カテゴリー「基礎きそ ロープ登攀」の7件の記事

2010年1月30日 (土)

ヨーヨーシステムを想像してみる(11/01/24追記あり)

(11/01/24追記:補足を加えました。赤字の部分がそうです)

今日はヨーヨーシステムについて書いていきます。SRTの登攀・下降手法です。

ちなみに私は実際に試した事ありません!ところどころ想像で書きます。そして近々実際に試してみて今回の想像との相違を思い知ろうという、非常にハタ迷惑な今回の記事です。

まず下画像をご覧ください。これがヨーヨーシステムの基本セッティングです。

グリグリの下についているカラビナ(OKスクリュー)がハーネスに接続します。しっかり言うとハーネスのEN813に適合しているアタッチメントポイントに装着します!さらにハンドアッセンダーのロワーホール(ロープに隠れてみえませんが…)にカウズテイルを装着。これでセルフビレイ2点です。(カウズテイルもセットするかどうかは一概にどちらがいいか言えません。私は下降器の操作に慣れているのでカウズテイルはセットしない派です。)

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↓で、ハンドアッセンダーに取り付けているのはフットループ(手に持っている黒いウェビングっぽいやつ)と…

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↓カラビナはDMM「リボルバー」。プーリー付カラビナです。DMMの変態っぷりが遺憾なく発揮された名作だと思います。カラビナとプーリーを別個用意してもいいんですが、リボルバーの方が便利だと思います。どうせギアループ取り付け用のカラビナはいるし、リボルバーは「最もロープ脱着のしやすいプーリー」のひとつだからです。命にかかわるところじゃないですしね。それにいい値段はしますがカラビナとプーリー買ってたら同じような値段になるかと。(本来はカラビナとプーリーをハンドアッセンダーのアッパーホールに装着します。理由は「下降器との距離を稼げる = 1回の動作での登攀距離が伸びる」からです。ただセットに時間がかかります。私はちょい登りで使うくらいなので、登攀距離よりも時間を優先する為、このようなセット方法を用いています。)

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で、下降時はどうするか。グリグリをハードロックした後にリボルバーからロープを外し、さらにハンドアッセンダーを外します。すると…単純にグリグリだけでぶら下っている状態になりますね。あとはハードロック解除後、普通にSRT下降するだけです。

結局のところですね、これはSRTの下降システムで行う「登り返しシステム」と全く一緒です。ペツルの下降器「ID」の取説pdfを見てください。ここの9番に書いてあるシステムにプーリーを追加してロープを折り曲げたら、ヨーヨーシステムになります。

だから「登り返し」が可能な製品ならグリグリと交換可能です。例えば、ペツル「ストップ」「ID」とかアンスロン「ローリー」とか。アンスロン「ダブルストップディッセンダー」はヨーヨーシステムにはダメです。あれは基本的に下降しかできないはずです。

ストップは登攀方向のロープの流れが悪い(内部でロープが二回蛇行する)ので、このシステムには不向き。IDかローリーの選択になるんですが、ローリーの方が機器が小さくて使いやすいと思います。ローリーとIDの比較に関しては『ガラス屋職人』マーヴィンさんのブログが非常にわかりやすいです。

私はグリグリを下降器に使用するのは反対です。グリグリは制動がかかるのが遅い。だから「カックンカックンする」ってよく言われるんだと思います。そんな訳で私がもしヨーヨーシステムを本気で採用するなら、下降器は「ローリー」を使用します。(この記事を書いた後、ペツルからRIGが発売されました。ローリーよりRIGの方が「ロープセット時にうっかり落とす可能性を減らせる」という点で優れていると思っています。このふたつ、サイドプレートの開け方が違うんですよね。)

あと、下降器とハーネスを接続するカラビナはペツル「フレイノ」が便利です。下降時に威力を発揮します。制動力の調整が楽ですし、ソフトロックが簡単に行えます。初心者であればあるほど導入をおススメします。(ただしフレイノはツイストロックです。ツリーワークに使う場合、ANSI Z133に適合していません。注意してください。便利なんですけどねー。)


