カテゴリー「ロープの話」の10件の記事

2011年8月18日 (木)

EN1891とEN892の詳細な資料を見つけました

いつものようにTreeToolsさんのブログをぶらぶら見ていたところ…ナイスな資料を発見しました。チェコのロープメーカー「TENDON」が出している資料です。ところがTENDONのサイトではこの資料が見つからない!

なので、TreeToolsさんのブログ記事にリンクします。こっからダウンロードしてみてくださいな。

1、EN1891とEN892の規格資料(測定方法の詳細も記載されています)
「EN 892 standard confounds tree climbers? 」
http://treetools.co.nz/_blog/Treetools_Blog/post/EN_892_standard_confounds_tree_climbers/
(一番上の段落、最終あたりの「here」をクリック)

2、クライミングロープ、スタティックロープについての概略、ノットなど
「More on EN dynamic and static rope standards」
http://treetools.co.nz/_blog/Treetools_Blog/post/More_on_EN_dynamic_and_static_rope_standards/
(「tendon」か画像をクリック)

(注 EN1891…セミスタティックロープ規格 EN892…ダイナミックロープ規格)

いやーTreeToolsさんはほんとすごいですね。紹介はしませんが、他にも興味深い内容の記事が盛りだくさんです。このブログが日本語で読めたらいいのになー。


(余談その1 TENDONについて)
今回の資料を発表しているTENDONというメーカーですが、日本でもレスキュー関係の人々の間では結構認知されていると思います。レスキュージャパンさんでもTENDONのロープを取り扱っていますしね。
いつも愛読させていただいている「ロープアクセス技術の広場」さんでTENDONロープについて書いた興味深い記事がありますので、是非ご一読ください→「TENDON テンドン ロープだけが38kN/φ10.5mmになってどうするのか?」。

TENDONの親会社は「LANEX」というメーカーでして、その傘下には「SINGING ROCK」もあります。(つまり共立と新ダイワの関係みたいな感じ。) TENDONが急に親しみやすくなりました。
それにしてもチェコは高所作業用器材のメーカーが多いですねー。アンスロンもチェコですよね。

(余談2 シンチ問題)
上でリンクしたTreeToolsブログの記事「EN 892 standard confounds tree climbers? 」ですが、本文ではトランゴ「シンチ」をランヤードアジャスターに使用する事の是非が問われています。私もTreeToolsさんの意見に賛同しますね。私は一応ダイナミックロープと組み合わせて使用していますが、シンチって本当に使いやすいんですよねえ。「皆さんにおすすめしたい!けど、ダイナミックロープ用器材なのでできない!」というなんとも悔しい製品です。

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2011年6月27日 (月)

ロープの規格その3 EN1891 セミスタティックロープ

さてさて、今回はセミスタティックロープについて書いてみようと思います。EN規格のロープになります。

【EN規格の簡単な説明】
EN規格ってのは簡単にいいますと、EU圏内の共通工業規格です。EU各国それぞれが別々に規格を制定していたら、メーカーは非常に大変です。A国の規格に対応させたらB国で対応できない、なんて話がでてきますし、国ごとに規格検査をしなくてはいけません。

メーカーはEN規格に適合している事を「自己宣言」し、その製品にCEマークを掲示します。CEマークのない製品は欧州圏での発売・流通が禁じられてます。私たちが使うような木登り道具はほぼすべてCEマークが必要です。

EN規格は用途に合わせて項目に分かれています。ロープの場合は…

EN1891…セミスタティックロープに関する規格
EN892…ダイナミックロープに関する規格

この二種類がメインです。今回はEN1891に焦点を合わせた記事です。

【セミスタティックロープはEN1891です】
EN1891について非常にわかりやすい資料があります。アルテリアのサイトで、エーデルリッドのカタログをダウンロードしてください。このカタログの最後にEN1891についての詳細が書かれています。(ちなみにEN892についても書かれています。)
アルテリアのカタログダウンロードページはこちらです。

このカタログを読んでもらえれば、特に何も書く事がないんですが(笑)、ちょこちょこっと簡単に説明してみようと思います。

セミスタティックロープには「Type A」と「Type B」の二種類があります。Aの方が高性能になっています。これは製品カタログに「EN1891 type A」というような書き方で明示されている場合もあります。CEマークがついているだけの場合もあります。

注意したいのは伸び率でしょうか。EN1891の場合、「50kg荷重時と150kg荷重時の差」が伸び率になり、その伸び率が5%以下であることが求められます。前回まで見てきたスタティックロープ、アーボリスト用クライミングロープとは測定方法が全然違います。気をつけてください。

他にも色々あります。このカタログには非常に詳細に書かれていますので、是非ご一読ください。他のEN規格についても、このくらい詳細に書かれた日本語の情報があればいいのになー。

【ま・と・め】
という訳で、セミスタティックロープはEN1891に対応した製品という事になります。基本的にロープアクセス作業で使われる事が多いロープです。ケイビングもセミスタテティックロープを使うのかな。

以前も書きましたが、セミスタティックロープをツリークライミングに使用するのは気をつけた方がいいと思います。セミスタティックロープは堅いので、ノットが作りにくいですし、クライミングヒッチをしっかり効かせるのが難しいと思います。

セミスタティックロープとクライミングヒッチの相性は疑問が残ります。スプリットテイルシステムでも不安ですが、レク団体で採用されているようなトラディッショナル・クライミングシステムでの使用は、更にやばい気がします。

アルテリアのワーク部門でエーデルリッドのセミスタティックロープが販売しているんで、ついつい買っちゃいそうになりますが、木登りするならやっぱアーボリスト向けのロープを買うべきですよ。それぞれの作業体系に合わせてロープは進化している訳ですしねー。

まあややこしい事を抜きにして、アーボリスト用クライミングロープの方が使い心地いいんですよね。(木登りするならね)


【余談 「間借り」問題】
ここでちょっとセミスタティックロープの基礎知識でも語ってみようと思います。

まずロープ構造はカーンマントル構造です。外皮と内芯に分かれています。そして狭義のカーンマントルロープでして、内芯が強度の大半を受け持ちます(たしか70%くらいだったでしょうか)。外皮の役割は内芯の保護カバーです。なので、汚れ等にそれなり強いです。

