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2012年11月13日 (火)

KASKのレアモデルを発見! と ヘルメット選びのうんちく

現在、私はKASKのスーパープラズマTCというヘルメットを愛用しています(既に廃版)。KASKのヘルメットって私が買った頃は珍しかったんですが、今となってはベストセラーになっちゃいまして、猫も杓子もってくらいよく見かけますよね(←何を偉そうに)。まあバイザーとイヤマフをセットするなら、PETZL、KASK、KONG、だいたいこの三択ですしね。あ、ファナーのPROTOSインテグラルももうすぐ登場か。

で、そろそろメットを買い替えたいなあと考えて、色々と物色していると珍妙なヘルメットを見つけました。

それがこれだ!必見だぜ!→ http://www.doctorpoint.it/prodotto.aspx?IDprod=8435&idcat=258

一見するとスーパープラズマのHi-vizモデルにも思えるんですが、よく見ると通常のカスクより上部の通気口が小さいんですよね。

実はこれ、どうやらイタリア赤十字モデルらしいです。ヘルメットの規格EN14052に適合しています。この規格はワーク用ヘルメット規格EN397の上位規格にあたるものでして、更に厳しい検査が課されています。詳しくはこちらのリンク先を参照してください。

まあそんな訳でスーパープラズマというより、プラズマワークHi-viz SSES の親戚になるんでしょう。頭のアジャスターもプラズマワーク系のそれですしね(アップンダウンテクノロジーじゃない)。

さあどうするか。これを被ってたら間違いなく目立てる、カブキモノになれる(←道具フェチ的に超重要)。でもなあ、EN14052ってのがなあ…。という悩みがあります。それはどういう悩みなのか。以下にご説明いたします。

【ヘルメット選びに重要なのはサイドインパクトとあご紐だ!】
欧州規格のヘルメットを買うなら、3つの規格から選ぶことになります。登山系の(EN12492)、ワーク系の(EN397)、ワーク系上位規格の(EN14052)。これらの違いはなんやかんやあるんですが、個人的には「サイドインパクト試験の有無」と「あご紐の強度」、これらの違いがツリーワークでは重要じゃないかと思っています。

ワーク系ってのは工場とかそういう場所で使うのがメイン用途だと考えておけばわかりやすいかと思います。ツリーワークだってワークじゃん!とか言わないでね、ツリーワークは高所作業=どっちかっていうと登山系なんですわ。

登山系っていうのも何とも言えないところで、ツリーワーカーとしては高所作業用、レスキュー用って捉えたほうがわかりやすいと思います。(EN12492)は登山用品の規格を策定してるUIAAのヘルメット規格を踏襲しているので、その影響でマウンテニアリング用って名称になってるって考えるのもまあありかと。

・サイドインパクト試験
横荷重に対する強度試験のことです。ヘルメットに対して横方向から錘をヒットさせます。登山系とワーク系上位規格は必須で課せられていますが、ワーク系(EN397)は必須でなくオプション扱いになっています。それぞれにおいて試験方法も違うかったと思います。

樹上で使うヘルメットはサイドインパクト性能こそが重要だと思うんですよ。例えばスイングして樹幹に激突した場合、横からの衝撃がメインになってくると思うわけです。なもんで、私としてはこれの試験をしていないヘルメットを使う気になれません。

・あご紐(チンストラップ)の強度
EN397のあご紐はbreak-away性能が求められます(破断強度15daN~25daN)。ある程度の荷重がかかるとあご紐が壊れてほしいという発想です。例えば工場で働いているときに鋼材がヘルメットが引っかかって外れず、あご紐で首をギロチンされないようにするためです。

EN14052もEN397と同じくbreak-away性能が求められます。

登山系ヘルメット規格のEN12492はあご紐が壊れてほしくないようにできています(破断強度50daN以上)。墜落の衝撃を受けてもヘルメットがとれないようにです。

これらの評価を私はまだ迷っています。個人的にはEN12492がベストだと思いますが、あご紐が壊れてほしい状況もまま想像できる。もしEN12492が何の疑いもなくベストと言い切れるなら、日本製のヘルメット全般もNGって言えるんですけどねえ(日本の産業規格ではあご紐の存在は必須だけど強度は全く無視)。