要はこれ3倍力システムです。でも3倍力システムなのが重要ではない気がします。だってロープを登る原動力は「フットループに立ちこむ」動作です。

その補助として腕の力も利用したい、ロープを繰り上げる動作(IDの取説にのっている方法)より、引き下げる動作(ヨーヨーシステム)のほうが楽、だからプーリーをかます。その副次的産物として3倍力システムになっている。っていう方が本音じゃないでしょうか。

だからこのシステムの肝は「登攀が楽」じゃなくて「登攀システムから下降システムへの移行が簡単に行える」事だと思います。確かに普通のSRTシステムはこの移行が手間ですし、方法を知らない人がやると非常に危険です。

でも、だからといって普通のSRTができない人がヨーヨーシステム使うのは大反対です。せめてSRT下降方法・ハードロック方法を習熟していないと登攀後に泣きを見ますよ。

例えばペツル「ストップ」とYale「ブレイズ」の組み合わせでは、下降時に手を離すと勝手にズルズルと落ちていきます。グリグリで実際に試した事はないですが、おそらく滑るのではないかと。ハードロック方法を知らなかったら、パニックになると思います。セルフブレーキ機構はセルフストップ機構ではないのをわかってください。たとえ手を離して動かない場合でも、それはたまたま運がいいだけと思うべきです。

という事で、ヨーヨーシステムでした。安易な導入は厳禁です。今回写真をあまり撮っていなかったので、詳しい手順に言及しませんでした。今度試した時にパシャパシャ撮ってきて、写真付きで紹介したいと思います。…いつ時間がとれるかわかりませんが(汗)

(SRTだけでなく、DdRTでもヨーヨーシステムは可能です。詳しくは木挽き屋さんのこちらの記事をご覧ください「今日の山羊座は最悪なんだって?(YoYoInDRT イラスト追加)」。)

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2009年12月25日 (金)

ロープ登攀⑥ 吉井フリップ的DdRTの巻

てな事で、今回は私が実際にやっているDdRTのシステムを紹介します。

とは言えまだまだ練り込まれたものではありません。もっといい方法があるはず!と毎回思ってはいるんですが、なかなか…目の前に樹があるとついつい早く登りたくなってこのシステムで登っちゃいます。

参考程度に見ていただければと思います。もちろんこのシステムを真似して事故が起きて全くもって責任は負えません。自己責任においてお願いします。イラストに関して、今回もワーキングエンド側のロープは描いていませんので注意してください。それではどうぞ。

使用しているのは「ハンドアッセンダー+カウズテイル」「フリクションヒッチ(VTヒッチ)」「フットアッセンダー」です。


吉井フリップ的DdRTのロープ登攀
①基本姿勢
フリクションヒッチにぶら下っています。足にはフットアッセンダー。「セルフビレイ2つ取り」の原則を守るためにカウズテイルを介してハンドアッセンダーも装着しています。

フリクションヒッチはブリッジに、カウズテイルはセンターD環に繋がっています。

登攀中はハンドアッセンダーにぶら下がる事になるのですが、ハンドアッセンダーはスライドさせている時にロープから外れる危険があります。防止策としてトップホールにカラビナをかけています

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②登攀準備
フットアッセンダーをロープに装着して、足をひきあげます。ここは普通のDdRTと全く一緒です。

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③登攀
フットアッセンダーを足掛かりにして立ちこみます。ここも普通のDdRTと一緒です。この際、フリクションヒッチもハンドアッセンダーのカウズテイルも、スラックが発生しています。

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④スラックをとる
ハンドアッセンダーをガツンと押し上げて、カウズテイルのスラックをとります。フリクションヒッチは、そのままです。

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⑤登攀完了
これで基本姿勢と同じ状態になりました…と言いたいところですが、ちょっと変化していますよね。フリクションヒッチはスラックが発生したままです。登攀を繰り返している間はフリクションヒッチではなく「ハンドアッセンダー+カウズテイル」にぶら下がる事になります

以上の動きを一連のイラストで見るとこのようになります。

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以上です。



ポイントとしては、セルフビレイ2つ取りの原則に適っている事フリクションヒッチのスラックをとらない事です。

何故フリクションヒッチのスラックをとらないのかというと、単に面倒だからです。それにVTヒッチとヒッチクライマーの組み合わせですと、それほどスラックができないから登攀の邪魔になりません。