先ほども言いましたが、EN1891はセミスタティックロープ用の規格です。しかしながら、アーボリスト用クライミングロープにもEN1891に適合した製品は存在します。例えば…Yale「Blaze」は EN1891-typeB に適合しています。(タイプAじゃないのは、外皮ずれ率のせいじゃないかなーと勝手に推測しています。) これは一体どういう事なのでしょうか。

何が問題って、セミスタティックロープとBlazeではそもそもロープ構成が違いすぎます。共通点はどちらもカーンマントル構造(二重構造)ってだけでして、完全に別種のロープです。
このふたつが何故EN1891ひとつで括られているのか。

要はこれ、BlazeがEN1891規格を間借りしているだけなんです(汗)。Blazeだけじゃありませんよ。アーボリスト用クライミングロープで言うと、セミスタティックロープと同構造を持つのはニューイングランド「FLY」シリーズくらいですからね。それ以外のロープでCEマークのついているものは、Blazeと同じくEN1891規格を間借りしているんです。

・EN1891規格はセミスタティックロープの品質を保証する為に制定された規格である。
・アーボリスト用クラミングロープの品質を保証するEN規格はまだ存在しない。
・仕方ないからEN1891を流用している。

という訳です。なので、BlazeはEN1891に適合していますが、セミスタティックロープとして使用していい訳ではありません。更にEN1891はセミスタティックロープの品質保証を目的として制定された規格ですから、アーボリスト用クライミングロープであるBlazeの品質を正確に保障できていない可能性もあるんです。

しかしながら、EU諸国でローストレッチロープとして流通させようとすると、EN1891に適合しないといけないのも事実です。(つまり、EN1891規格は、セミスタティックロープの規格というより、欧州向けローストレッチロープ全般の規格と言う事もできます。) 

さっきからBlazeを例示してあーだこうだと申していますが、別にこのロープが不安だと言いたいんじゃないんです(私はBlazeが大好きですし、普通に信頼しています)。ただ単に「こういう問題があるよー」と知ってほしかった訳であります。例え間借りであっても、EN規格通ってる方が安心できますしね。 

この「間借り」問題はイギリスのPaolo Bavarescoさんが書いた論文「Ropes and Friction Hitches」にちょっくら書かれています。この論文は確か8年くらい前に書かれたものなので、現在の状況はもうちょっと違うかもしれません。でもアーボリスト用クライミングロープ向けのEN規格が制定されたという話も聞きませんので、たぶん問題の本質は変わっていないと思います。何か新情報をお持ちの人がいれば、是非教えてください!

つーかですね。NFPA規格だけしか通していないレスキュー製品は欧州でどういう扱いになるんでしょか?? うーん、わからない。

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2011年5月30日 (月)

ロープの規格その2 NFPA1983 スタティックロープ

前回に引き続きまして、今回はスタティックロープを見ていきます。

【スタティックロープとスタティックなロープ】
まず最初に言っておかなければならない事があります。スタティックロープという言葉には、二種類の意味合いがあります。

①静的(スタティック)なロープの総称。
②NFPA1983認定の救助用スタティックロープの事。

①の場合【スタティックな】という形容詞であり、②の場合【スタティックロープ】という名詞になると。そんな雰囲気を感じてると分かりやすいかもしれません。余計わからなくなるかもしれません(笑)。とりあえずこの違いをしっかりと意識しておいた方がいいと思います。

①の意味でつかわれる場合、前回記事で取り上げたアーボリスト用クライミングロープも「スタティックロープ」の範疇に含まれる訳です。知ってか知らずか、セミスタティックロープとスタティックロープを混同しているお店もあります。私も正直なところ、結構最近まで混同していました(汗)。

①の意味での使用は充分気をつけたほうがいいです。とんでもない誤解を生む元凶になります。これ以上悲劇を繰り返さない為にも!

今回取りあげるのは②の意味合いです。アメリカ系チームレスキューの色合いが非常に濃い、というか直球ド真ん中なロープになります。ここから下の文章は道具好きが読むと面白いかもしれませんが、木登り以外に興味ない人にはあまり関係ない話です。でも、上記のスタティックロープの意味合いの違いは知っておいて損はないと思います。

【CI1801はどんな規格??】
さてスタティックロープ。これは北米レスキュー系の規格なんです。

ロープ製造メーカーや販売メーカーを主体とした米国索具協会Cordage Institute以下:CI)という団体があります。ここはロープに関する様々な規格を策定していまして、そのひとつに「CI 1801」があります。

この「CI 1801Low Stretch and Static Kernmantle Life Safety Rope」はライフセーフティーロープ(人命救助用ロープ)の規格でして、この中でスタティックロープが規定されています。

この辺りの事はCMCのカタログで読む事ができます。CMC日本代理店のファーノジャパンのサイトで日本語訳版をゲットできます。(トップから「NEWS・カタログ」をクリック後、左カラムの「カタログ」をクリック。もしくはHOMEのトピック窓から。2011.01.11がそれです)

詳しくみていきましょう。一番新しい「CI 1801」規格は2007年版なのですが見つかりませんでした。1998年版(CI 1801-98)は見つけたので、こちらを参考にしていきましょう。→http://www.scribd.com/doc/1603186/CI-1801-Standard-Low-Stretch-and-Static-Kernmantle-Life-Safety-Rope

【CI 1801でのロープ区分について】
「CI 1801-98」は人命救助用ロープの基準を策定しています。

まず大事な事を言わなくてはいけません。この規格はカーンマントルロープだけしか認めていません。3ストランドや16ストランドは端っから論外です(ダブルブレイドロープは…一応範疇のようです)。また、リードクライミングで使われるダイナミックロープは明確に否定しています(条文1.1)。

CI 1801-98ではロープを伸び率によって2種類に分類しています。

スタティックロープ…伸び率6%未満(@最小破断強度の10%負荷時) (条文3.7)
ローストレッチロープ…伸び率6%~10%(@最小破断強度の10%負荷時) (条文3.5)

(注:CMCの2011カタログを見るに、スタティックロープの規定は「伸び率1%~6%未満」に変更されたようです。やっぱ98は古いんですね)

これこそがスタティックロープの根拠です。ポイントは「最小破断強度10%を負荷時」の伸び率を基準にしているという点です。前回見たアーボリスト用クライミングロープの伸び率の定義(540ポンド負荷時)とはちょっと違います。

【NFPA1983ではどうだろう】
さて、NFPA(全米防火協会)という団体があります。ここが策定しているNFPA1983という規格があるんですが、皆さんご存じでしょうか。この規格は北米の消防活動において使用する各種器材の仕様を定めています。