ひとつ傍証を言います。ペツルのバーテックスベストってありますよね。通気口がなくて、溶解金属の飛沫保護や絶縁性試験をパスしてるやつ。あれはEN397を猛烈に意識して作られているんですが、EN397を完全にパスしていないんです。あご紐がBreak-awayじゃないから!しかもEN12492も完全にパスしていないんです。私の記憶が確かなら…通気口がないから!
何故こんな中途半端なもんを発売しているのか。私が思うに、「EN397的な作業をする、高所作業者に使ってほしい」からではないかと。そのためにあご紐が壊れない強度になっとるのではないかと思います。つまり…。

あともうひとつ。イギリスの労働保険局であるHSEが発行しているツリーワーク用の資料には「EN12492の使用を強く推奨する」とあります。(こちらの資料の15番を見てくださいね。注pdf)。ただまあこの資料は結構古いもの(2008年には存在していた)なので、現在どうなのかは調べていません。

【まとめ】
サイドインパクト試験あり…EN12492、EN14052
オプション試験…EN397

あご紐が壊れてほしい(破断強度15daN~25daN)…EN397、EN14052
あご紐が壊れてほしくない(破断強度50daN以上)…EN12492

(登山用…EN12492、ワーク用…EN397、ワーク用上位規格…EN14052)

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そんな訳でEN397のヘルメットを私はツリーワークで使いません。そしてKASKのワークシリーズが果たしてサイドインパクト試験をオプションで受けているかについて、今まで情報をみたことがありません。

あご紐に関してはまだ何とも。でもEN12492がいいと個人的には考えます。

まあそんな感じです。どの規格でいくか、色々な考え方があると思います。なんでもいいや、じゃなくて、自信を持ってこれを選んでいる!と言うための助けになれば幸いっす。

めんどくさけりゃ、アルテリアが卸している「バーテックスベスト」か「アルベオベスト」を購入されることをおすすめします(2012年11月現在)。(アルテリアが卸したものっていうのがポイントですぜ。)

そしておっちゃんは「赤十字のヘルメットってなんか縁起が悪そう」という友人ハリー君の鋭い意見により、KASKのスーパープラズマPLを買うことに決めたぜ!というかもう届いているんだぜ!PLさいこーや!これまたいつか記事にしまーす。

【余談】
ついでに日本製のヘルメットについて。試験内容を以前に調べたことがあるんですが、忘れました(笑)。サイドインパクト試験あったかなー?まあ、あご紐の強度はEN12492ほどないと思います。個人的に日本製ヘルメットでツリーワークを行うことは絶対したくありません。墜落用であっても2m以上の墜落を想定していないはずなので。

さらについでに。ヘルメットを個人輸入するのはいいとして、それを仕事で使うなら日本の産業規格をパスしていることを証明する必要があります。つまり自分でお金だして検定うけろってこと。ほら、並行輸入したチェンソーを仕事で使ったら色々ややこしいことになるって言いますやん。あれの根拠になる法令(だか条文だか)にヘルメットも記載があるんです。ほかにボイラーとかもあったかな。

ゼネコン系とかの規則に厳しいとこで仕事をする人は、アルテリアでバーテックスベストを買うってよく聞きます。あれは日本の「落下・飛来物」の検定を通ってますんで。ファナーのPROTOSもファナージャパンが産業規格の検定をうける方向で動いているんだったかな。あれは通気口が小さいからいけそうですよね。

だから…、あれ、ヘルメットって個人輸入したらやばくね?労災があったとき、すごくややこしくなる可能性は秘めていると私は考えるようにしています。海外製のワークヘルメットを売っているお店とかどうなんだろ。大丈夫なんだろうか。売ってるところは結構あるので、私が何かを知らないだけのような気もします。日本の産業規格云々も去年くらいにちょこっと調べただけなんでねえ。並行輸入チェンソーのことでもいいので、どなたか詳しい方がいれば教えてください!