その代り、基本的にセルフビレイを受け持ってくれるハンドアッセンダーには脱落防止用のカラビナを取り付けて、安全度を向上させているんですね。

これ、ハンドアッセンダーじゃなくてフリクションヒッチ側のスラックをとっても別に全然問題ありません。どちらかで登攀準備用のセルフビレイがとれればいいんですから。ただフリクションヒッチのスラックをとるとしたら、手のポジションを毎回動かさないといけないでしょ。これがなかなか手間を食うんですよね。もっというとリズムが狂っちゃうのが嫌なんです

で、休憩したりするときだけフリクションヒッチのスラックもとります。フリクションヒッチはブリッジと繋がっているのですが、ブリッジでぶら下がる方が姿勢的に楽だからです。

どうでしょうか?参考になりましたでしょうか?正直なところ、このシステムはVTヒッチとヒッチクライマーの組み合わせの恩恵にあずかる部分が多いので、ブレイクスヒッチでうまくいくのかどうか、定かではありません。

たぶんブレイクスヒッチでやると、スラックが邪魔して、フットアッセンダーをスライドさせるのに手間がかかるような気がします。

この問題について名案は浮かんでいるんですが、なんせ寒くて実験する気がおきません…簡単に説明するとスラックテンダーをワーキングエンド側に配置する方法です。シェリルのカタログp39に載っています。というかこの記載されてるスラックテンダー方法、私の理想のような気がします。

とまあロープ登攀について長々と書いてきましたが、今回で一旦終了します。次回は何を書こうかな…

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2009年12月22日 (火)

ロープ登攀⑤ ロープの展張とフリクションヒッチの関係

では今回はロープの展張とフリクションヒッチの関係を見ていきます。

結論はこれです。
・荷重がかかっているロープクランプがロープを展張する。
・展張しているロープ上のフリクションヒッチを移動するには「片手」でいける。
・展張していない時は「両手」が必要。

それでは見ていきましょう。

まずは下記のイラストを見てください。前回のイラストから、展張しているロープ部に色をつけたものです。

色のついているロープ部はピンっと張っています。それより下部はぶらりと垂れ下がっているだけです。荷重がかかっているロープクランプがロープを展張しているのがおわかりいただけるでしょうか。体重かけてるんですから、そりゃまあロープは張るよなっていうだけの話です。

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次にいきます。

展張しているロープ上のフリクションヒッチは片手で押し上げる事が可能です。

でも展張していない場合、押し上げようとしても先にロープがぐにゃっと曲がってしまって無理なんですね。だからフリクションヒッチより下のロープを握って、ロープを展張してあげてからヒッチを押し上げる必要があるんです。

そんな訳で、展張していないロープのフリクションヒッチを押し上げる場合、ロープ展張用とヒッチ押し上げ用で、両手が必要になってくるのです。スラックテンダーでヒッチを押し上げるならば無展張状態でも片手で可能ですが、あれってスラックがまるまる残るから疲れるんですよね…


ついでに「ハンドアッセンダー+フットループ」「フットアッセンダー」の違いについて。それぞれ立ちこんだ状態でのロープ展張はこのようになります。

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フットアッセンダー」の場合は足までロープが展張します。

それに対して、「ハンドアッセンダー+フットループ」の場合、ハンドアッセンダーの部分までしか展張しません。

しかもハンドアッセンダーを握っている片手は手離せないので、残る腕は一本。ありゃフリクションヒッチの押し上げできなくね?っていう悲しい事態に陥ります。

…と言いますか実は私、こないだこの状況に遭遇しまして(汗)

その時うっかりフットアッセンダーをつけ忘れてたんですね。フットロックは好きじゃないのでフリクションヒッチをチェストアッセンダー代わりにして、SRT式で登攀できるんじゃないの?と思ってしまったのが運の尽きでした…フットループに立ちこんだ瞬間、あ、無理やん!ってすぐ気付きました。

まあ5mほど登攀するだけでOKでしたし、スラックテンダーで必死にフリクションヒッチを押し上げて乗り切りましたが(どんなけフットロック嫌いなんだ)、一日中腕が笑ってました。