NFPA1983には、人命救助用ロープの規格が存在します。簡単にまとめるとこんな感じです(詳しくはこれまたCMCのカタログが参考になります)。あと、NFPA1983もカーンマントルロープ以外は門前払いです。

ライトユース
・最小破断強度は20kN以上
・伸び率は1%~10%(@最小破断強度の10%負荷時)
・直径は9.5mm~12.5mm

ゼネラルユース
・最小破断強度は40kN以上
・伸び率は1%~10%(@最小破断強度の10%負荷時)
・直径は11mm~16mm

伸び率によるロープの分類は「CI 801」に丸投げしています。つまり先ほど見たCI規格による分類をそのまま適応できます。

【結論として】
NFPA1983とCI1801の規格を総合するとこのようになります。

・スタティックロープ…伸び率1%~6%未満(@最小破断強度の10%負荷)
・ローストレッチロープ…伸び率6%~10%(@最小破断強度の10%負荷)

【最後に】
NFPA1983認定のスタティックロープについてまとめます。

北米において人命救助用に使うカーンマントルロープは、「CI 1801」によって規定されており、伸び率によってスタティックロープとローストレッチロープに分類される。

北米で救助用ロープとして使用する場合、NFPA1983に適合している必要がある。NFPA1983は伸び率についてCIの基準を採用している。

巷で市販されているNFPA認定の救助用ロープならば、ローストレッチロープかスタティックロープのどちらかである。

こんな感じですかね。

正確に言うならば、CI基準スタティックロープというべきなんでしょうが、そんな言い方をするより、NFPA認定スタティックロープと言ったほうが間違いなく判りやすいです。別にこれでも間違いではないですしね。どの道、レスキュー用に開発されたロープであるならば、NFPA認定じゃないと発売しても仕方ないんです。私たちユーザーが「NFPAに対応していないけど、CI基準で作られたスタティックロープ」に出くわす事なんて有り得ないと思います。

まーこんな事言いながら、私自身、NFPAってよく知らないんですよね…。チームレスキューも全然詳しくないです。NFPA1893認定ロープとなる為の条件は他にもありますが、そこまで調べる気はおきませんでした(汗)。ファーノジャパンが翻訳してくれているCMCのカタログを読めばだいたいの雰囲気は掴めるかと思いますので、気になる方はそちらを読んでみてはいかがでしょうか。

また、チームレスキューの講師をされておられる「Keep it Simple」さんの記事に、NFPAやスタティックロープ規格についての詳しくわかりやすい解説がありますので、そちらを読んでいただければと思います。

次回は欧州系の規格である「セミスタティックロープ」について!書くと思いますが、他にも色々書きたい事があるんですよね…。うーん困った。

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2011年5月12日 (木)

ロープの規格その1 ANSI Z133 アーボリスト用クライミングロープについて(0512追記あり)

アーボリスト用クライミングロープとスタティックロープ、そしてセミスタティックロープはそれぞれ定義が違います。

と言うと誤解がありそうなので、それぞれのロープと規格を結び付けておきます。
アーボリスト用クライミングロープ……ANSI Z133
スタティックロープ……NFPA1983
セミスタティックロープ……EN1891
ダイナミックロープ……EN892 (←ついで)

こんな感じです。例えばこの記事でいうアーボリスト用クライミングロープってのはANSI Z133によって定義されたロープって事です。

【ANSIを知ろう】
そもそもANSIって何?って感じじゃないですか。それを説明したいと思います。

簡単に言うと、ANSIAmerican National Standards Institute)ってのは日本のJIS規格に相当するもので、工業系の規格を制定しています。ウィキペディアの当該記事でも参考にしてください(http://ja.wikipedia.org/wiki/ANSI)。

ANSIがアーボリカルチャーの規格を制定する事になった経緯については、こちらのページに詳しいです。本当かどうか知りませんが。(http://www.fs.fed.us/treeclimbing/resources/ansi-z133/

【ANSI Z133について】
数あるANSI規格の中で、「ANSI Z133」がアーボリカルチャーの作業や器材全般について定義しています。たぶん世界的に見てもアーボリカルチャーに一番影響力のある規格なのではないでしょうか?(他にも他国ではこんな規格があるよーってご存知の方がいましたら教えてください。是非知りたいっす!)

その内容は結構頻繁に更新されており、例えば「ANSI Z133.1-2006」と書かれた場合、2006年版であるとわかります。(Z133のすぐ後ろにくっついている .1の意味はよくわかりません(泣)マイナーチェンジ用の数値なのか、これを含んだZ133.1ってのが正式なのか…。どなたかご存じないでしょうか。)

規格の内容を考えるのはZ133委員会ですが、ISAの影響が非常に強いと思います。現在、ISAのサイトにて、パブリックコメントを受け付ける為に2011年版の改訂案がダウンロードできます(コメントは既に受付終了)。これを見ると、結構マメな更新がされているんだなーと感動できます。http://www.isa-arbor.com/newsroom/industryNews/index.aspx

【アーボリスト用クライミングロープの定義をみよう】
さてさて、ここからが本題です。ANSI Z133ではアーボリスト用クライミングロープについてどう規格されているのでしょうか。ANSI Z133.1-2006(8.1.8)を訳してみます。

「アーボリスト用クライミングラインは最小直径1/2インチ(12.7mm)の合成繊維ロープを使用する。最低破断強度は新品状態で5400ポンド(24.02kN)が必要。最大伸び率は7%(@540ポンド負荷時)。アーボリスト用クライミングラインは、メーカーによってツリークライミングに適していると認定されたものを使用する事とする。」

こんな感じです。そして例外として「直径11mm以上のロープも使ってもいいかなー。破断強度と伸び率が上記ロープと同等か、それ以上の性能があれば、だけどね。」と続きます。

例外文の英訳がうまくできません(泣)。Z133の原文が読みたい方は……今なら上記の……ごにょごにょ。

【この規格の見どころ】
ポイントは伸び率でしょうか。540ポンド負荷時に7%以内の伸び率。こだわり派の方はこの「540ポンド」っていう点に注目してください。諸元表にこの負荷時のロープ伸び率を書いているメーカーなんてないような気がします。シェリルが独自に測定してカタログに記載しているくらいじゃないでしょうか。

あと、11mmロープは例外的に認められているという点でしょうか。この例外が書かれ始めたのはいつ頃なのか知りませんが、まあ一度原文をお読みください。簡単に許可されている訳じゃないんで。

