通りではなかったかもしれませんが、まあそういう意味のことをおっしゃった訳ですよ。これに私は大いに賛同したい!

まあプロかアマかといった問題でなくても、木登りという行為は大前提として自己責任でやるものですし、クライマーひとりひとりが自分自身の木登りシステムをきちんと理解しておく必要があると思うのです。

そして、どんな状況でもこれが一番便利!って言えるような万能なシステムは間違いなく存在しないっすね。どれにも何かしらの利点があり、同時に何かしらの欠点があります。選択肢ひとつひとつの特徴を踏まえて、その時の状況に合致するものを柔軟にチョイスするる。これが一番ベストでしょう。

何をチョイスするかということはリスク管理と直結しています。どの危険性を排除するか、または危険性を踏まえた上でどんな安全策を講じるのか、こういったことを積み重ねが自分なりのスタイルになっていくのではないでしょうか。

まあこんな概念論だとピンとこないですよね。書いている私だって訳がわかりませんもん。具体的にやってみましょう。

【トラッドシステム問題】
今回はトラディッショナル・クライミングシステムを例にして考えてみます。DdRTシステムの中で一番シンプルで美しいですから。下のイラストをご覧ください。これがトラディッショナルクライミングシステムの本質です。これにフリクションセーバーをかませばもう完璧っしょ。

Photo

5問ありますが、とりあえず第1問を考えてみましょうか。(ちなみに問題の選択肢に特に深い理由はありません。)

Q.1 アタッチメントノット どのノットを選ぶか。その理由を述べよ。

  •  1.フィギュアエイト・オン・ア・バイト
  •  2.バントラインヒッチ

  •  3.アンカーヒッチ
  •  4.ボウライン with ヨセミテタイオフ
  •  5.その他 
  • うーん…難しいですね。私なら、ここに出ていないダブルフィッシャーマンズループですけど、あれはカラビナを締め付けすぎる時があるからなあ。アンカーヒッチとバントラインも好きですけどね。

    簡単に私の判断基準を述べますと…

    ・個人的にテイルが上方向に出る方が好き。
    これはもう完全に私の趣味です。これに当てはまるのは、上記で言うとダブルフィッシャーマンズループとフィギュアエイト・オン・ア・バイトとボウラインwithヨセミテタイオフの3種類。アンカーヒッチとバントラインは横向きに出ます。縦向きと横向き、どっちのほうが便利なんでしょね?

    ・ヒッチ系が好き
    ヒッチ系はカラビナを締め付ける特性があるので、クロス・ローディング(マイナーアクシスへの荷重)の危険性を減らせる。それにカラビナから外すと結構簡単にほどくことができる(これは逆に危険でもある)。

    ・ノット系はやだ
    ノット系はどれだけアイを小さく作っても、カラビナが空転してしまう可能性がヒッチより高いと考えています。常時カラビナに荷重がかかっているならノットでもいいんでしょうが、枝に乗ったりする機会があるとカラビナへの荷重は減ります。枝に乗って遊んでいる間にうっかりカラビナが空転して、次に荷重した時にはクロスローディングっちゃう…というドラマが目に浮かんでしょうがない。だからあまり好きになれません。

    …とまあ、こんな事やそれ以外の事も加味して考えています。

    別にどのノットを選んでもいいと思うんです。フィギュアエイト・オン・ア・バイトだってカラビナが空転するリスクをうまく制御できるなら充分使えますし。

    何を選ぶかってより、その選んだ理由とリスク管理が大事なんだと考えています。そしてそれを支える知識が重要。それらが揃って初めて柔軟な選択ができるようになるんだと結構真剣に思いますね。少なくとも、自分が常用しているノットについて「何故それを選んでいるのか」を説明できるようにしておいたほうがいいんじゃないでしょうか。

    (その他の問いについて私の個人的な解答は差し控えます。書き出したらきりがないので。気になる方はメールください。)

    【余談】
    だから、もし誰かに教えてもらう時があるとして、「トラッドシステムのアタッチメントノットには何がいいかな?」っていうような質問に対して、「これ!何も考えずにこれでいけ!」みたいに理由なく答えるような講師には充分気をつけてください。その人は残念ながら何にもわかっていない可能性があるので、言うことを鵜呑みにしないでください。もしくは単に面倒くさがっているだけの可能性もあるので、その理由を聞き出すべく、必死に食い下がるべきだと思います。

    事故って死ぬのは自分ですからねー。自分で自分の作業システムに責任を持てるくらい、勉強していきましょう!いや、私はしていきます!

    |

    « シリウスループは駄目なのか…?? | トップページ | おしらせ0511 »

    基礎きそ」カテゴリの記事

    コメント

    いいですね〜こういうネタ。
    何かウズウズして僭越ながら私の超個人的趣味を言わせてもらうと、
    ターミネーションをノットにする場合はバントラインヒッチが好きですね。
    スタンディング側のロープの荷重ベクトルがカラビナのスパインと一直線になることと、ロープの締め付けのウィークポイントが重なりにくい、そしてノットに使うロープの長さが一番短いというのが理由です。(同時にリスクでもありますが)
    あと、トラディショナルクライミングシステムなら、
    フリップさんと逆の理由でテイルが横に延びるのが好きです。(図とはちょっと違いカラビナのスパイン側からテイルが延びる方が好き)
    便利というわけではありませんが、横に延びる方が登るときにフリクションヒッチの荷重が抜けやすい気がします。

    ダブルフィッシャーマンズループは、体重のせいかキツくて外しにくいし、
    フィギュアエイトオンアバイトはもう素晴らしいノットで、いろいろ平均点以上ですが、フリップさんの理由プラス、目の前がゴツくなるのがイヤです。

    でもターミネーションはこれ!って決めてるわけではなく、ふっと気がつくとその場に合わせて自然に違うノットを幾つか使っていますね。間違ってるだけか?

    投稿: satoc | 2012年5月 9日 (水) 12時16分

    サイコーのコメントありがとうございます!こうやって趣味を語り合えるのは、ほんとにもう、嬉しすぎてわくわくしますし、すごく勉強になります。

    >スタンディング側のロープの荷重ベクトルがカラビナのスパインと一直線になること

    おおーなるほど!そういう利点は考えていなかったです!この利点を得られるのは、(本文中で挙げたノットで言うと)バントラインとダブルフィッシャーマンズループの2種類ですかね。
    ただ、スタンディング側って言い方は誤解を生みませんか?DdRTのスタンディングパートは”ワーキングエンドからフリクションヒッチの効いている部分まで”を指すと私は考えていまして、今回はワーキングエンド側のことだなと勝手に脳内変換しているのですが。

    しかしながら、こうしてご意見を聞くと、バントラインの良さってすごいですねえ。テイルの横出しに関しても、私が食わず嫌いをしているだけのような気もしてきたので、今度試してみようと思います。

    フィギュアエイトオンアバイトは私も思い入れのある大好きなノットです。でもツリークライミング用ロープの柔らかさと相性が悪い気がしているんですよね。締まりすぎて解きにくい。セミスタティックロープくらいロープが堅いほうが、このノットの良さを最大限に発揮できるような印象を持っています。

    投稿: フリップ | 2012年5月10日 (木) 21時10分

    コメントを書く



    (ウェブ上には掲載しません)




    トラックバック

    この記事のトラックバックURL:
    http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1257204/44756745

    この記事へのトラックバック一覧です: 何を選ぶかよりも、選んだ理由が重要だと思う (トラッドシステム問題を例にして考える):

    « シリウスループは駄目なのか…?? | トップページ | おしらせ0511 »