それにしても……写真なしで文章がこれだけ続くと、我ながら読み返す気がおきませんわ(笑)。

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コメント

こんばんは。昨年の機械展後の飲み会以来ですね。今年の機械展には来られないとパイナップルHさんに聞きました。お会いできず残念です。
たまにこのサイトには寄らせてもらっていますが、正直言って内容がほぼ理解できません・・・(笑)
でも、こんなにひとつひとつの道具について情熱的に語れるなんて凄すぎる!!と、以外にも楽しませてもらっています。
例えるなら、ロンドンでミュージカルを観に行った時、細かいセリフとかよー分からんけど周りがウケル時に自分も爆笑し、周りがシリアスな時には自分もウンウン唸ってしまうなど、終わってみればとても楽しいひと時だったと回想できる。ってな感じでしょうか。
ところで、今回の機械展でファナーのヘルメットは自称キコリ系の皆さんの注目はやはり高かったような気がします。実際にかぶってみましたが、映像だけではピンとこない感触を体感しました。たしかにフィットして頭から落ちない・・・想像より軽いなど。
とはいえ、自分らはヘルメットと言えば国産のものしか頭に乗せたことがなく、耳あてやフェイスガードもしたことがないくらいなので、他社製品と比べようもないのですが・・・
ダニエルの話では認可が下りるのは2月(入荷はさらに数ヵ月後)になるかも、とのこと。とりあえず200個ほど用意するらしいですが、おそらく予約分で完売との予想してました。
単純にかっこいいってことと、機能的にも問題なさそうなんで予約しようかとミーハー熱が高まっていますが、25000円くらいするんであと数日は逡巡すると思われます。
ヘルメットネタ位の記事だと絡み易くてつい長文になってしまい失礼しました。
ときどき、こんなの当たり前だろ、的な記事も期待してます(笑)
ヨロシク!!

投稿: somawood | 2012年11月13日 (火) 23時10分

うおお、somawoodさん!お久しぶりっすー!お元気にしておられますか?

いやあもう訳のわからないブログですみません。そもそも特殊な分野なので、シンプルにわかりやすい記事を書きたいんですが、途中からフェチ魂に火がついいた結果、毎回のように情報を詰め込み過ぎてぐちゃぐちゃになるんですよねー。とほほ。でも読んでくださっててありがとうございます!光栄っす!

今年の林機展はちょっとドタバタしてて行けず残念でした。ファナーのメットが展示されていたんですねー。見たかった!25000円くらいっすかぁ…結構な値段しますね。でも欧州で買っても180ユーロくらいしますんで、そう考えるとむしろ安い気もします。いや、これ絶対安いです。値上げする未来が見えるくらいっす。今のうちに予約しとくべきっすよ(笑)

今度ともどうぞ宜しくお願いします!

投稿: フリップ | 2012年11月15日 (木) 21時11分

フリップさん、ご無沙汰してます。

この記事で労災関係のコメント、どなたか詳しい人が教えてくれるのを待ってたんですがなかなかいないものですね。

平行輸入のチェンソーは40cc以下なら問題ないのかな?とか、ヘルメットも日本の規格に合格してないと労災が下りないの?とかここら辺は個人輸入が当たり前のこの業界では大きな問題ですよね。

投稿: よし | 2012年11月24日 (土) 19時27分

お久しぶりっすー!

チェンソーのことならどなたか教えてくれないかなあと皮算用していたんですが、うまくいかないもんですね(笑)。暇ができたら自分で調べますわー。

40cc以下なら…ってのはハンドブレーキが関係しているとかそんなのですか?以前に調べたときは排気量で変わるという話を見た覚えがないんですよ。ヘルメットもねえ。調べもせずに無責任なことは書けないんですが、個人輸入のヘルメットは検定合格品じゃないことは確かですよね。少なくとも理論武装しておくことは必須だと感じています。

投稿: フリップ | 2012年11月24日 (土) 21時23分

フリップさん、おはようございます。

チェンソーの件ですが、例えばスチールの場合法定検査適合表のシールは国内モデルでも40cc未満には貼られてないと思いますが、平行輸入との区別は(マフラーとか違うんでしょうけど)つかないのかなと以前より思ってた次第です。

ややこしい法律とかなければ自由に道具使えるのに面倒ですよね。

コメント返信ありがとうございました。

投稿: よし | 2012年11月25日 (日) 06時35分

そう言えばシール貼ってない気がしますね。どうなんだろ?

私としては規制自体は必要だと思うんです。なんでもありっちゅうのは危険でしょうし。ただヘルメットに関して言えば、日本の規格はうちらがやってるような高所作業を想定していない気がします。なんだかなあって感じです。もうちょい柔軟性が欲しいですよね。

投稿: フリップ | 2012年11月26日 (月) 13時35分

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