ロープ構造について何も言及がないっていうのも覚えておくといいかもしれません。天然繊維じゃなくて合成繊維さえ使っていれば、3ストランドでもカーンマントルでも(規格上は)OKという事です。

最大のポイントは「メーカーによってツリークライミング用と認定されたロープを使ってね」という文章でしょうか。それを決めるのがあんたらちゃうんかい!という気持ちと、まだまだ発展途上なんだなあという気持ちと、これくらい緩い方がロープ開発を促しやすいんかなーという気持ちでごっちゃになります。個人的にはこの文章は大好きです。

以前から気になっていたんですが、私は未だに「Z133に適合してるよ!」と高らかに謳ったロープを見た事がありません。メーカーとしては「ツリークライミング用にこのロープ作ってるんだから、そんなの当たり前じゃねーか」って事なんでしょうか。ちなみに、WesSpurではカテゴリー内で「うちで取り扱っているクライミングロープはすべてZ133に適合してるから安心してね!」と記載があったりします。

【果たして木登りにセミスタティックロープを使用していいものか?】
ここで注意したいのは、例えばセミスタティックロープは使用していいのかどうか?という点。もっと具体的にいきましょうか。アルテリアで買えるエーデルリッドのセミスタティックロープを木登りに使用していいのかどうかって事です。

色々な独学派の人に聞いたところ「ツリークライミングを始めた初期はアルテリアで買って使ってたなあ」という声が案外多かったです。「その後ツリークライミング用ロープを買ったらめちゃ使いやすかった!」という声もよく聞きました。

現在でもセミスタティックロープでツリークライミングをしている人は日本のどこかにいるんじゃなかろうか?と考えています。個人的には「まあいいんじゃないの」という考えではありますが、ANSI Z133から見た場合は規格外になるかもしれないって事は知っておいて損はないと思います。

しかし適合しているかどうかを調べるのも一苦労です。伸び率がですね、非常にややこしいんですよ。エーデルリッドのロープはEN規格に対応した製品が多いんですが、EN規格の伸び率とANSI Z33の伸び率は全然違うシロモノなんですね。そもそも測定方法がまるっきり違うんです。そんな訳で、エーデルリッドのセミスタティックロープに540ポンド負荷をかけた場合の伸び率を知る事は相当難しいです。もしかしから最小破断強度の算定方法なども違うかもしれません。

まあ、そのロープはツリークライミング用と謳っているかどうか。その辺は一度確認しておいてもいいかと思います。

でもセミスタティックロープは普通に使いにくいと思いますよ。規格云々ではなく。アーボリスト用クライミングロープの素晴らしさ(柔らかい!スプライスできる!)をぜひ体感してほしいです。

注:そんな人いないと思いますが、ツリークライミング用ラインにダイナミックロープを使っている人なんていないですよね? もし使っているならば即刻止めた方がいいですよ。ダイナミックロープは墜落時に伸びすぎるので、枝や地面に激突する可能性を捨てきれません。そもそもDdRT技術はダイナミックロープを用いる事を想定していないはずです。

(追記0512)更にもう一点。ダイナミックロープは良く伸びる訳ですが、その時ロープ径は細くなります。ゴムを伸ばしたらどんどん細くなるのと全く同じ事です。その為フリクションヒッチの信頼性がなくなります。しかも派手な墜落をすればするほど、ロープ径は細くなる=信頼性は更に低下する。という悪循環です。そんなリスクをしょってまでダイナミックロープでDdRTを行うメリットは皆無です。もう一度言いますが、ツリークライミング用ラインにダイナミックロープを使用するのは危険ですので、即刻止めた方がいいです。(木挽屋さん、御指摘いただきありがとうございます。)

【最後に】
まあこんな規格の話はどうでもいい事なのかもしれません。でもいつの日か「私の使ってるロープはANSI Z133という規格をパスした、ちゃんとしたロープですよー」と理論武装をして説明しないと納得してくれないクライアントに出会うかもしれません。だれかにロープについてきちんと説明する必要がやってくるかもしれません。現場以外のところでですね、こういった規格の話はよく必要になってくる気がします。

今は必要ないと感じたら、この記事は読み飛ばしていただくのも一案です。いつの日か必要になったらまた読み返してみてください。

購入の参考にしたいけどよくわからんなら、アーボリスト系ショップでクライミング用ロープを買えばそこそこ間違っていないと思います。更に乱暴な言い方をすればSamson、Yale cordage、New Ingland Rope、のどれかのツリークライミング用ロープを買っておけばいいかと思います。

既にクライミング用ロープをお持ちの方は一度スペックを確認されると面白いかもしれませんね。果たして自分のロープはZ133に適合しているかどうか。(伸び率はシェリルのカタログで確認される事をおすすめします。)

さー、次回はスタティックロープについて書こうと思います。ややこしいんだ、これがまた……(泣)

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2011年2月 3日 (木)

【未完成】高性能ファイバーの一覧

高性能ファイバーの一覧。…まだ未完成です。後ほど右カラムに移動します。

色々と調べてはみたんですが、うまくまとめられませんでした。気になる方はこれを踏み台にして各自で調べていただければと思います。わたしにゃあ有機化学なんてさっぱりわからんです、はい。

という訳で、それぞれの特徴はかなり怪しいもんです。注意してください。気が向いたら右カラムの方で追記していきます(この記事自体はこのままで放っておくか、削除するかもしれません)。メリットはすぐにわかるんですが、デメリットを探すのに苦労しています。

参考にしているのは、メーカーサイト、日本化学繊維協会のHPなどです。日本化学繊維協会のHP内でも特に「スーパー繊維などの紹介」に詳しいです。

更に、(社)化学繊維技術改善研究委員会の「繊維素材のデーターベース」の情報量が非常に素晴らしいです。(日本化学繊維協会HP内の「高性能・高機能繊維に関する参考図書の紹介」にリンクがあります)。

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超高分子量ポリエチレン(UHMWPE) Ultra high molecular weight polyethylene
 別名 高係数ポリエチレン(HMPE) High-modulus polyethylene
     高性能ポリエチレン(HPPE) High-performance polyethylene
製品名 
ダイニーマDyneema (オランダDMS、ライセンス生産:東洋紡) リンク
スペクトラSpectra (アメリカHoneywell) リンク
特徴
高強度・高弾性率
低比重
耐磨耗性
耐薬品性
耐磨耗性
耐衝撃性
耐候性

耐熱性が低い・融点が低い(約135℃)
摩擦係数が非常に低い(自己潤滑性あり?)