ふとした思いつきだけでシステム構築したら、しんどい目に合うという教訓を得れましたねー。が、そんな時でも「セルフビレイ2つ取り」の原則さえ覚えておけば、危険な状況には合わないです。これのおかげで冒険できるっていう部分も大きいです


さて、という訳で次回は私が実際に行っているDdRTを紹介したいと思います。いい加減ロープ登攀の話も飽きてきましたし(笑)、次回でロープ登攀の話はひとまず終了にしたいと思います。

次回に続きます

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2009年12月19日 (土)

ロープ登攀④ 実際の動き (DdRT編)

それではDdRTの実際の動きを見ていきます。

今回も引き続きイラストで紹介します。土曜日記念という事で着色しました(笑)あとイラストが煩雑になるので、ハーネスに取り付けるロープ末端側(Working end)は描いていません。

使用するロープクランプは「フリクションヒッチ」と「フットアッセンダー」です。フットアッセンダーの代わりにフットロックを使っても勿論OKです。

DdRTにおけるロープ登攀
①基本姿勢
フリクションヒッチによってロープにぶら下っています。そして足にはフットアッセンダーを装着しています。フリクションヒッチが自己確保用で、フットアッセンダーが上昇力を担います。

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②登攀準備
フットアッセンダーにロープを取り付けて、足をお尻に向かって引き上げます。ここではまだフリクションヒッチにぶらさがったままです。腕はフリクションヒッチの下あたりのロープを掴んでいます。

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③登攀
フットアッセンダーを足掛かりに立ちこみます。この際、フリクションヒッチにスラックが発生します。もしこの状態で身体のバランスを崩すと、スラックの長さだけ墜落するので注意。

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④スラックをとる
手でフリクションヒッチを押し上げてスラックをとります。実際は③の動作と同時に行う事も多いです。足で立ちこむと同時に腕を伸ばす要領です。ピンと背伸びするような格好ですね。

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⑤登攀完了
これで基本姿勢と同じ体勢になりました。動作を並べるとこんな感じです。

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以上です。SRTとほとんど同じなのがおわかりいただけたでしょうか?ワーキングエンド側のロープをイラストに描いていないので、特に顕著になりますね。つまりDdRTってのはSRTの変形型なんですよ。但しDdRTは登攀距離が二倍になりますし、フォルスクロッチ(フリクションセーバーなどのこと)の摩擦力がずっと付き纏います。SRTに比べて登攀はかなり疲れます。

で、基本概念のときに言っていた通り、このままではセルフビレイが一点だけで不安ですね。どうすればいいかっていうと簡単です。ハンドアッセンダーを導入してあげればいいのです。もしくはペツルのシャント等のバックアップ器材を加えてもいいかもしれません。

ただしハンドアッセンダーとフリクションヒッチは、セット方法によっては相性が最悪です。これはロープの展張(張り具合)が関係してきます。ピンッと展張しているロープ上のフリクションヒッチは動かしやすいですが、展張していない場合どれだけしんどいか…この問題からフットループとフットアッセンダーの違いも見えてきます。


次回に続きます

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ロープ登攀③ 実際の動き(SRT編 ②)

それではSRTロープ登攀における、ハンドアッセンダーとチェストアッセンダーの役割を見ていきます。

①ハンドアッセンダー
ハンドアッセンダーの役割は、上昇力を得ることと、セルフビレイのバックアップ目的です。

人間が登攀しようとすると腕か脚の屈伸運動を使うしかありません。腕力だけだとしんどいので、脚力も使いたい。というか懸垂運動はしんどいから是非使いたい。その為のフットループです。ハンドアッセンダーを手掛かりに、フットループを足掛かりにして、フットループに立ちこみます。ハシゴをえいやっと登る動作とほぼ同じです。

実際のところ、フットループを使いたいからハンドアッセンダーを使う、といってもいいくらい重要です。登攀していると「腕しんどくないの??」とよく聞かれますが、そんなにしんどくありません。ぱっと見るだけではフットループの重要さが伝わらないんでしょうね。フットループの代わりにフットアッセンダーを使っても勿論いいです。


②チェストアッセンダー
チェストアッセンダーの役割は基本姿勢の確保用です。いつでも安心して体重を預けられる、安全の根幹を担ってくれます。自己確保をメインに取り扱うということです。