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パラ系アラミド繊維 (PPTA) poly-p-phenylene terephthalamide
製品名 
ケブラーKevlar (東レ・デュポン) リンク1 リンク2
トワロンTwaron (帝人アラミド) リンク
特徴
高強度・高弾性率
耐熱性 (溶解せずに炭化する)
耐薬品性(強酸、強アルカリ性には弱い)
耐摩耗性

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パラ系アラミドにジアミノフェニレンテラフタルアミドを共重合
製品名

テクノーラTechnora (帝人テクノプロダクツ)  リンク
特徴
(PPTAより優れた性能を誇る)
耐熱性
耐薬品性
きつく曲げても強度が落ちにくい

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メタ系アラミド繊維 poly-m-phenylene isophthalamide
製品名
ノーメックスNomex (デュポン) リンク
コーネックスConex (帝人テクノプロダクツ) リンク 
特徴
耐熱性
難燃性
耐薬品性

パラ系と比べて強度は落ちるが、長期耐熱性や難燃性に優れる。
消防服などに用いられる。
(注:高性能コードには使われない)

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ポリアリレート繊維 (液晶ポリマー LCP)
製品名
ベクトランVectran (クラレ) リンク
特徴
高強度・高弾性率
耐熱性
耐摩耗性
耐酸性
低伸度
低クリープ性
非吸湿性
振動減衰性

値段が高い

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2010年5月29日 (土)

カーンマントル構造

それでカーンマントル構造のロープそれぞれについて、いまの私の知識を総動員してさくっと説明したいと思います。…できるのか??!!

【カーンマントルの定義】
カーンマントルという言葉がありますが、これには二種類の意味があります。と言うかそう思ったほうが色々とわかりやすいです。ちなみにカーンマントルはドイツ語です。カーンが内芯(コア)、マントルが外皮(シース)を意味します。

広義のカーンマントル…2層構造になっているロープの総称。「カーンマントル構造」という言い方をする。16ストランド、ダブルブレイド(24ストランド)、カーンマントルロープが含まれる。

狭義のカーンマントル…いわゆるカーンマントルロープの事。ダイナミックロープ、スタティックロープに分かれる。更にスタティックロープは、ソフトスタティックやセミスタティック、スタティック等色々ある(メーカーの気分次第?)。

【ここから本番】
それではカーンマントル構造のロープについて紹介します。それぞれ外皮と内芯の役割がかなり違ってくるので、そこに注目するとイメージがつきやすいと思います。

【16ストランドは安くて扱いやすい】
2層構造になっていますが、外皮がほぼすべての荷重を受け持ちます。内芯は外皮内部の空洞を埋めているだけ…って事はないんですが、そう思っておいたらこの構造がわかりやすい気がします。本質的には12ストランド等の1層編み込みロープに近いと思います。「Arborist Equpment」では16ストランドは12ストランドと一緒に「シングルブレイド」として紹介されています。

外皮は分厚く、耐摩耗性やロープ強度に大きく貢献しますが、ちと重くなりがちです。内芯の存在は、ロープの円形保持性能やノットの作りやすさに寄与しています。これも重要な事です。

ハーフインチサイズ以上のクライミングロープはだいたい16ストランドです。世界のツリーワーク業界の中では一番普及しているロープでもあります。SRTをしないなら「安くて強くて扱いやすい」これが一番いいんでしょうね。

【ダブルブレイドは軽くて強い】
24ストランドって言い方も一般的です。外皮と内芯ともに編みロープで構成されており、荷重を均等に受け持ちます。「ロープの中にロープがある」って考えた方がわかりやすいかもです。

軽量性と強度の両立が可能、またスプライス技術の習得が簡単な為、リギングロープにこの構造がよく採用されてます。11mmクライミングロープにもよく採用されています。柔らかく、結構簡単に押し潰れるので、グリグリなどのデバイスと相性がいいです。

但しロープの汚れに注意する必要があります。カーンマントルと違って外皮も荷重を受け持ちます。細かい石や砂などの異物混入で傷つきやすいです。定期的に洗濯してあげるべきでしょう。

ダブルブレイドロープは「Milking」現象が起きます。Milkの意味は「絞り出す」くらいの意味で考えるとわかりやすいです。ナチュラルクロッチ等、外皮表面に強い摩擦がかかる方法で使用すると、荷重は均等なので内芯だけが動いちゃって、ロープ内部でずれてしまうんですね。そしてロープがぼこっと膨れたりします。フォルスクロッチで使用するべきです。

【カーンマントルは幅広い伸び率を設定できる】
固く編まれた外皮が、UVや異物から内芯を保護しています。内芯は編まれておらず、多数のストランドがひと束に、緩くツイストしながら配置されています。荷重は内芯が約70%ほど受け持ちます。「防御の外皮、荷重の内芯」と役割分担がはっきりしている感じです。

ロープの伸び率によってダイナミックロープとスタティックロープに分類されます。ANSI Z133には「アーボリストは伸び率7%までのロープを使えよ」との記述があります。基本的に伸び率の低いスタティックロープを使用しますが、状況によってはダイナミックロープを使って墜落覚悟で攻める場合もあるでしょう…絶対やりたくないですが。とにかくリードクライミング的な手法をとる場合は絶対ダイナミックロープで行います。

ロープアクセス業界ではほぼすべてのシェアを占めるカーンマントルなんですが、ツリーワークの世界ではあまり見かけないです。ここの理由を詳しく書いたテキストに残念ながら出会った事がありません。元々ツリーワークがハーフインチ+フリクションヒッチ大好きなアメリカで育ったから?スプライスできないから?しっくりくる理由が思いつかないです。

スタティックロープの場合、分厚い外皮のせいでロープが硬くなり、トラディッショナルシステムの時にタウトラインヒッチが効きにくい可能性が「Arborist Equipment」の90ページで指摘されています。私の感覚でも、例えばエーデルリッドのセフティ―スーパー11mmは、ダブルブレイド11mmロープのBlazeやVelocityより堅い気がします。

【まとめ…のような雑感】
今回はロープ構造の点からみていきました。私はダブルブレイドっ子ですが、カーンマントルも好きです。というか11mmロープが好きです。16ストランドは基本ハーフインチなので使えないSRTギアが多くて使う気がおきません。