自己確保を担う器材には、大切な条件があります。ハーネスとのスラックが限りなく短い事、ロープ上をスムーズにスライドしてくれる事、ロープからの脱落・逆戻りが絶対ない事、の3点です。

ここでいうスラックとは、ロープクランプとハーネス間のたるみの事です。下の画像を見てもらえればだいたいわかってもらえると思います。ブレイクスヒッチを思い浮かべながら見てもらうと解りやすいかもしれません。

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例えば、フリクションノットはどうしてもスラックが大きくなります。それに対しチェストアッセンダーのスラックはマイロンの長さのみですし、さらにチェストハーネスでアッセンダーを上に引っ張る格好になるので、アッセンダーのブレが少なく、体の動きによく追従してくれます。登攀時にわざわざ手で引き上げる必要がないので非常に便利なんです。これは相当重要です。

また、チェストアッセンダーはよほどの事がない限り勝手に外れません。ハンドアッセンダーは実は外れる可能性があります。特にチロリアントラバースなどの横方向への移動時によく外れます。これを回避するためにはハンドアッセンダーのトップホールにカラビナをかける必要があります。



今回の結論…のようなもの

以上の事から、登攀時のロープクランプには「上昇力の手掛かりにする」「自己確保のためにぶらさがる事ができる」、という二点の役割があるのがおわかりいただけたでしょうか。SRTはこの役割分担がはっきりしていて分かりやすいです。

どんな登攀システムも、この二点の役割を意識して見ていくと理解しやすいと思います。

DdRTは、このSRTのシステムからハンドアッセンダーを使わないで、フットループの代りにフットロックやフットアッセンダーを使用します(上昇力の手掛かり)。そしてチェストアッセンダーの代わりにフリクションノットを使っているんですね(自己確保用)。

次回はDdRTロープ登攀の実際の動きです

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2009年12月18日 (金)

ロープ登攀② 実際の動き(SRT編①)

今回はSRTにおけるロープ登攀の実際の動きを見ていきます。先にSRTを見ておいた方がわかりやすいと思うので、DdRTから見ていくのがスジでしょうが、お付き合いください。

その前に前回記載したロープクランプの定義ですが、あれではちと紛らわしいので言い換えたいと思います。

ロープクランプとは、進行方向にはスライドでき、逆方向の加重がかかるとロープを噛みこんでストップする働きを担うもの。

どうでしょう、わかりやすくなったでしょうか?なんだか余計わからなくなってしまった感もありますが、ロープクランプというかアッセンダー類は自分で実際にやってみると一目瞭然で理解できるので、あまり気にしないでください。


それでは実際の動きをみていきましょう。今回写真が用意できなかったので私の情けないイラストで紹介します。我ながらこんなものを公開するのは恥ずかしいですが、文章だけではわかりにくい。自分でもよくわからない。

今回の説明で使用するロープクランプはチェストアッセンダーハンドアッセンダーの二つです。

SRTにおけるロープ登攀
①基本姿勢

基本姿勢はチェストアッセンダーにぶらさがった状態です。チェストアッセンダーによってセルフビレイされています。そしてハンドアッセンダーがバックアップです。ハンドアッセンダーはカウズテイルによってハーネスと接続されています。あと、ハンドアッセンダーにはフットループを接続しています。

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②登攀準備

ハンドアッセンダーに取り付けているフットループに足をいれます。そしてハンドアッセンダーを上方にスライドさせます。すると足が屈伸状態になりますよね?ピンと来なければ竹馬を思い出してください。腕の力で足をヒョイとあげてやるようなもんです。Img_0002_4

③登攀
フットループを足がかりにして、屈伸している足を伸ばします。フットループに立ちこむ要領です。縄ハシゴを登るのと同じです。

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④完了
立ちこむと、チェストアッセンダーも同時に上昇してきます。腰の位置が上がるのですから、ハーネスと連結しているチェストアッセンダーも一緒にあがってくるのです。実際にはあがってこない事も多いですが(汗)これで基本姿勢と同じ状態に戻りました。