もう一度簡単にまとめるとこんな感じ。
16ストランド…外皮メイン
ダブルブレイド…外皮=内芯
カーンマントル…防御の外皮、荷重の内芯

更に素材などの観点からもみると楽しくなります。ロープ構造・ロープ素材については、以前にも記事を書いているので、宜しければご覧ください。あの頃は正直言って「読みにくい&わかりにくい&曖昧な知識」で書いているのであまりおススメできないんですが(汗)。この記事と同一カテゴリ「ロープの話」にあります。

【補足:コロコロ変わるんです】
正直言って今回取り上げたロープ構造をどう区分するかは、ショップやメーカーによってころころ違います。
シェリルの通販サイトだと、ダブルブレイドはカーンマントルとも呼んでいます。下記のニューイングランド社資料だと、ダブルブレイドとカーンマントルを「24ストランド」として一括りにしています。

資料を読む時は「ロープ構造の区分をどのように捉えている著者なのか」に注目すると、少しは混乱が避けられるように思います。

【参考にした資料ですぜ】
シェリル2010カタログ p4~5
WesSpur2010カタログ p.4 p.5 p.10
ドナルド・ブレイヤー「Arborist Equpment 2nd」p.88~90
ニューイングランドロープ社のサイト内記事
Taking the Guesswork out of Arborist Climbing Lines」(あなたのロープ選びを助言しますってな内容です。これいいですよ。)

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2010年1月25日 (月)

ロープの素材について

前回はロープの構造について調べましたが、今回はロープの素材について見ていきます。

今回の記事を書くにあたっていろいろなサイトを見たんですが、記述にいまいち統一性がなく困りました(汗)。また、私は繊維素材について全くの素人です。記事に間違いを含んでいる可能性があります。ふーんこんなもんなんだー、くらいに見てやってください。


①ポリエステル
クライミングライン用ロープ、リギングライン用ロープともによく使用されています。ナイロンより伸縮性が低く、耐摩耗性と強度もこちらのほうが優れています。またロープが濡れても強度が低下しません。耐UV性能にも優れています。手触りもよく、ノットも作りやすいです。融解点約250℃。

②ナイロン
ポリエステルと比べて伸縮性が高いですが、耐摩耗性、耐UV性は劣ります。濡れると強度は20%ほど低下します。ほとんどのカーンマントル構造ロープはナイロン製です。胴綱もナイロン製。アーボリスト用のロープとしてはあまり使用されず、たまにポリ/ナイロンの混紡で使用されるくらいです。融解点約240℃。

③ポリプロピレン(PP)
いわゆるPPロープ。水に浮きます。耐UV性と耐摩耗性に難あり。耐薬品性に優れています。融解点約160℃。

④ポリエチレン(PE)
トラロープがこれです。水に浮き、耐UV性に優れます。耐摩耗性も優れますが、表面はツルツル。融解点約125℃。

⑤アラミド
テクノーラ(帝人)やケブラー(デュポン)、ノーメックス(デュポン)がこれ。耐熱性に非常に優れています。消防服に使われたりします。ですが、耐UV性が非常に弱く、耐摩耗性も弱いのでダブルブレイドの芯ロープに使用したり、他の繊維素材と混紡して使われます。プルージックコードによく使われています。融解点約500℃。

⑥HMPE
スペクトラ(ハニーウェル)やダイニーマ(東洋紡)。非常に軽いです。さらに高強度で耐摩耗性にも優れます。が、耐熱性が非常に低い。これを用いたロープは表面が非常にツルツルで、ノットが作りにくいです。融解点約140℃。

⑦LCAP
ベクトラン(クラレ)がこれ。高強度で耐熱性に優れます。耐UV性に劣る為、ダブルブレイドの芯ロープに使われます。特徴を生かしてプルージックコードでよく使われています。融解点約330℃。


[総評]
細かすぎてだからどうしたっていうような記事ですね、これ。とは言え、ポリエステルとナイロンの違い、⑤番以下のハイテク素材の名前を覚えておけば、いつか役に立つかもしれません。

個人的な感想ですが、アーボリスト用のロープにポリエステル素材を使う理由は「何となく]ではないかと。もちろん、ポリエステルの方が耐摩耗性に優れていますし、耐熱性も強いみたいですからアーボリスト用に向いているんです。が、それほどナイロンと比べて優位にあるように思えないんですよねー。どうもロープメーカー主導に思えて仕方ない。

このポリエステル問題について何か知っておられる方がいましたら、ちょっとした事でも結構ですので良ければご教授ください!!

あと、ハイテク素材について。アラミドとLCAPがプルージックコード、HMPEはダイニーマスリングとアムスティールに使われています。それぞれに強力な長所と短所があり、うまく特徴をとらえた形で使用されているのが面白いですね。

ただ気になる点が一つ。アラミドとLCAPですが、どちらも耐UV性が低いからダブルブレイドの芯ロープに使うでしょ。プルージックコードに使う際、シースも耐熱性ないとダメなのにこの辺どうなっているんでしょ?混紡する事でカバーしているんでしょうが…今回は調べきれなかったんですが、次の機会にはプルージックコードそれぞれについてもうちょっと詳しく見てみたいですね。


[今回の記事の参考文献、参考サイト]
SherrillTree 「2009 Mater Ctarog」
Samson:「Fiber Characteristics and Rope Construction 」(PDFです)
ゆうこうマリン株式会社:「ロープの素材」「ヨットロープ素材
株式会社クラレ:「ベクトラン
東洋紡:「ダイニーマの特徴
デュポン(株):「ノーメックス繊維
帝人テクノプロダクツ:「テクノーラ
Honeywell:「Spectra Fiber

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ロープ構造の種類(02/01追記あり)

前回はロープの構造の基礎知識を紹介しました。今回はロープ構造の違いからくる特性の違いを見ていきます。

ええーい!こんな資料見つかるかーい!!と言いたいところなのですが、シェリルのカタログに載ってます。個人的には複数の資料を読み説いて記事を書きたかったのですが、今回はシェリルのカタログに頼りきります。

以下、太文字は「SherrillTree 2009 Master Catarog]のp.2に書いてある[ARBORIST ROPE CONSTRUCTION TYPES]の記述を日本語に意訳したものです。括弧内の文字は個人的感想です。


3-Strand(3ストランド)
撚りロープは摩耗に強いですが、クライミングロープとして使うのはナンセンスです。表面がでこぼこだし、テンションをかけた際にロープが回転する傾向にあります。ナチュラルクロッチ・リギングに適しています。
(ツリーマスターとか三つ打ちクレモナロープがこれですね。値段の安いロープが多いです。リギング用でしょう。)

Solid Braid(ソリッド・ブレイド)
12本の太いストランドで構成されたアーボリスト用のソリッド・ブレイドは、テンションがかかってもロープが円形を保つようにタイトに編み込まれています。が、そのせいでアイ・スプライスを作る事はほとんど不可能です…グリズリースプライスが登場するまでは! 他の編みロープよりねじれにくい傾向にあります。
(ソリッドブレイドのロープはあまりありません。知っておくことは重要だと思います。)

Hollow Braid
(ホロウ・ブレイド)
これも12ストランドですが、かなり緩いテンションで編みこんで、ロープの真ん中を中空のようにしています。これは簡単にスプライスできるようにするためです。スリングやフィックスロープには最適ですが、クライミングラインやリギングラインには使えません。表面が荒く、ひっかかったりほつれやすい為です。
(ダイニーマ素材のロープで使われています。アムスティールもこの構造です。)

16-Strand
耐摩耗性に優れています。分厚いシースと細いコアによって構成されており、このコアはロープの結びやすさ、テンション下での円形保持能力に貢献しています。分厚いシースはロープの強度を高めており、この結果、16ストランドロープはクライミングラインとして広く使われています。

(13㎜以上のクライミングライン用ロープはだいたいこれです。という訳でこの構造を採用しているロープは多いです。)

Double Braid(ダブル・ブレイド)
編みロープの中に編みロープが入っている構造です。プーリー内やブレーキドラム内などの強力なテンション下でもロープの円形を保ちます。基本的にコアとシースのどちらにも同じように荷重がかかります。リギングライン用に最適です。 シェリルにはタイトに編んだ「SuperBraid」(NewIngland製)と、緩く編んだ「StableBraid」(Samson製)があります。
SuperBraidはナチュラルクロッチ時の汚れに非常に強い耐性があり、StableBraidはスプライス可能で、アーボリストブロック等と併用する際にはこちらがベストです。All have a eurathane coating and wear equally well.
(←うーん、英訳できず…何らかの表面コーティングなんでしょうが…)
(13㎜以下のクライミングライン用ロープ、及びリギングライン用ロープによく採用されています。強度が出しやすいんだと思います。)

Kernmantle(カーンマントル)
シースはタイトに編まれており、コアを保護します。コアは荷重の70%まで受け持ち、ストランドは編まれていません。使用用途に応じて、伸縮性を付加する為にコアを緩くツイストしている場合もあります。いろいろな用途に使えますが、この構造のアーボリスト用クライミングラインは”cover dependent kernmantles”とみなされます。
(すべてのダイナミックロープ、スタティックロープはこの構造です。)

(引用終わり)


ここで注目していただきたいのは、ダブルブレイドとカーンマントルにおける「シースとコアの役割の違い」です。

カーンマントルの場合、シースは基本的にコアの保護が目的で、荷重はコアが受け持ちます。これに対してダブルブレイドは、シースとコアの両方に同程度の荷重がかかります。この差は覚えておく必要があります。

あと、疑問に思ったんですが、ダブルブレイドのロープをスタティックロープって言っていいんでしょうか?や、スタティックロープはカーンマントル構造のロープの一種を指す気がしてきまして…うーん、わからない

(02/01追記 ダブルブレイドも広義のカーンマントルに含まれる様です。Yale「Blaze」がEN1891classBに適合していました。もちろん狭義のカーンマントルとダブルブレイドは別物です。)

だいたい、クライミングラインにカーンマントルを使わない業種って私たちだけのような気がします。何故かナイロン素材じゃなくてポリエステル素材好きですしね。これがロープメーカー主導で広まったことなのか、アーボリストが自らポリエステル素材を選んだのか…ここが重要ですよね。

なんせとりあえずですね、今回の記事はあまり鵜呑みにしないでください!誤訳している可能性があります。英語の記事原文を書くべきなんでしょうか、すべて英語手打ちになるので勘弁してください(泣)

じゃあ次回はロープ素材のそれぞれの違いを見ていきます!


[今回の参考文献]
SherrillTree 「2009 Master Catarog」

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2010年1月23日 (土)

ロープ構造の基礎知識(110217追記)

(11/02/17追記)コメントにて御指摘をいただいた部分を修正・追記しました。その他にも読みにくい部分を修正しています。色々やっている内にあまり原型を留めていないような気がしますが、気にしない方向でいきます。

(元記事ここから)

前回の記事で「IceTaleは12ストランドです」って書きましたが、その後、何だかよくわからなくなってきまして。

ストランドってなんじゃ?、12ストランドでも2種類あるよな?、カーンマントル構造とダブルブレイドって何が違うの?とか。考えれば考えるほどよくわからなくなってきたので調べてみました。

という訳で今回はロープ構造の基礎知識を見ていきます。

[ストランドについて]
マクロなところから見ていきます。ロープの最少単位は繊維(ファイバー)です。素材は様々な種類がありまして、ポリエステルだったりダイニーマだったり、マニラ麻だったりします。この繊維を数十本くらい撚り合わせて細い「撚り糸」を作ります。これがヤーン(Yarn)です。この段階ではまだまだ糸って感じです。

ヤーンをさらに複数本撚り合わせていきます。ヤーンの撚りが戻らないように、ヤーンを撚った時の逆方向に撚り合わせます。これがストランド(Strand)です。ある程度の大きさになってきました。実際にロープ構造を考えていく時にはストランドが重要です。

[撚りロープ]
サムソンの「Tree Master」を思い出してください。これは3ストランドです。上記のように作成したストランドを3本撚り合わせて一本のロープにしています。ロープとストランドは逆方向に撚っているので反発力によりロープ形状が維持されます。シェリルのカタログではツリーマスターのロープ構造は「Twist」って書かれています。

この撚りこむ方向によって「Z撚り」と「S撚り」の2種類に分かれます。これに関してはウィキペディアもどうぞ。この辺の話は普段ワイヤーを使っている方にも馴染みがあるでしょう。ツリーマスターはZ撚りですね。

[編みロープ]
これに対し、編みロープ(ブレイド(Braid)ロープ)ってのがあります。文字通りストランドを編んでいます。わかりにくければ三つ編みを思い出してください。交互に編んでいく感じがわかると思います。