以上です。この一連の動作を繰り返すことによって登攀します。

ここで重要なのは、チェストアッセンダーとハンドアッセンダーの役割の違いです。これがわかるとDdRTの動作も理解しやすいんです。


次回に続きます

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2009年12月16日 (水)

ロープ登攀① 基本概念

ロープアクセス技術(もちろんロープを使用した木登り含む)におけるロープ登攀の基本概念はこれです。

・セルフビレイが可能なロープクランプを2つ使用する。一方でセルフビレイをとりながら、もう一方を上方にスライドさせる。これを繰り返す。

ロープクランプっていうのは、アッセンダーやフリクションヒッチ(exブレイクスヒッチ)のことです。ロープを掴んではなさない、荷重がかかってもその場に留まる事ができる必要があります。また荷重がかかっていない場合は、任意にロープ上をスライドできる。スライドできなきゃ登攀できませんし。

セルフビレイは、日本語訳すると[自己確保]です。つまりロープクランプに自分の体重を預けた時、そのロープクランプは自分の安全を確保してくれる必要があります。

それではさまざまなロープクランプをみていきます。


①フットアッセンダー
フットアッセンダーはロープクランプですが、セルフビレイ可能ではありません。これはフットロック技術をメカニカルに行う為だけのものです。例えばPetzlのパンタンの説明書に「注意:パンタンは PPE (個人保護用具)ではありません」と記載されている事からもわかると思います。
考えてください、あなたはフットアッセンダーのみで安全にロープにぶらさがっていられますか?できる、と思った方は何か考え違いをしているか、安全というものを甘くみすぎです。

②ハンドアッセンダー
ハンドアッセンダー単体ではただのロープクランプです。ただしハンドアッセンダーを使用する時はロワーホールカウズテイル(自己確保用のランヤード 例.Petzlスペルジカ)をかけます。そしてカウズテイルはハーネスに繋がっています。つまりカウズテイルを接続する事でハンドアッセンダーはセルフビレイ可能になります。
この際、カウズテイル自体の強度と、カウズテイルとハーネスの接続場所(アタッチメントポイント)の強度も問題になってきます。もちろんハーネスのギアループにカウズテイルを接続していたらNGです。それはただ道具の落下防止をしているだけで、荷重がかかったらギアループがぶっ壊れて作業者は墜落します。

③チェストアッセンダー
チェストアッセンダーについてもほぼ同じことがいえます。違うのはハーネスとの接続に、カウズテイルではなくマイロンやカラビナを使う点です。

④フリクションヒッチ
他のロープクランプとの決定的な違いは「その都度フリクションヒッチを作成し、そして作成に失敗する可能性がある」っていう事です。その為、たとえ作成に失敗していても安全な状況で(地面に立ちながらetc)フリクションヒッチの動作チェックをする必要があります。
あと、フリクションコード(フリクションヒッチに使っているロープ。スプリットテイルの事)自体の強度も重要です。細引きを流用したり、ロープコアを抜いてプルージックを効きやすくするなんて論外です。あと摩擦熱を考慮する必要もあります。



他にもロープクランプはありますが、今回は割愛します。

つまり、登攀にはPPEとして使用できるロープクランプが二つ必要なんです。

ロープクランプが二つ必要な理由ですが、ロープクランプ二つないと登攀できません。荷重でがっちりロックされてるロープクランプひとつでどうやって登ります?

もうひとつの重要な理由はバックアップ目的です。万が一ロープクランプがひとつ破損しても、他方が墜落を防いでくれます。その為にも両方のロープクランプがPPEである必要があるのです。

ワンミスで死んじゃうような技術をプロが使っていい訳がありません。バックアップを多元的に行うからこそ、ロープアクセス技術はプロフェッショナル用途に耐えられるのです。まして趣味で木登りしている方が事故にあうなんて絶対あってはならない事です。

次回は実際のSRT登攀手順を紹介します。チェストアッセンダーの素晴らしさがわかるはずです。

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P.S.「え、でもDdRTはフリクションヒッチひとつだよ?」って思った方、そうなんですよ!なんかDdRTっておかしいんですよ!!フリクションヒッチひとつに命を預けるのってヤバくないですか?

まだまだ研究中で中途半端ですが、登攀に関してはひとつ方法を見つけたので、これも次回紹介します。

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