編みロープの場合、ヤーンからストランドを構成する場合に撚りません。ヤーンを束ねているだけです。撚るとしても極わずか。編みロープは「編む」ことによってロープ形状が維持されるので、わざわざストランドを撚る必要がないからです。これにより「撚りがもどっちゃう」事を気にしなくてもよくなります。

またヤーンの束を複数並べて1ストランドとしている場合も多いです。サムソンの「Tenex-TEC」と「Tenex」の画像を見比べてください。Tenex-TECはストランドが2束で構成されているのがよく分かるはずです。ロッククライミングで使うようなダイナミックロープ、ロープアクセスで使われるセミスタティックロープも基本的に同様の2束構成のものがほとんど、のはずです。形状維持や接地面積の拡大に寄与していると思われます。

また、ブレイドを編みこむ方法には、ストランド2本を1組として編む方法と、ストランド1本づつを編みこむ方法があります。サムソンの「Tenex-TEC」と「Tenex」の画像を見てください。違いがわかるでしょうか?テネックスが一本ずつストランドを編みこんでいるのに対し、テネックス-TECは2本のストランドを一つの単位として編みこんでいます。

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ここまでが基礎知識。では最初の疑問について考えていきます。

[12ストランド・ロープについて]
12ストランドロープは編みロープに分類されます。そして「ソリッド・ブレイド(Solid Braid)」と「ホロウ・ブレイド(Hollow Braid)」の2種類があります。

ソリッドブレイドの例としてサムソン「True-Blue」、ホロウブレイドはサムソン「Tenex」をあげておきます。リンク先にて編みこみ具合の違いを見てください。

つまりIceTaleは12ストランドロープのホロウブレイドだったんですねー。なるほど納得。


[ダブルブレイドロープとカーンマントルロープの違いについて]
ダブルブレイドロープとカーンマントルロープに共通する点は、その構造がコア(内芯)とシース(外皮)の二重構造になっている点。(ちなみにドイツ語で内芯を「カーン」、外皮を「マントル」と言いまして、そこからカーンマントルロープという呼び名がついています。)シースはどちらも編み構造なんですが、両者の違いはコアが編んであるかどうか、です。

ダブルブレイドはコアも編みロープです。だからシースとコアの二つでダブル・ブレイドなんですねー。

これに対してカーンマントルのコアは編みこんでいません。多少ツイストしているタイプもあるみたいですが、基本的には複数のストランド(ヤーンと呼ぶべきか?)が真っすぐに集まっているだけと考えていいと思います。参考にサムソン「Static Rope」と「Ultra Tech」を見比べてください。

(こうやって見ると「Ultra Tech」ってすごいですね。内芯はダイニーマテクノーラ素材の24ストランド編み、外皮はポリエステル素材のヤーン3束を1ストランドとして24組を編みこんでいます。)

次回は、今回紹介したロープ構造それぞれの使用上の特徴を調べていきます。…果たして調べきれるのか?!さっぱりわからない自信があります!



[今回の記事の参考文献・参考サイト]
・SherrillTree 「2009 Mater Catarog」
・Samson 「Splicing Manual」
・ロープ ファクトリー http://www.rope.co.jp/
・Samson http://www.samsonrope.com/
・野田製綱株式会社 http://www.f4.dion.ne.jp/~noda.sk/index.htm

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2009年11月21日 (土)

セミスタティックロープとダイナミックロープの違い

(10/01/31追記 記述を一切がっさい変えました。内容としては以前のものとほぼ同じです。)

産業用ロープアクセスはセミスタティックロープを使用します。(但し、ツリークライミングでよく使用されるのはセミスタティックロープではありません。) ロッククライミングに使うダイナミックロープ(いわゆるザイル)を使用しているとよく思われるんですが、そんなことはありません。

このセミスタティックロープとダイナミックロープの違いからいろいろなものが見えてきます。

この二つの違いは、簡単に言うと、ロープに荷重がかかった際の伸び率にあります。ダイナミックロープはよく伸び、セミスタティックロープはあまり伸びません。これは実際の用途を考えるとよくわかります。

ダイナミックロープは、ロッククライミング中の不慮の墜落時に体を確保するものです。いわば命綱であり、バンジージャンプのゴムとほぼ同義です。ロープが伸びる事で身体にかかる墜落衝撃荷重を緩和します。

セミスタティックロープは、墜落を想定していません。作業中はいつでもロープにテンションがかかっている状態をキープするので、墜落したくてもできないともいえます。そして伸び率が低いので登攀・下降が行いやすく、作業効率があがります。ゴム棒を登るのと鉄棒を登るのでは、どちらが楽かという話です。

他にも耐久性や取り扱いの容易さに違いがありまして、そんなこんなで産業用ロープアクセスではセミスタティックロープを使用しています。

セミスタティックロープより更に伸び率の低いスタティックロープというのもありますが、実際はセミスタティックロープを指している場合がほとんどです。

まさにスタティックロープとなると、素材にポリエステルを使用しているロープしか私は知りません。普通セミスタティックロープはナイロン素材なのですが、ポリエステル素材の方が繊維として伸びにくいからです。スターリン社とニューイングランド社から発売されています。

で、ツリークライミングで使用されるロープですが、非常にややこしいです。。スタティックロープやダイナミックロープは、カーンマントル構造でできています。それに対しツリークライミング用ロープとして発売されているロープのほとんどが、16ストランド構造かダブルブレイド構造でできています。素材はポリエステルがほぼすべて。伸び率も約2~3%前後と非常に硬質です。つまり構造が全く違います。

とは言え、スタティックロープとツリークライミング用ロープの運用上の違いはほとんどありません。多少の差はありますが、気になる方はこちらの記事を参考にしてください。

注意したいのが、墜落の危険がある場合は迷わずダイナミックロープを使用しますそして地上にビレイヤーを配置します。つまり墜落の危険がある場合はロッククライミングの手法で登る訳です。ビレイヤーってのはクライマーが墜落した際にロープを制御して制動確保を行う人員です。墜落の衝撃を劇的に緩和します。樹の根本あたりに設置したスリングとダイナミックロープを結束するなんて、私は恐くてできません。

ちなみに私はYALEのBLAZEを愛用しています。値段も若干安いですし、ツルッツル滑ってくれて登高が楽チンです。Blazeの記事はこちらです。

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